赤い糸

(あのへやのかぎをあなたはまたきょうも)

あの部屋の鍵を　あなたはまた今日も

(きっとかけてはいないんでしょう)

きっとかけてはいないんでしょう

(もうもどらないよあなたのもとには)

もう戻らないよ　あなたのもとには

(まだすきなのはわたしもおなじだけど)

まだ好きなのは私も同じだけど

(だらしないそのやさしさのせい)

だらしないその優しさのせい

(さよならさえもゆだねないでよ)

さよならさえも委ねないでよ

(すこしはあなたもわるものになって)

少しはあなたも悪者になって

(ふたりできめたでしょ)

二人で 決めたでしょ

(いいよあかいいとはわたしがきるね)

いいよ赤い糸は私が切るね

(あなたはきっときれないでしょ)

あなたはきっと切れないでしょ

(ひっぱりあったゆびのいたみと)

引っ張りあった指の痛みと

(ふじゆうこそがあいとしんじた)

不自由こそが愛と信じた

(そんないとはわたしがきるね)

そんな糸は私が切るね

(ほんとうはにがてなこーひーのさんみ)

本当は苦手なコーヒーの酸味

(ふたつめのかくざとうでごまかすみたいな)

二つ目の角砂糖でごまかすみたいな

(あますぎるひびがむしばんでたのは)

甘すぎる日々が蝕ばんでたのは

(あなたのゆめとわたしのためのしあわせ)

あなたの夢と　私のための幸せ

(らいしゅうとらいせのやくそくばかり)

来週と来世の約束ばかり

(らいねんいこうのはなしはなくて)

来年以降の話はなくて

(わらっていたくてふかおいせずに)

笑っていたくて　深追いせずに

(うまれかわれないまま)

生まれ変われないまま

(いいよあかいいとはわたしがきるね)

いいよ赤い糸は 私が切るね

(あなたはきっときれないでしょ)

あなたはきっと切れないでしょ

(ひっぱりあったそのはんどうで)

引っ張りあった その反動で

(つきはなされるふたりのきょり)

突き放される 二人の距離

(そのぬくもりがこぼれたえがおが)

そのぬくもりが こぼれた笑顔が

(あいのことばがふいのしぐさが)

愛の言葉が ふいの仕草が

(だいすきだったまもりたかった)

大好きだった 守りたかった

(だからごめんねひびをありがとう)

だからごめんね 日々をありがとう

(あかいいとをわたしがきってやっぱりこれでよかったんだと)

赤い糸を私が切って やっぱりこれでよかったんだと

(くりかえしただいいきかせてときがふたりをとかしてゆく)

繰り返しただ言い聞かせて 時が二人を溶かしてゆく

(あかいいとをわたしはきったあなたはいまどうしてますか)

赤い糸を私は切った あなたは今どうしてますか

(あたらしいいとむすんでますか)

新しい糸 結んでますか

(つぎはまなんですこしゆるめに)

次は学んで 少し緩めに

(たとえばいまのわたしみたいに)

例えば今の 私みたいに