幽霊船の秘密16(完) 海野十三

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SOS信号受けて貨物船が向かった先には船がなく…
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1 ねね 4461 C+ 4.5 97.1% 833.4 3829 111 56 2024/03/31

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問題文

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(そして、おりのなかにおとなしくしていたもうじゅうたちも、ついにはおりをやぶっていっしょに)

そして、檻の中におとなしくしていた猛獣たちも、ついには檻を破って一しょに

(あばれだしたのです。まったくてがつけられなくなりました。ことに、もうじゅうたいにんげんの)

あばれだしたのです。全く手がつけられなくなりました。殊に、猛獣対人間の

(さいしょのせんとうにおいて、かなりうでぷしのつよいれんちゅうがやられ、こうきゅうせんいんも)

最初の戦闘において、かなり腕ぷしのつよい連中がやられ、高級船員も

(そうとうたおれ、それからぼーとをだしてふねをすててにげだすなど、たいへんな)

相当たおれ、それからボートを出して船を捨てて逃げだすなど、たいへんな

(さわぎになったそうです。しかもうんわるく、そこへたいふうがやってくるし、)

さわぎになったそうです。しかも運わるく、そこへ台風がやってくるし、

(さんざんのめにあって、ついにこのきせんのなかには、きかんしつにとじこもったしょうすうの)

さんざんの目にあって、ついにこの汽船の中には、機関室に閉じこもった少数の

(のりくみいんのほかには、だれもいなくなったのです」 「なるほど、そうかね。)

乗組員の外には、誰もいなくなったのです」 「なるほど、そうかね。

(きけばきくほど、たいへんなじじょうだなあ」 「ぼるくごうのせんいんを)

聞けば聞くほど、たいへんな事情だなあ」 「ボルク号の船員を

(いたわっているところへ、どこからはいりこんできたのか、やじまがはじめに、)

いたわっているところへ、どこからはいりこんできたのか、矢島がはじめに、

(きかんしつへたどりつき、ついで、かわさきとふじわらとがいっしょに、とびこんできました。)

機関室へ辿りつき、ついで、川崎と藤原とが一緒に、とびこんできました。

(そしてきかんしつには、にわかにひとがふえたのです。それだけに、くうものに)

そして機関室には、にわかに人が殖えたのです。それだけに、食うものに

(こまってしまいました」 「そうであろう」とせんちょうは、どうじょうのめで、)

困ってしまいました」 「そうであろう」と船長は、同情の眼で、

(まるおたちをみまもって、 「ところで、あのsosのいかだはなにものがしかけたのかね)

丸尾たちを見まもって、 「ところで、あのSOSの筏は何者が仕掛けたのかね

(あのくろいりぼんのついたはなわをつけていかだにのってながれていたむでんきのことさ」)

あの黒いリボンのついた花環をつけて筏にのって流れていた無電機のことさ」

(「ああ、あれですか。あれは、どうもよくわからないのです」 と、まるおは、)

「ああ、あれですか。あれは、どうもよくわからないのです」  と、丸尾は、

(くびをふった。するとそのとき、ふるやきょくちょうが、 「せんちょう、あれについて、)

首をふった。するとそのとき、古谷局長が、 「船長、あれについて、

(わたしはひとつのかんがえをもっているのですが・・・・・・」 「そうかね、どういうかんがえか」)

私は一つの考えをもっているのですが……」 「そうかね、どういう考えか」

(「あれは、わがわじままるをらいげきしたかいせんすいかんがつかったおとりだとおもいます」)

「あれは、わが和島丸を雷撃した怪潜水艦がつかった囮だと思います」

(「それはしごくどうかんだね」と、せんちょうは、さんいをひょうしました。 「そのかいせんすいかんは、)

「それは至極同感だね」と、船長は、賛意を表しました。 「その怪潜水艦は、

(ぼるくごうをねらっていたのだと、わたしはそうぞうしています」 「え、ぼるくごうを・・・・・・」)

ボルク号を狙っていたのだと、私は想像しています」 「え、ボルク号を……」

など

(「そうです。ぼるくごうが、そのふきんをとおりかかるのをねらっていたところ、)

「そうです。ボルク号が、その附近を通りかかるのを狙っていたところ、

(そのまえにぼるくごうはあのもうじゅうさわぎをひきおこしたわけです。そしてぼるくごうの)

その前にボルク号はあの猛獣さわぎをひきおこしたわけです。そしてボルク号の

(きかんはとまるわ、おりからのたいふうにほんろうされたわけで、ゆうれいせんとばけてしまい、)

機関は停るわ、折からの台風に翻弄されたわけで、幽霊船とばけてしまい、

(かいせんすいかんがしかけたあのかいでんもぼるくごうにはつたわらず、かえって、わがわじままるが)

怪潜水艦が仕掛けたあの怪電もボルク号には伝わらず、かえって、わが和島丸が

(そのかいむでんをぼうじゅして、げんばにかけつけたためぼるくごうにかわって、こっちが)

その怪無電を傍受して、現場にかけつけたためボルク号に代って、こっちが

(ぎょらいをくったというわけではないかとかんがえますが、いかがでしょう」)

魚雷を喰ったというわけではないかと考えますが、いかがでしょう」

(ふるやきょくちょうは、なかなかおもしろいせつをはいた。 「なるほどねえ、それは)

