歌鳥風月【Aimer】

(はるかすみたつすずろにうたひとつ)

春　霞たつ　すずろに歌ひとつ

(はなほどにまちわびるあえぬきみのねを)

花ほどに待ちわびる　逢えぬ君の音を

(あめけむりたついつしかゆめうつつ)

雨　煙立つ　いつしか夢現

(よみびとなもしれずふるえるつぼみよ)

詠み人　名も知れず　ふるえる蕾よ

(かすかにかおるおもかげはおどる)

かすかに香る　面影は踊る

(おそきひにたそかれはとすいこまれた)

遅き日に誰そ彼はと　すいこまれた

(いくせんもさがしてたうすべにいろにさくはなを)

幾千も探してた　薄紅色に咲く花を

(なまえもないひみつのもりを)

名前もない秘密の森を

(そめるようなまぼろしを)

染める様な幻を

(さかないのならうたをはなむけとし)

咲かないのなら　歌を餞とし

(とりにかぜにつきに)

鳥に　風に　月に

(むすんだいとを)

結んだ糸を

(そっとたぐりよせるためのあわいいのり)

そっと手繰り寄せるための淡い祈り

(よるくもはれずおぼろにつきひとつ)

夜　雲晴れず　朧に月ひとつ

(ちりゆくはなのようにこぼれるひかりを)

散りゆく花の様に　こぼれる光を

(よわたるつきのかくらくおしも)

夜渡る月の　隠らく惜しも

(おぼえずはるのゆめよとこいこがれた)

覚えず春の夢よと　恋い焦がれた

(いくせんののをこえて)

幾千の野を越えて

(さすらうようにふくかぜの)

流離う様に吹く風の

(ちるはなのかもなきもりを)

散る花の香もなき森を

(とおりぬけるさみしさよ)

通り抜ける寂しさよ

(なけないのなら)

鳴けないのなら

(うたをとまりぎとしとりよこよいそばに)

歌を止まり木とし　鳥よ　今宵　傍に

(かさねたこえをそっとかぜにのせる)

重ねた声を　そっと風にのせる

(とおきふゆのきみに)

遠き冬の君に

(いくせんもさがしてたうすべにいろにさくはなを)

幾千も探してた　薄紅色に咲く花を

(なまえもないひみつのもりを)

名前もない秘密の森を

(そめるようなまぼろしを)

染める様な幻を

(さかないのならうたをはなむけとし)

咲かないのなら　歌を餞とし

(とりにかぜにつきに)

鳥に　風に　月に

(むすんだいとを)

結んだ糸を

(そっとたぐりよせるためのあわいいのり)

そっと手繰り寄せるための淡い祈り

(いまもとおききみに)

今も　遠き　君に