鳥人間たかし

(なんびゃっかいめのあさに)

何百回目の朝に

(ぼくはめざめるのだらふ)

僕は目覚めるのだらふ

(にげばもなくみらいもなく)

逃げ場も無く　未来も無く

(ゆつくりとぼくはしんでいかう)

ゆつくりと僕は死んで逝かう

(それにくらべきみらは)

それに比べ　君等は

(ぼくのことなんてわすれてさぁ)

僕の事なんて忘れてサァ

(みらいもあるきぼうもある)

未来も有る　希望も有る

(そんなあしたをいきていくのせう)

そんな明日を生きて逝くのでせう

(なんびゃっかいめのよるに)

何百回目の夜に

(ぼくはつよくなれるのだらふ)

僕は強くなれるのだらふ

(ずのうもなくちからもなひ)

頭脳も無く　力も無ひ

(おのれをのろえばよいのだらうか)

己を呪えば良いのだらうか

(それにくらべきみらは)

それに比べ　君等は

(ぼくをさかなにさけをのんで)

僕を肴に酒を飲んで

(そんなこともあったね、なあんて)

そんな事も　あったね、なあんて

(いつかわらいばなしにするんでせう)

いつか笑い話にするんでせう

(まるできぶんはさぁかすのはなくうちゅうぶらんこのよう)

まるで気分はサァカスの華　空中ブランコの様

(てびょうしとともにしねのだいがっしょう)

手拍子と共に死ねの大合唱

(とうめいなつばさをりょうかたに)

透明な翼を両肩に

(とべ。)

飛べ。

(とべよ。)

飛べよ。

(ひくくそらをかけるぼくよ)

低く空を翔る僕よ

(とべ。)

翔べ―――。

(とべよう。)

翔べよう―――。

(すべてわすれようなにもかんがえるな)

全て忘れよう　何も考えるな

(「ぼくはしにます。」)

「僕は死にます。」

(まるできぶんはさぁかすのとらひのわくぐりのよう)

まるで気分はサァカスの虎　火の輪くぐりの様

(てびょうしとともにしねのだいがっしょう)

手拍子と共に死ねの大合唱

(とうめいないのちをこのむねに)

透明な命をこの胸に

(とべ。)

飛べ。

(とべよ。)

飛べよ。

(むかしゆめみたしあわせはとおく)

昔夢見た幸せは遠く

(とべ。)

翔べ―――。

(とべよう。)

翔べよう―――。

(すべてわすれようなにもかんがえず)

全て忘れよう　何も考えず

(とべ。)

飛べ。

(とべよ。)

飛べよ。

(ゆうやけそらににぶいおとがひびく)

夕焼け空に　鈍い音が響く

(とべ。)

翔べ―――。

(とべよう。)

翔べよう―――。

(なみだがでてもなにもかんがえるな)

涙が出ても　何も考えるな