廃品回収 / 初音ミク

(つめたいみちにわすれられた)

冷たい道に忘れられた

(うつらないはこ)

映らない箱

(こわれててもかまわないとあなたはいった)

「壊れてても構わない」とあなたは言った

(せまりくるひざしのなかで)

迫りくる日差しの中で

(とけそうになっても)

溶けそうになっても

(おもたいだけのからだだから)

重たいだけの体だから

(しかたがないな)

仕方がないな

(あざがふえていったわたし)

痣が増えていった私

(いまがれきのなかでうもれてしまったいのちは)

今瓦礫の中で埋もれてしまった命は

(どうなってもいいなどうなってもいいな)

どうなってもいいな　どうなってもいいな

(おなじへやのなかすごしたすうねんのきおくは)

同じ部屋の中過ごした数年の記憶は

(だれでもない)

誰でもない

(あなたとのひみつだったのに)

あなたとの秘密だったのに

(はだみはなさずみにつけたわたしのことも)

肌身離さず身につけた私のことも

(くりかえすつうちにあきただけなのかな)

繰り返す通知に飽きただけなのかな

(ひしめくでんきがいのなかでみつけてくれた)

犇く電気街の中で見つけてくれた

(それだけでじゅうぶんだからきょうもねむるよ)

それだけで十分だから今日も眠るよ

(わすれることない)

忘れることない

(ふりだしにもどるだけ)

振り出しに戻るだけ

(なまえはなんだっけ)

名前はなんだっけ

(いまつめたいからだのなかうつされたことばは)

今冷たい体の中映された言葉は

(どうなってもいいかどうなってもいいか)

「どうなってもいいか？どうなってもいいか？」

(むきしつなしゅうごうたいのようなあなたに)

無機質な集合体の様なあなたに

(とどいたのか)

届いたのか

(ここにはいられないな)

ここにはいられないな

(わたしよりすぐれたひとだから)

私より優れた人だから

(またいつかあえるひまで)

またいつか会える日まで

(ここちよいはるのひざしがさしこむこのまどべで)

心地よい春の日差しが差し込むこの窓辺で

(わたしはあとどれだけすごすことができるだろう)

私はあとどれだけ過ごすことができるだろう

(しらないことばがきこえるこのだいとしで)

知らない言葉が聞こえるこの大都市で

(かくせいきはきょうも)

拡声器は今日も

(ひびくだろう)

響くだろう