人魚姫 8

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プレイ回数1220難易度(4.3) 2674打 長文
原作 アンデルセン

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(にんぎょひめはないふをにぎりしめて、)

人魚姫はナイフを握りしめて、

(おうじさまのしんしつの、むらさきいろのまくをあけました。)

王子様の寝室の、紫色の幕を開けました。

(おうじさまははなよめとならんで、しあわせそうにねむっていました。)

王子様は花嫁と並んで、幸せそうに眠っていました。

(どんなゆめをみているのでしょうか。)

どんな夢を見ているのでしょうか。

(おうじさまはほほえんで、かすかにくちをうごかしました。)

王子様は微笑んで、かすかに口を動かしました。

(いまにもめをあけて、いつものようににんぎょひめにやさしくはなしかけてきそうでした。)

今にも目を開けて、いつものように人魚姫に優しく話しかけてきそうでした。

(ないふをもったにんぎょひめのてが、ぶるぶるふるえだしました。)

ナイフを持った人魚姫の手が、ぶるぶる震えだしました。

(「ああ、だいすきなおうじさま!やさしかったおうじさま!)

「ああ、大好きな王子様!優しかった王子様!

(おうじさまをこのてでさしころすなんて、どうして、どうして、できるでしょう・・」)

王子様をこの手で刺し殺すなんて、どうして、どうして、できるでしょう・・」

(おうじさまをみつめるにんぎょひめのめから、なみだがあふれました。)

王子様を見つめる人魚姫の目から、涙が溢れました。

(「はやく!はやくしなさい!ひがのぼったら、もうおしまいよ!」)

「早く!早くしなさい!日が昇ったら、もうおしまいよ!」

(おねえさまたちのこえが、かすかにきこえてきました。)

お姉さまたちの声が、かすかに聞こえてきました。

(にんぎょひめはないふをみ、おうじさまをみました。)

人魚姫はナイフを見、王子様を見ました。

(「ああ、おうじさまをころすくらいなら、このわたしがしんでうみのあわになるほうがいいわ」)

『ああ、王子様を殺すくらいなら、この私が死んで海の泡になる方がいいわ』

(にんぎょひめはないふをうみになげすてました。)

人魚姫はナイフを海に投げ捨てました。

(そしておうじさまに、おわかれのきすをしました。)

そして王子様に、お別れのキスをしました。

(「おうじさま、さようなら・・・」)

『王子様、さようなら・・・』

(にんぎょひめはそのままからだをひるがえすと、)

人魚姫はそのまま体をひるがえすと、

(よあけのうみへ、さっととびこんだのです。)

夜明けの海へ、さっと飛び込んだのです。

(おひさまがしずかにのぼってきました。)

お日さまが静かに昇ってきました。

など

(かわいそうなにんぎょひめのしずんだあたりに、)

かわいそうな人魚姫の沈んだあたりに、

(きらきらと、きんいろのさざなみがたつのがみえました。)

きらきらと、金色のさざ波が立つのが見えました。

(にんぎょひめがあわになったからでしょうか。)

人魚姫が泡になったからでしょうか。

(なみのうえに、すきとおったなにかうつくしいものが、ゆらゆらとただよいはじめました。)

波の上に、透き通った何か美しいものが、ゆらゆらと漂い始めました。

(それといっしょに、すがすがしいおんがくがそよかぜのように)

それと一緒に、すがすがしい音楽がそよ風のように

(そこらいちめんにひびいてきました。)

そこら一面に響いてきました。

(にんぎょひめは、じぶんのからだがとけてすきとおり)

人魚姫は、自分の体がとけて透き通り

(うみのあわのなかから、ふわふわうきあがるのをかんじました。)

海の泡の中から、ふわふわ浮き上がるのを感じました。

(「わたしはどこへいくのかしら」)

『私はどこへ行くのかしら』

(にんぎょひめはたずねました。すると、ふしぎなこえがしました。)

人魚姫は尋ねました。すると、不思議な声がしました。

(「あなたはそよかぜのせいになったのです。)

「あなたはそよ風の精になったのです。

(にんげんのせかいへとびこんで、あなたはくるしんだりかなしんだりしましたね。)

人間の世界へ飛び込んで、あなたは苦しんだり悲しんだりしましたね。

(でも、やさしくせいいっぱいいきようとしたあなたに、)

でも、優しく精一杯生きようとしたあなたに、

(かみさまがあたらしいいのちをおさずけくださったのですよ。)

神様が新しい命をお授けくださったのですよ。

(きょうからあなたは、わたしたちそよかぜのせいといっしょに)

今日からあなたは、私たちそよ風の精と一緒に

(はなのかおりをふりまくたびにでるのですよ」)

花の香りを振りまく旅に出るのですよ」

(にんぎょひめは、すきとおったりょうてをあげてかみさまにかんしゃしました。)

人魚姫は、透き通った両手をあげて神様に感謝しました。

(なぜか、なみだがあふれました。)

なぜか、涙が溢れました。

(ふねのうえがさわがしくなりました。)

船の上が騒がしくなりました。

(みると、めをさましたおうじさまとはなよめが、にんぎょひめをさがしているのでした。)

見ると、目を覚ました王子様と花嫁が、人魚姫を探しているのでした。

(やがておうじさまは、にんぎょひめがうみへとびこんでしまったことに)

やがて王子様は、人魚姫が海へ飛び込んでしまったことに

(きがついたのでしょうか。)

気がついたのでしょうか。

(「やさしいむすめだったのに・・・」)

「優しい娘だったのに・・・」

(おうじさまははなよめといっしょに、なみだぐみながら)

王子様は花嫁と一緒に、涙ぐみながら

(いつまでもあおいなみのうえをみつめていました。)

いつまでも青い波の上を見つめていました。

(いまはもうくうちゅうをただよって、にんげんのめにはみえないにんぎょひめは)

今はもう空中を漂って、人間の目には見えない人魚姫は

(はなよめのひたいにきすをし、おうじさまにもほほえみかけました。)

花嫁のひたいにキスをし、王子様にも微笑みかけました。

(そよかぜのせいたちがいいました。)

そよ風の精たちが言いました。

(「わたしたちはうつくしいはなのかおりをもって、こどもたちのいるにんげんのいえのなかやおにわを)

「私たちは美しい花の香りを持って、子供たちのいる人間の家の中やお庭を

(いつもたずねてまわるのよ。あついくにではすずしいかぜもいっしょにとどけるの」)

いつも訪ねて回るのよ。暑い国では涼しい風も一緒に届けるの」

(「にんげんたちを、はなのかおりでたのしませたり、げんきづけたり)

「人間たちを、花の香りで楽しませたり、元気づけたり

(びょうきだってなおしてあげられるわ。そうして、にんげんのしあわせをいっしょにわけあうのよ」)

病気だって治してあげられるわ。そうして、人間の幸せを一緒に分け合うのよ」

(「にんげんのしあわせを、いっしょにわけあうのね」)

『人間の幸せを、一緒に分け合うのね』

(にんぎょひめはおおきくうなずいて、ほほえみました。)

人魚姫は大きくうなずいて、微笑みました。

(そして、すきとおったそよかぜのせいたちといっしょに、ばらいろのよあけのくもにのって)

そして、透き通ったそよ風の精たちと一緒に、ばら色の夜明けの雲にのって

(ふわふわと、たかくたかくまいのぼっていったのです。)

ふわふわと、高く高く舞い昇っていったのです。

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