コントレイル／葛葉

(かたるいとまないきょうへのこんとれいる)

語る暇ない　今日への飛行機雲

(きみのいろなくつづくえはえがけない)

君の色彩なく　つづく絵は画けない

(あのころのじぶんはなんていうかな)

あの頃の自分は　なんて言うかな

(りんかくのないかぜにとまどっていたね)

輪郭のない風に　戸惑っていたね

(ねがいもじだいもあいもなにも)

願いも時代も哀も何も

(きまぐれでうつろいやすいけれど)

気紛れで移ろい易いけれど

(しろくじぼくらはただゆめみた)

四六時　僕等は只　夢視た

(ゆびおりあるこうかいぶきようなかんじょうすべて)

指折りある後悔　不器用な感情　すべて

(このはねへとおりこんだひとひらだ)

この羽根へと織り込んだ一片だ

(せわしないせかいでまごころにかわんないものを)

忙しない世界で　真心に変わんないものを

(ひきつれてわたろうかまだなもないこっきょうを)

引き連れて渡ろうか　まだ名もない国境を

(ことばはいつもうちゅうみたいだ)

言葉はいつも　宇宙みたいだ

(うまれでたとたんすれちがっていってしまう)

産まれ出た途端　擦れ違って行ってしまう

(だけれどとめどないこのおもい)

だけれど止め処ないこの想い

(わずかでもつたええるすべさがすよ)

僅かでも伝え得る術　探すよ

(まだひかりにみたないぼくをみつけたひとへ)

「まだ光に満たない　僕を見つけたひとへ」

(くったくのないえがおにつけるうそはない)

屈託のない笑顔に　吐ける嘘はない

(きおいもなくいまはかぜにのる)

気負いもなく　今は風に乗る

(ゆびきりしたやくそくぶきようなかんじょうすべて)

指切りした約束　不器用な感情　すべて

(このはねへとおりこんだひとひらだ)

この羽根へと織り込んだ一片だ

(たとえはなれてもまごころのてをはなすな)

たとえ離れても　真心の手を離すな

(こえるときはいっしょだろうみらいというこっきょうを)

越える瞬間は一緒だろう　未来という国境を

(なんじゅっかいなんびゃっかいよるこえて)

何十回　何百回　夜越えて

(かたるいとまないあすへのこんとれいる)

語る暇ない　明日への飛行機雲

(きみのいろなくぼくのえはえがけない)

君の色彩なく　僕の絵は画けない