RED WALTZ

(らんのはなをめでるようにあなたのしたが)

蘭の華を愛でるように　あなたの舌が

(よびつづけたわたしの)

呼びつづけた私の

(なまえはいつわりだったの)

名前は　偽りだったの

(あんやくするかげにこころをうったおんな)

暗躍する影に　心を売った女

(どんないのちもくさばなのように)

どんな命も　草花のように

(ちらすつめたいゆびをもつの)

散らす冷たい指を持つの

(たったひとつこわいものがある)

たったひとつ　怖いものがある

(このてをくるわせるはこい)

この手を狂わせるは　恋

(むなもとかくしたどく)

胸元　隠した毒

(またひとやためらわせ)

また一夜　躊躇わせ

(なぜあなたはうたがいもしない)

何故あなたは　疑いもしない

(やさしいまなざしなの)

優しい　眼差しなの

(だめこれいじょうみつめないで)

だめ　これ以上見つめないで

(ただふたりおどりましょう)

ただふたり踊りましょう

(わたしがくろいてぶくろ)

私が黒い手套(てぶくろ)

(しずかにはずすまで)

静かに　外すまで

(よごれたこのまちでゆいいつうつくしいよあけ)

汚れたこの街で　唯一美しい夜明け

(かがやくひかりうけて)

輝く　ひかり受けて

(うまれかわれたらいいのに)

生まれ変われたらいいのに

(げきどうのじだいはひとびとのじんせいを)

激動の時代は　人々の人生を

(まきこんでゆくきしむはぐるま)

巻き込んでゆく　軋む歯車

(とめることなどできないのよ)

止める事など　できないのよ

(もうひとつもこわいものはない)

もうひとつも　怖いものはない

(このてがゆらぐのならこい)

この手が揺らぐのなら　恋

(こいしたそれがあかし)

恋した　それが証し

(くつもとへおちるびん)

靴元へ　落ちる小壜(びん)

(もしへいわというよのなかなら)

もし平和という　世の中なら

(しあわせめぐらせてくあい)

幸せ　巡らせてく　愛

(あいするだけのためにいきられた)

愛するだけの為に　生きられた

(でもここでおどりましょう)

でも此処で踊りましょう

(けしておわることないさいごのわるつを)

けして終わることない　最後のワルツを

(いまあなたがわたしのてをとり)

いまあなたが　私の手を取り

(ゆびへとはめるものは)

指へと　嵌めるものは

(あかまっかな)

赤　真っ赤な

(あさやけとおなじいろのゆびわなの？)

朝焼けと同じ色の　指輪なの？

(ああどうしてきづいていたでしょ)

ああどうして　気づいていたでしょ

(つよくていけないひと)

強くて　いけない人

(だめこれいじょううごけないわ)

だめ　これ以上動けないわ

(だきとめてあとすこし)

抱きとめて　あと少し

(このひとみがあなたをうつしたまま)

この瞳が　あなたを映したまま

(しずかにとじるまで)

静かに　閉じるまで