延命治療　タイピング

(からだじゅうにますいをさして)

体中に麻酔を刺して

(これはこれでしあわせなんだって)

これはこれで幸せなんだって

(にしをみればにんぎょうあそび)

西を見れば　人形遊び

(ひがしみればえいぎょうてきにやんじゃってさ)

東見れば　営業的に病んじゃってさ

(おかしいんだあたまのなかがばぐっちゃって)

可怪（おか）しいんだ　頭の中がバグっちゃって

(でぃれいかしらいふもわかんないや)

ディレイ仮死ライフも分かんないや

(にしんすうないふにくるっていて)

二進数ナイフに狂っていて

(とれないぎぷす)

取れないギプス

(きかいとぷらいどのあいだでくらむびょうじょう)

機械と　プライドの間で　暗む病状

(ぼくらくだだらけのてあしできずをつけあいました)

僕ら　管だらけの手足で　傷を付け合いました

(ちりょうほうはじゅかいのなかでもうろう)

治療法は樹海の中で　朦朧

(どうかここからつれだしてよ)

どうか　ここから　連れ出してよ

(ほらねむくなる)

「ほら、眠くなる。」

(ふせいみゃくにゆれるきばしは)

不整脈に揺れる木橋は

(にぶいこえあげてくずれた)

鈍い声上げて崩れた

(ぶあいそうにけりおとされて)

無愛想に蹴り落とされて

(そらにわらわれました)

空に笑われました

(しゅじゅつだいのうえにのこした)

手術台の上に残した

(きのうのぼくがないていたと)

昨日の僕が泣いていたと

(きせきにすがるあしたに)

奇跡に縋る明日に

(なにをのぞめばいいのですか)

何を望めばいいのですか

(じゆうもみらいぞうでさえくらいめぶくしょうじょう)

自由も　未来像でさえ喰らい　芽吹く症状

(ぼくらいつのひにかかたをだきであうはずだったんだ)

僕ら　いつの日にか　肩を抱き　出会うはずだったんだ

(りそうきょうもうしなうかくりびょうとう)

理想郷も失う　隔離病棟

(どうせさいしょからしってたよ)

どうせ　最初から　知ってたよ

(いってしまえばきょうもあしたもきっとらくになれるんだろう)

言ってしまえば　今日も明日もきっと　楽になれるんだろう

(ぜんぶぼくがわるいんだとぜんぶぼくがわるいんだと)

全部僕が悪いんだと　全部僕が悪いんだと

(いつかゆめみたようなおとなになんてなれやしないんだよ)

いつか夢見たような　大人になんて　なれやしないんだよ

(ならばなにになりゃいいんだい)

ならば　何になりゃいいんだい

(えんめいえんめいをちょうだい)

延命　延命を頂戴

(しょうめいしょうめいのもんだい)

証明　証明の問題

(びょうめいびょうめいはこうかい)

病名　病名は『後悔』

(どうだい)

どうだい