岡本かの子『愚かな男の話』

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投稿者投稿者由佳梨いいね5お気に入り登録
プレイ回数4481難易度(5.0) 2930打 長文
童話のような五つの教訓から成る愚な男の小説。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 kanta 4872 B 5.0 96.1% 568.3 2884 115 46 2024/03/02
2 もっちゃん先生 4625 C++ 4.8 95.0% 599.9 2927 152 46 2024/02/04
3 ねね 3809 D++ 3.9 96.7% 744.7 2934 97 46 2024/02/13
4 ぼりぼりさん 2834 E+ 3.0 94.6% 973.5 2925 166 46 2024/03/03

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問題文

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(まる)

(「あるいなかに2りののうふがあった。りょうほうとものうさくじまんのおとこであった。あるとき、)

「或る田舎に二人の農夫があった。両方共農作自慢の男であった。或る時、

(2りはじまんのはなつきあわせてしゃべりあらそったすえ、それではじっさいのせいせきのうえでしょうこを)

二人は自慢の鼻突き合せて喋べり争った末、それでは実際の成績の上で証拠を

(みせあおうということになった。それにはたがいにかんしょをさいばいして、どっちがあまいのが)

見せ合おうという事になった。それには互に甘蔗を栽培して、どっちが甘いのが

(できるか、それによってしょうぶをけっしようとやくそくした。ところでいっぽうのおとこが)

出来るか、それによって勝負を決しようと約束した。ところで一方の男が

(かんがえた。かんしょはがんらいあまいものであるが、そのあまいものへもってきてさとうのしるを)

考えた。甘蔗は元来甘いものであるが、その甘いものへもって来て砂糖の汁を

(ひりょうとしてかけたら1そうあまいかんしょができるにそういない。これはめいあんめいあん!と、)

肥料としてかけたら一層甘い甘蔗が出来るに相違ない。これは名案々々! と、

(せっせとかんしょのなえにさとうじるをかけた。そしたらなえはくさってしまった」)

せっせと甘蔗の苗に砂糖汁をかけた。そしたら苗は腐ってしまった」

(まる)

(「あるところにおろかなおとこがあった。ちじんがかおくをしんちくしたというのではいけんに)

「或ところに愚な男があった。知人が家屋を新築したというので拝見に

(でかけた。ふしんはじょうできで、どこもかしこもかんしんしたなかにとくにかべのぬりの)

出かけた。普請は上出来で、何処も彼処も感心した中に特に壁の塗りの

(できばえがめにとまった。そこでおとこはちじんにそのぬりかたをきいてみた。ちじんが)

出来栄えが目に止まった。そこで男は知人に其の塗り方を訊いてみた。知人が

(いうには、このかべはつちにもみがらをまぜてぬったのでこうじょうぶにできたのであると)

言うには、此の壁は土に籾殻を混ぜて塗ったので斯う丈夫に出来たのであると

(こたえた。おろかなおとこはかんがえた。つちにもみがらをまぜてさえああみごとにできるのである。)

答えた。愚な男は考えた。土に籾殻を混ぜてさえああ美事に出来るのである。

(1そう、みのはいっているもみをまぜてぬったらどんなにりっぱなかべができるだろう。)

一層、実の入っている籾を混ぜて塗ったらどんなに立派な壁が出来るだろう。

(そしてこんどはじぶんのいえをしんちくするさいに、このぷらんをじっこうしてみた。そしたら)

そして今度は自分の家を新築する際に、此のプランを実行してみた。そしたら

(かべはくさった」いじょう2わとも、あまりいきごんでていどをこしたかんがえは、かえって)

壁は腐った」以上二話とも、あまり意気込んで程度を越した考えは、却って

(ふせいせきをまねくというどうりのたとえばなしになるようである。)

不成績を招くという道理の譬え話になるようである。

(まる)

(「あるところにずるくてちえのたりないおとこがあった。1つきばかりさきにきゃくをよんで)

「或るところに狡くて知慧の足りない男があった。一月ばかり先に客を招んで

など

(えんかいをすることになった。ところでそのえんかいにつかうぎゅうにゅうであるが、そうとうたくさんの)

宴会をすることになった。ところで其の宴会に使う牛乳であるが、相当沢山の

(ぶんりょうがいるのである。それをそのとき、ほうぼうからかいあつめるのではひようもかかり)

