バスカヴィル家の犬18

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シャーロックホームズシリーズ
アーサーコナンドイルの作品です。句読点以外の記号は省いています。

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問題文

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(こうやのおねがのびたぶぶんがひーすにかこわれたきゅうなしゃめんとして、めのまえに)

荒野の尾根が延びた部分がヒースに囲われた急な斜面として、目の前に

(よこたわっていた。そのちょうじょうに、だいざのうえにたつきばぞうのようにゆらぎなくせんめいに、)

横たわっていた。その頂上に、台座の上に立つ騎馬像のように揺ぎ無く鮮明に、

(くろいふくをきたおそろしげなきばへいしがいた。へいしはらいふるをぜんわんにのせ、)

黒い服を着た恐ろしげな騎馬兵士がいた。兵士はライフルを前腕に乗せ、

(いつでもうてるたいせいをととのえていた。かれはばしゃがすすむみちをかんしをしていた。)

いつでも撃てる体勢を整えていた。彼は馬車が進む道を監視をしていた。

(いったいなにごとだ?ぱーきんす もーてぃまーはかせがたずねた。ぎょしゃはせきから)

「いったい何事だ?パーキンス」モーティマー博士が尋ねた。御者は席から

(はんぶんふりかえった。ぷりんすたうんからしゅうじんがにげだしたんです。)

半分振り返った。「プリンスタウンから囚人が逃げ出したんです。

(きょうでみっかになりますが、まだつかまっていません。それでかんしゅたちはぜんぶのみちと)

今日で三日になりますが、まだ捕まっていません。それで看守達は全部の道と

(えきをかんししていますが、これまでのところ、しゅうじんのすがたははっけんされていません。)

駅を監視していますが、これまでのところ、囚人の姿は発見されていません。

(このあたりののうふたちはみんな、ふあんにおもっています。こういうじじょうです)

このあたりの農夫達はみんな、不安に思っています。こういう事情です」

(たしか、なにかじょうほうをていきょうすれば5ぽんどもらえるんだったな)

「たしか、何か情報を提供すれば5ポンドもらえるんだったな」

(そうです。しかしのどをかききられるかもしれないんですから、5ぽんどくらい)

「そうです。しかし喉を掻き切られるかもしれないんですから、5ポンドくらい

(では、とてもわりにあいません。いいですか。ふつうのしゅうじんではないんです。)

では、とても割りに合いません。いいですか。普通の囚人ではないんです。

(なにをするかわからないおとこなんです いったいだれなんだ?)

何をするかわからない男なんです」「いったい誰なんだ?」

(のってぃんぐひるさつじんはんのせるでんです わたしはこのじけんをよく)

「ノッティング・ヒル殺人犯のセルデンです」私はこの事件を良く

(おぼえていた。とくいてきなきょうぼうせいと、じょうじんのりかいをこえたざんぎゃくなさつがいほうほうで、)

覚えていた。特異的な凶暴性と、常人の理解を超えた残虐な殺害方法で、

(ほーむずがじけんにきょうみをもっていたためだ。かれがしけいからげんけいされたのは、)

ホームズが事件に興味を持っていたためだ。彼が死刑から減刑されたのは、

(そのざんぎゃくせいによって、せきにんのうりょくにぎもんがしょうじたためだった。ばしゃはしゃめんを)

その残虐性によって、責任能力に疑問が生じたためだった。馬車は斜面を

(のぼりつめ、めのまえには、こぶのようにごつごつしたいしづかやいわやまがてんざいするひろい)

登りつめ、目の前には、こぶのようにゴツゴツした石塚や岩山が点在する広い

(こうやがそびえたっていた。こうやからふきおろすつめたいかぜに、わたしたちはおもわず)

荒野がそびえ立っていた。荒野から吹き下ろす冷たい風に、私たちは思わず

(ふるえた。このこうりょうたるげんやのどこかに、あのざんにんなおとこがひそんでいる。)

震えた。この荒涼たる原野のどこかに、あの残忍な男が潜んでいる。

など

(やじゅうのようにあなにかくれて、そのこころはじぶんをついほうしたしゃかいぜんたいにたいするあくいで)

野獣のように穴に隠れて、その心は自分を追放した社会全体に対する悪意で

(いっぱいになっている。このこうや、つめたいかぜ、くらいそら、 ぶきみないんしょうを)

一杯になっている。この荒野、冷たい風、暗い空、....不気味な印象を

(かんせいさせるのに、これいじょうのおぜんだてはなかった。ばすかヴぃるでさえも)

完成させるのに、これ以上のお膳立てはなかった。バスカヴィルでさえも

(だまりこみ、こーとのえりをいっそうひきよせた。ばしゃはひよくなちをあとにして)

黙り込み、コートの襟をいっそう引き寄せた。馬車は肥沃な地を後にして

(のぼってきた。わたしたちはここで、うしろをふりかえった。ひくいゆうひのひかりに、かわのながれは)

