耳なし芳一 4 /9

背景
投稿者投稿者ヤマセミいいね1お気に入り登録
プレイ回数1285難易度(4.1) 1685打 長文
芳一は女の人の手に引かれて、どこやら大広間に通されました。
小泉八雲/原作
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 KMS 7624 8.2 93.3% 204.6 1680 120 38 2024/04/03

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(「かいもん!」)

「開門!」

(とさむらいがよばわると、かんぬきをはずすおとがしました。)

と侍が呼ばわると、閂を外す音がしました。

(ふたりはもんをぬけました。)

二人は門を抜けました。

(しばらくにわをよこぎると、またなにやらげんかんらしきところでたちどまりました。)

しばらく庭を横切ると、また何やら玄関らしき所で立ち止まりました。

(そこで、ごけにんはだいおんじょうでさけびました。)

そこで、御家人は大音声で叫びました。

(「もうし。ただいま、ほういちをつれてまいりました」)

「もうし。ただ今、芳一を連れて参りました」

(すると、せわしそうなあしおとがして、ふすまをすべらすおと、)

すると、せわしそうな足音がして、襖をすべらす音、

(あまどをおしあけるおと、おんなたちのはなしごえなどがきこえました。)

雨戸を押し開ける音、女たちの話し声などが聞こえました。

(そのことばつきから、このおんなたちは、)

その言葉つきから、この女たちは、

(こうきなやしきのおじょちゅうしゅうであるとわかりました。)

高貴な屋敷のお女中衆であるとわかりました。

(でも、ほういちにはいったいどんなところにつれてこられたものやら、)

でも、芳一にはいったいどんなところに連れて来られたものやら、

(とんとけんとうもつきません。)

とんと見当もつきません。

(あれこれかんがえをめぐらすひまもあらばこそ、)

あれこれ考えをめぐらす暇もあらばこそ、

(いしだんをのぼるよううながされて、いくだんかのぼりつめると、)

石段を昇るよう促されて、幾段か昇りつめると、

(ぞうりをぬぐようにめいじられました。)

草履を脱ぐように命じられました。

(そこで、おんなのひとにてをひかれて、)

そこで、女の人に手を引かれて、

(いつはてるともしらぬながい、みがきあげたいたばりをわたり、)

いつ果てるとも知らぬ長い、磨き上げた板張りを渡り、

(おもいだせぬほどかどをまがり、たまげるほどひろいたたみじきのへやをぬけて、)

思い出せぬほど角を曲がり、たまげるほど広い畳敷きの部屋を抜けて、

(とうとう、どこやらおおひろまのまんなかへとやってまいりました。)

とうとう、どこやら大広間の真ん中へとやって参りました。

(そこにはおおぜいえらいひとびとがあつまっているようすで、)

そこにはおおぜい偉い人々が集まっている様子で、

など

(きぬずれのおとがもりのこのはのそよめきのようにきこえてきます。)

衣ずれの音が森の木の葉のそよめきのように聞こえてきます。

(それにまた、おおきなざわめきのこえもみみにはいってきます。)

それにまた、大きなざわめきの声も耳に入ってきます。

(いずれもひくくおさえたちょうしであるものの、)

いずれも低くおさえた調子であるものの、

(そのことばはきゅうちゅうのことばでありました。)

その言葉は宮中の言葉でありました。

(ほういちはらくにするようにいわれて、)

芳一は楽にするように言われて、

(きがつくと、じぶんのためのざぶとんがだされております。)

気がつくと、自分のための座布団が出されております。

(こしをおろして、がっきのちょうしをあわせました。)

腰を下ろして、楽器の調子を合わせました。

(すると、どうやらじじょのかしらであるろうじょらしきひとのこえが、)

すると、どうやら侍女の頭である老女らしき人の声が、

(はなしかけてきて、)

話しかけてきて、

(「さあ、そのびわのおとにあわせて、へいけものがたりをかたりきかせよ、)

「さあ、その琵琶の音にあわせて、平家物語を語り聞かせよ、

(とのおおせにござります」)

との仰せにござります」

(そうはいっても、へいけものがたりをすっかりかたるにはいくばんもかかります。)

そうはいっても、平家物語をすっかり語るには幾晩もかかります。

(そこで、ほういちはおもいきってたずねてみました。)

そこで、芳一は思い切って尋ねてみました。

(「<へいけ>のぜんきょくとなると、そうたやすくかたれるものではございません。)

「<平家>の全曲となると、そうたやすく語れるものではございません。

(どのだんをかたってきかせよとのごしょもうなのでしょうか」)

どの段を語って聞かせよとのご所望なのでしょうか」

(そのおんなのこえがこたえます。)

その女の声が答えます。

(「だんのうらのかっせんのだんをおかたりなさいーー)

「壇ノ浦の合戦の段をお語りなさいーー

(あれがいちばんあわれぶこうござりますゆえ」)

あれが一番あわれ深うござりますゆえ」

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

◆コメントを投稿

※誹謗中傷、公序良俗に反するコメント、個人情報の投稿、歌詞の投稿、出会い目的の投稿、無関係な宣伝行為は禁止です。削除対象となります。

※このゲームにコメントするにはログインが必要です。

※コメントは日本語で投稿してください。

ヤマセミのタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード