ファントムペイン

(だからこんなわたしをゆるして)

だからこんな女を許して

(ひとりなきぬれるこのみつのはな)

ひとり啼き濡れるこの蜜の花

(でもあいしたあなたのきがすむのなら)

でも愛した貴方の気が済むのなら

(このいたみ・・・うけいれるわ)

この痛み…受け入れるわ

(こんやはもうすこしだけよわせて)

今夜はもう少しだけ酔忘せて

(ひとはいがいたみをやわらげるの)

一杯が痛みを和らげるの

(あいしてる、ゆるせない)

愛してる、許せない

(わすれたい、はなれられない)

忘れたい、離れられない

(そうやってのこったきずあとがこのよるもまだいたむのよ)

そうやって遺った傷跡がこの夜もまだ痛むのよ

(ねぇこんなわたしをゆるして)

ねぇこんな女を許して

(なぐりつけるこえとかなしめるこえ)

殴りつ蹴る声と悲鳴る声

(でもちいさなあのこをまもるためなら)

でも小さな愛娘のを守るためなら

(このきずも・・・・・・たえられるわ)

この傷も……耐えられるわ

(しっとするくらいきれいなあのこのからだに)

嫉妬するくらい綺麗な愛娘の身体に

(きずひとつつけはしないときめたの)

傷ひとつ付けはしないと覚悟たの

(おんなはひとりでもつよい)

女は独りでも強い

(なかないでかれてしまうわ)

泣かないで枯れてしまうわ

(ちいさなはなもかれんなばらをえんじればさくのよ)

小さな花も可憐な薔薇を演じれば咲くのよ

(だからこんやはべにをぬって)

だから今夜は口紅を塗って

(あなたとさいごのかんぱいをしましょう)

貴方と最期の乾杯をしましょう

(もうだれもくるしまぬように)

もう誰も苦しまぬように

(いたみのないどくで)

痛みのない毒で――

(かめんのうらをみせないように)

「仮面の裏」を見知ないように

(あのこのとおくでかたをつけるわ)

愛娘の遠くで決着をつけるわ

(きずをつけられようがわかれられないの)

傷をつけられようが生別れられないの

(あいしてるわ)

”愛してるわ”

(ねぇこんなわたしをゆるして)

ねぇこんな母を許して

(ごぜん０じにはかえるといった)

午前０時には帰ると偽った

(でもしんぱいしないでだいじょうぶよ)

でも心配しないで大丈夫よ

(こんやはもうきずがいたくないの)

今夜はもう傷が痛くないの