登ってきた。私たちはここで、後ろを振り返った。低い夕陽の光に、川の流れは

(きんのいとにかわり、すきたがやされたばかりのあかいだいち、そしてこうだいなうっそうとした)

金の糸に変わり、すき耕されたばかりの赤い大地、そして広大な鬱蒼とした

(しんりんちたいがあかあかとかがやいていた。めのまえのみちは、きょせきがてんてんとよこたわっている)

森林地帯が赤々と輝やいていた。目の前の道は、巨石が点々と横たわっている

(かれはいろのおおきなさかみちをこえ、ますますこうりょうとしてきた。ときどき、かべもやねも)

枯葉色の大きな坂道を越え、ますます荒涼としてきた。時々、壁も屋根も

(いしづくりで、あらあらしいいわかどをおおうつたさえないこうやのいえをとおりすぎた。とつぜん、)

石造りで、荒々しい岩角を覆うツタさえない荒野の家を通り過ぎた。突然、

(おわんのようなくぼちがめにはいった。そこには、なんねんにもわたるはげしいあらしに)

お椀のような窪地が目に入った。そこには、何年にもわたる激しい嵐に

(ねじまげられた、はついくふりょうのおーくやもみがところどころにたっていた。)

捻じ曲げられた、発育不良のオークや樅がところどころに立っていた。

(ほそながいとうがにほん、きぎのうえにそびえたっていた。ぎょしゃはそれをむちでしめした。)

細長い塔が二本、木々の上にそびえ立っていた。御者はそれを鞭で示した。

(ばすかヴぃるかんです かれはいった。やかたのしゅじんはすでにたちあがり、)

「バスカヴィル館です」彼は言った。館の主人はすでに立ち上がり、

(こうちょうしたほおときらきらしためでみつめていた。すうふんご、ばしゃはばんごやのもんに)

紅潮した頬とキラキラした目で見つめていた。数分後、馬車は番小屋の門に

(とうちゃくした。れんてつせいのきみょうなめいろのようなあみめもようで、りょうがわにあめにうたれた)

到着した。錬鉄製の奇妙な迷路のような網目模様で、両側に雨に打たれた

(はしらがあり、ところどころこけにおおわれ、ばすかヴぃるけのいのししがうえにのっていた。)

柱があり、ところどころコケに覆われ、バスカヴィル家の猪が上に乗っていた。

(こやはくろいかこうがんとしだれぎがあばらぼねのようにむきだしになったはいきょだった。)

小屋は黒い花崗岩と垂木がアバラ骨のように剥き出しになった廃墟だった。

(しかし、そのむかいがわにはげんざいけんせつちゅうのあたらしいたてものがあった。それが、)

しかし、その向かい側には現在建設中の新しい建物があった。それが、

(さーちゃーるずがみなみあふりかごーるどでえたざいさんをさいしょにとうにゅうした)

サー・チャールズが南アフリカ・ゴールドで得た財産を最初に投入した

(けんぞうぶつだった。ばしゃはもんをとおりぬけ、ばしゃおおどおりにはいった。おちばでしゃりんのおとが)

建造物だった。馬車は門を通り抜け、馬車大通りに入った。落ち葉で車輪の音が

(またしずかになった。ふるいきぎがえだをさしかわし、ずじょうはうすぐらいとんねるに)

また静かになった。古い木々が枝を差し交わし、頭上は薄暗いトンネルに

(なっていた。ばすかヴぃるは、むこうがわでいえがゆうれいのようにぼんやりとみえる)

なっていた。バスカヴィルは、向こう側で家が幽霊のようにぼんやりと見える

(ながくくらいしゃどうをめにして、みぶるいした。ここですか?かれはちいさなこえで)

長く暗い車道を目にして、身震いした。「ここですか?」彼は小さな声で

(たずねた。いえ、いえ、いちいのこみちははんたいがわです わかきそうぞくにんは)

尋ねた。「いえ、いえ、イチイの小道は反対側です」若き相続人は

(いんうつなかおであたりをみまわした。こんなばしょなら、ふうんがやってくると)

陰鬱な顔であたりを見回した。「こんな場所なら、不運がやってくると

(おじがかんじてもふしぎはない かれはいった。 ここならだれでもぶきみにおもう)

叔父が感じても不思議はない」彼は言った。「ここなら誰でも不気味に思う

(はずです。6かげついないに、このうえにでんきゅうをいちれつにならべます。それから、げんかんとびらの)

はずです。6ヶ月以内に、この上に電球を一列に並べます。それから、玄関扉の

(まえにろうそく1000ぼんぶんのでんきゅうをおけば、にどとぶきみなかんじは)

前にロウソク1000本分の電球を置けば、二度と不気味な感じは

(しなくなるでしょう おおどおりがひろいしばふのなかにはいると、いえはめのまえだった。)

