春じゃないわ

(かぜのようにあなたはどこかへきえてくのね)

風のようにあなたはどこかへ消えてくのね

(そのあいだにことばはのりおくれたわ)

その間に言葉は乗り遅れたわ

(ものがたりはだれかのつくりあげたものなの)

物語は誰かの作り上げたものなの

(やめてもうわかったことだから)

やめてもう分かったことだから

(こころにひびがはしった)

心に罅が走った

(けせないしみがのこった)

消せない染みが残った

(ひそかにはるをおもった)

密かに春を想った

(あなたいまなにをみてるの)

あなた今何を見てるの

(それもうそ？あたしばかみたい)

それも嘘？あたし馬鹿みたい

(これじゃすこしもすくわれない)

これじゃ少しも救われない

(ひとりよがりね)

独り善がりね

(このごにおよんでおまえがいちばんだいじなんてわらっちゃうわ)

この期に及んでお前が一番大事なんて笑っちゃうわ

(あぁなんだかやかましい)

あぁなんだかやかましい

(あたまぐるぐるといそがしい)

頭ぐるぐると忙しい

(ほんとのとこはもうわかってるでしょ)

ほんとのとこはもう分かってるでしょ

(いじわるしないで)

意地悪しないで

(なけどわめけどひびはむじょうにすぎてくから)

泣けど喚けど日々は無常に過ぎてくから

(そのあいだにあなたをみうしなったわ)

その間にあなたを見失ったわ

(むくなままでいたなら)

無垢なままでいたなら

(なにかがちがったのかな)

何かが違ったのかな

(なんてもうおわったことだから)

なんてもう終わったことだから

(そぞろにあるきまわった)

そぞろに歩き回った

(どこかにかげをさがして)

どこかに影を探して

(きおくにはりをおとした)

記憶に針を落とした

(あたしいまなにをいえばいい)

あたし今何を言えばいい

(そこにまだあいがあるのなら)

そこにまだ愛があるのなら

(あかるいばしょへむかわないで)

明るい場所へ向かわないで

(おいていかないで)

置いていかないで

(みえすいたそんなうそではひとのこころはきっとうばえないわ)

見え透いたそんな嘘では人の心はきっと奪えないわ

(あぁそれでもいとおしい)

あぁそれでも愛おしい

(だまされてるのがここちよい)

騙されてるのが心地良い

(こんなじんせいじゃもうあきらめなどかなわぬゆめなの)

こんな人生じゃもう諦めなど叶わぬ夢なの

(まっていたってなくなってしまって)

待っていたって無くなってしまって

(またないてくるまって)

また泣いて包まって

(そっとうらぎってはしりさってはなになってわらうの)

そっと裏切って走り去って花になって笑うの

(みらいとかかこだとかないものばっかにすがって)

未来とか過去だとか無いものばっかに縋って

(おっこちたきょうをうりはらってひげきをえんじてる)

落っこちた今日を売り払って悲劇を演じてる

(これじゃおとぎばなしだわ)

これじゃ御伽噺だわ

(もうだれもいないから)

もう誰も居ないから

(かざりはぜんぶとってすててくわ)

飾りは全部取って捨ててくわ

(おわらせましょうね)

終わらせましょうね

(いまからでもおそくないってほんきでおもうなんてわらわせんな)

今からでも遅くないって本気で思うなんて笑わせんな

(あぁほんとうにうとましい)

あぁ本当に疎ましい

(あたしいますこしいそがしい)

あたし今少し忙しい

(どうせこんなうたもわかんないのよあなたのあたまじゃ)

どうせこんな歌もわかんないのよあなたの頭じゃ