古谷局長は、なかなか面白い説をはいた。 「なるほどねえ、それは

(なかなかめいせつだ。いや、まったく、ふるやくんのいうとおりかもしれない。)

なかなか名説だ。いや、全く、古谷君のいうとおりかもしれない。

(すると、われわれは、とんだびんぼうくじをしょいこんだわけだね」)

すると、われわれは、とんだ貧乏くじを背負いこんだわけだね」

(せんちょうは、いちどうのかおを、ぐるっとみまわした。そのときかいたにが、くちをだした。)

船長は、一同の顔を、ぐるっと見まわした。そのとき貝谷が、口を出した。

(「せんちょう。そのかいせんすいかんというのは、どこのくにのせんすいかんなんでしょうか」)

「船長。その怪潜水艦というのは、どこの国の潜水艦なんでしょうか」

(「さあ、わからないね」 「いぎりすのせんすいかんじゃないですかな。あめりかを)

「さあ、わからないね」 「イギリスの潜水艦じゃないですかな。アメリカを

(さんせんさせようというので、わざとみなみたいへいようなどで、あばれてみせたのでは)

参戦させようというので、わざと南太平洋などで、あばれてみせたのでは

(ないでしょうか」 「それは、なんとも、いえない」)

ないでしょうか」 「それは、なんとも、いえない」

(とせんちょうはじちょうしてくちびるをとじた。 「わたしは、どこかで、そのせんすいかんをみつけて)

と船長は自重して唇をとじた。 「私は、どこかで、その潜水艦をみつけて

(やりたい。そして、おおいにうらみをいってやらなきゃ、きがすまない。)

やりたい。そして、大いに恨みをいってやらなきゃ、気がすまない。

(いや、こうしているうちに、いまにも、かいせんすいかんは、ふきんのかいめんに)

いや、こうしているうちに、今にも、怪潜水艦は、附近の海面に

(うかびあがってくるかもしれないぞ」 「かいたに。おまえは、そのせんすいかんに、)

浮び上がってくるかもしれないぞ」 「貝谷。お前は、その潜水艦に、

(ついにめぐりあえないかもしれない」 「え、なぜですか、ふるやきょくちょう」)

ついにめぐりあえないかもしれない」 「え、なぜですか、古谷局長」

(「わたしは、このふねをしらべているうちに、こういうかんがえがでた。それは、)

「私は、この船をしらべているうちに、こういう考えが出た。それは、

(かのかいせんすいかんはわれわれのわじままるをちんぼつさせたぜんごに、かのせんすいかんも)

かの怪潜水艦はわれわれの和島丸を沈没させた前後に、かの潜水艦も

(ちんぼつしたのだとそうぞうしている」 「きょくちょう。きみはなかなかそうぞうりょくがつよい。)

沈没したのだと想像している」 「局長。君はなかなか想像力がつよい。

(しかしまさかね」 「いや、せんちょう、このぼるくごうのかんしゅは、ひどく)

しかしまさかね」 「いや、船長、このボルク号の艦首は、ひどく

(こわれているのです。へさきのところになにものかをぶっつけたあとがあります。)

壊れているのです。舳のところに何物かをぶっつけた痕があります。

(わたしは、かいせんすいかんがわじままるをちんぼつさせたのち、かいめんにうきあがって、おもしろそうに)

私は、怪潜水艦が和島丸を沈没させたのち、海面にうきあがって、面白そうに

(こっちのそうなんぶりをけんぶつしているとき、いきなりよこあいから、きかんのとまっている)

こっちの遭難ぶりを見物しているとき、いきなり横合から、機関の停っている

(このぼるくごうがおともなくせんすいかんのうえにのりあげたーーと、かんがえているのです。)

このボルク号が音もなく潜水艦のうえにのりあげた――と、考えているのです。

(そんなことがあれば、せんすいかんはただちにちんぼつしてしまいます。ぼるくごうのへさきは、)

そんなことがあれば、潜水艦は直ちに沈没してしまいます。ボルク号の舳は、

(そのときに、たいはしたのではないでしょうか。なにしろ、そのあと、いちども)

そのときに、大破したのではないでしょうか。なにしろ、その後、一度も

(かいせんすいかんのすがたは、あらわれないのですからねえ」 「なるほど。たしかにひとつの)

怪潜水艦の姿は、現われないのですからねえ」 「なるほど。たしかに一つの

(とうあんになっているねえ」と、さえきせんちょうは、びしょうした。 「さあ、そこで、)

答案になっているねえ」と、佐伯船長は、微笑した。 「さあ、そこで、

(われわれは、このぼるくごうのむでんをかりて、きゅうえんしんごうをうつことにしよう。)

われわれは、このボルク号の無電を借りて、救援信号を打つことにしよう。

(それから、りんであおくひかるかんぱんも、しばらくこのままにしておこう。)

それから、燐で青く光る甲板も、しばらくこのままにして置こう。

(そうでもしなければ、だれもこのだいじけんのあったことをしんようしないだろうからね」)

そうでもしなければ、誰もこの大事件のあったことを信用しないだろうからね」

(さえきせんちょうは、いつのまにか、ぼるくごうのせんちょうとして、いきのこりのせんいんに)

佐伯船長は、いつの間にか、ボルク号の船長として、生残りの船員に

(きびきびしためいれいをくだしはじめたのであった。)

きびきびした命令を下しはじめたのであった。

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