しなくなるでしょう」大通りが広い芝生の中に入ると、家は目の前だった。

(くらくなっていくひかりのなかで、わたしは、はりだしげんかんがついたちゅうおうのじゅうこうなれんがづくりの)

暗くなっていく光の中で、私は、張り出し玄関がついた中央の重厚な煉瓦造りの

(たてものをみることができた。しょうめんぜんたいがつたでおおわれていたが、ところどころかりとられ、)

建物を見る事ができた。正面全体がツタで覆われていたが、所々刈り取られ、

(まどやもんしょうが、くらいおおいのあいだからかおをのぞかせていた。このちゅうおうぶぶんのうえに、)

窓や紋章が、暗い覆いの間から顔をのぞかせていた。この中央部分の上に、

(じゅうがんやたくさんのしょうまどがあいたふるいにほんのとうがつきでていた。とうのさゆうは、)

銃眼や沢山の小窓が開いた古い二本の塔が突き出ていた。塔の左右は、

(くろみかげいしでつくられたひかくてきあたらしいとうになっていた。なかたてのあるまどごしに)

黒御影石で造られた比較的新しい棟になっていた。中立てのある窓越しに

(にぶいひかりがもれ、えいかくなやねにつきでたたかいえんとつから、くろいけむりがひとすじ)

鈍い光が漏れ、鋭角な屋根に突き出た高い煙突から、黒い煙が一筋

(たちのぼっていた。ようこそ、さーへんりー。ばすかヴぃるかんへ)

立ち昇っていた。「ようこそ、サー・ヘンリー。バスカヴィル館へ

(ようこそ!せのたかいおとこがげんかんのかげからあゆみでて、ばしゃのとびらをあけた。)

ようこそ!」背の高い男が玄関の影から歩み出て、馬車の扉を開けた。

(じょせいのすがたがげんかんほーるのきいろいひかりにかげとなってうかんでいた。そのじょせいが)

女性の姿が玄関ホールの黄色い光に影となって浮かんでいた。その女性が

(でてきておとこがばっぐをおろすのをてつだった。わたしはまっすぐいえにかえっても)

出てきて男がバッグを下ろすのを手伝った。「私は真っ直ぐ家に帰っても

(かまいませんか、さーへんりー?もーてぃまーはかせはいった。つまが)

構いませんか、サー・ヘンリー?」モーティマー博士は言った。「妻が

(まっていますので ごいっしょにゆうしょくでもいかがですか?いえ、もう)

待っていますので」「ご一緒に夕食でもいかがですか?」「いえ、もう

(いかないと。おそらくなにかしごとがまっているとおもいます。のこってやかたを)

行かないと。おそらく何か仕事が待っていると思います。残って館を

(ごあんないしようとおもっていましたが、ばりもあはわたしよりもうまくあんないしてくれる)

ご案内しようと思っていましたが、バリモアは私よりも上手く案内してくれる

(でしょう。さようなら。もしわたしがおやくにたてるなら、いつでもごえんりょなく)

でしょう。さようなら。もし私がお役に立てるなら、何時でもご遠慮なく

(よびにきてくださいさーへんりーとわたしがげんかんほーるをあるいてると、)

呼びに来てください」サー・ヘンリーと私が玄関ホールを歩いてると、

(しゃりんのおとがばしゃみちにきえ、とびらがおもおもしいおとをたててしまった。あしを)

車輪の音が馬車道に消え、扉が重々しい音をたてて閉まった。足を

(ふみいれたのは、ひろびろとしたみごとなへやで、たかいてんじょうには、くろくすすけたふとい)

踏み入れたのは、広々とした見事な部屋で、高い天井には、黒くすすけた太い

(おーくのしだれぎがはしっていた。ねんだいもののきょだいなだんろのなかでは、たかいてつだいにおかれた)

オークの垂木が走っていた。年代物の巨大な暖炉の中では、高い鉄台に置かれた

(まきがおおきなほのおをあげ、かわいたおとをたてて、はじけている。)

薪が大きな炎を上げ、乾いた音をたてて、はじけている。

(へんりーばすかヴぃるとわたしは、ながいばしゃのいどうでかじかんだてをひに)

ヘンリー・バスカヴィルと私は、長い馬車の移動でかじかんだ手を火に

(かざした。みまわすと、ほそながくそびえたつふるびたすてんどぐらす、)

かざした。見まわすと、細長くそびえ立つ古びたステンド・グラス、

(おーくのかべ、ならぶしかのあたま、しほうのかべをうめるもんしょう、すべてがへやのちゅうおうに)

オークの壁、並ぶシカの頭、四方の壁を埋める紋章、すべてが部屋の中央に

(おかれたらんぷのよわよわしいひかりにてらされて、うすぐらくいんきだった。)

置かれたランプの弱々しい光に照らされて、薄暗く陰気だった。

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