分量が要るのである。それを其の時、方々から買い集めるのでは費用もかかり

(てすうもかかると、おとこはかんがえたのである。そこでちじんからちちのでるめうしを1かげつの)

手数もかかると、男は考えたのである。そこで知人から乳の出る牝牛を一ヶ月の

(やくそくでちんがりしてにわにつないでかっておいた。めうしのはらからでるぎゅうにゅうをまいにち)

約束で賃借りして庭に繋いで飼って置いた。牝牛の腹から出る牛乳を毎日

(しぼらずにめうしのはらにためておいたなら、えんかいまでには30にちぶんのものがたまって)

搾らずに牝牛の腹に貯めて置いたなら、宴会までには三十日分のものが貯って

(じゅうぶんいりようのりょうにはなるだろうとおもったのである。えんかいのひがきた。おとこは)

充分入用の量にはなるだろうと思ったのである。宴会の日が来た。男は

(してやったりとばかりめうしのちちをしぼった。そしたらめうしのはらからはやっぱり)

してやったりと許り牝牛の乳を搾った。そしたら牝牛の腹からはやっぱり

(1にちぶんのぶんりょうしかぎゅうにゅうはでなかった」)

一日分の分量しか牛乳は出なかった」

(まる)

(「なにかてがらがあったのでほうびにおうさまからほふったらくだを1ぴきもらったおとこがあった。)

「何か勲功があったので褒美に王様から屠った駱駝を一匹貰った男があった。

(おとこはよろこんでりょうりにとりかかった。なにしろおおきならくだ1ぴきりょうりするのであるから)

男は喜んで料理に取りかかった。なにしろ大きな駱駝一匹料理するのであるから

(てすうがかかる。きりさくほうちょうはじききれなくなってなんべんもとぎなおさねば)

手数がかかる。切り剖く庖丁はじき切れなくなって何遍も研ぎ直さねば

(ならなかった。おとこはかんがえた。こういちいちとぎなおすのではてすうがかかって)

ならなかった。男は考えた。こう一々研ぎ直すのでは手数がかかって

(やりきれない。1ぺんにいくどぶんもといどいてやろう。そこでおとこは23にちがかりで)

やり切れない。一遍に幾度分も研いどいてやろう。そこで男は二三日がかりで

(ほうちょうばかりとぎにかかった。かくて、ほうちょうのはがねはとぎへり、らくだはしょきに)

庖丁ばかり研ぎにかかった。かくて、庖丁の刃金は研ぎ減り、駱駝は暑気に

(くさってしまった」)

腐ってしまった」

(まる)

(「やはりおろかなおとこがあった。はらがへっていたのでありあわせのせんべいをつまんでは)

「やはり愚な男があった。腹が減っていたので有り合せの煎餅をつまんでは

(たべた。1まいたべ、2まいたべしていって7まいめのせんべいをはんぶんたべたとき、かれの)

食べた。一枚食べ、二枚食べして行って七枚目の煎餅を半分食べたとき、彼の

(はらはちょうどいっぱいになったのをかんじた。おとこはかんがえた、はらをくちくしたのはこの)

腹はちょうど一ぱいになったのを感じた。男は考えた、腹をくちくしたのは此の

(7まいめのはんぶんであるのだ。さすればまえにたべた6まいのせんべいはむだというもので)

七枚目の半分であるのだ。さすれば前に食べた六枚の煎餅は無駄というもので

(ある。それからというものは、おとこははらがへってせんべいをたべるときには、まず)

ある。それからというものは、男は腹が減って煎餅を食べるときには、先ず

(せんべいをとってかぞえた。1まい、2まい、3まい、4まい、5まい、6まい、そしてこれらの)

煎餅を取って数えた。一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、そしてこれ等の

(6まいのせんべいはかぞえただけでくわないのである。かれは7まいめにあたったせんべいをくちへ)

六枚の煎餅は数えただけで食わないのである。彼は七枚目に当った煎餅を口へ

(もっていきはんぶんだけくった。そしてそれだけではいっこうはらがくちくならないのを)

持って行き半分だけ食った。そしてそれだけでは一向腹がくちくならないのを

(いかにもふしぎそうにかんがえこんだ」)

如何にも不思議そうに考え込んだ」

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