己龍　悦ト鬱

(あれからいくにちがたつのでしょう・・・こころはもうそのかたちをとどめることなどできないのです)

あれから幾日が経つのでしょう…心はもうその形を留める事など出来ないのです

(からからから・・・とまわるあかいかぜのねがゆいいつわたしをうつつにしばるてかせ)

からからから…と回る赤い風の音が唯一私を現に縛る手枷

(あれからいくにちもたたぬまに「ぜつをのぞむ」おもいだけがこころをむしばみくらうのです)

あれから幾日も経たぬ間に「絶ヲ望ム」想いだけが心を蝕み喰らうのです

(からからから・・・とまわるあかいかぜのねもどこかゆめ・・・？)

からからから・・・と回る赤い風の音も何処か夢・・・？

(それともうつつのまどろみ・・・？)

それとも現の微睡・・・？

(おくをのぞけばめにうつるこくありさまはぶざませまるるよいのこく)

奥を覗けば目に映る酷　有様は無様 追る宵の刻

(さいてさいてさきみだれちるがはなのえつ)

咲いて 咲いて 咲き乱れ 散るが花の悦

(あでにみえたあだのはなまぶしいやみのはこ)

艶に見えた徒の花 眩しい闇の匣

(かれてかれてかれくちてさくははなのうつ)

枯れて 枯れて 枯れ朽ちて 咲くは花の鬱

(けっしてさかぬあだのはなゆめゆめわすれぬよう)

決して咲かぬ徒の花 努々忘れぬ様

(おぼれて・・・うかびあがり・・・せつな・・・)

溺れて…浮かび上がり…刹那…

(はじけて・・・くずれきえてしまう・・・そんなわたしは・・・)

弾けて…崩れ消えてしまう…そんな私は…

(「うたかた」)

「泡沫」

(くるくるくる・・・からからから・・・)

くるくるくる…からからから…

(あかいかぜのねがいざなういざよいいざさらば)

赤い風の音が誘う十六夜いざさらば

(おくをのぞけばめにあまるこくありさまはぶざませまるよいのこく)

奥を覗けば目に余る酷　有様は無様 迫る宵の刻

(さいてさいてさきみだれちるがはなのえつ)

咲いて 咲いて 咲き乱れ 散るが花の悦

(あでにみえたあだのはなまぶしいやみのはこ)

艶に見えた徒の花 眩しい闇の匣

(かれてかれてかれくちてさくははなのうつ)

枯れて 枯れて 枯れ朽ちて 咲くは花の鬱

(けっしてさかぬあだのはなゆめゆめわすれぬよう)

決して咲かぬ徒の花 努々忘れぬ様