ひとひら

(おふぃすびるにひとつのこる)

オフィスビルにひとつ残る

(けいこうとうのあかりのもとで)

蛍光灯の明かりの下で

(せもたれにからだをあずけきみはｐｃをとじた)

背もたれに身体を預け 君はPCを閉じた

(ねこがないたきがしたけど)

猫が鳴いた気がしたけど

(くうちょうのひくいうなりと)

空調の低いうなりと

(たんちょうなひびがきざむ)

単調な日々が刻む

(とけいのおとしかきこえない)

時計の音しか聞こえない

(みながかえったですくはくらい)

皆が帰ったデスクは暗い

(せめてかこをそっとさかせよう)

せめて過去をそっと咲かせよう

(あれはさくらまうはるのまんなかで)

あれは桜舞う春の真ん中で

(こいびととすごしたとおいひ)

恋人と過ごした遠い日

(あれはよなよなかたったゆめと)

あれは夜な夜な語った夢と

(はたせないままのやくそくたち)

果たせないままの約束たち

(あれははいいろのふるさとをすて)

あれは灰色のふるさとを捨て

(とうきょうにかりたわんるーむ)

東京に借りたワンルーム

(あこがれをだきりそうをえがき)

憧れを抱き 理想を描き

(うれしくてねむれなかった)

嬉しくて眠れなかった

(あのころとかわらないものが)

あの頃と変わらないものが

(ひとつくらいのこってないかと)

ひとつくらい残ってないかと

(おもいをめぐらせてみても)

思いを巡らせてみても

(ぽけっとをさがしてみても)

ポケットを探してみても

(つよくあろうといきてきたから)

強くあろうと生きてきたから

(かわらなけりゃいけなかったよ)

変わらなけりゃいけなかったよ

(あれはともだちをきずつけ)

あれは友達を傷つけ

(そしてじぶんさえもきずつけたことば)

そして自分さえも傷つけた言葉

(あれはひとりでいったうみの)

あれは一人で行った海の

(つめたいかぜがふくふうけい)

冷たい風が吹く風景

(あれはあきもせずききかえしためろでぃ)

あれは飽きもせず聞き返したメロディ

(わかっていなかったうたのいみ)

わかっていなかった歌の意味

(いまならすこしわかるきがする)

今なら少しわかる気がする

(まるでちがううたのようさ)

まるで違う歌のようさ

(にじのたつばしょにはだれも)

虹の立つ場所には誰も

(いけなくってあきらめて)

行けなくって あきらめて

(みらいもすぐそこにみえて)

未来もすぐそこに見えて

(ちかづくことはできない)

近づくことはできない

(ちずでもあればいいがどこにもないけど)

地図でもあればいいが どこにもないけど

(こんぱすだけはそのむねにあるだろう)

コンパスだけは その胸にあるだろう

(あれはかぞくかなともだちかな)

あれは家族かな 友達かな

(あまくせつないはつこいかな)

甘く切ない初恋かな

(あれはいっしょにみあげたよぞら)

あれは一緒に見上げた夜空

(まるできせきのようなよぞら)

まるで奇跡のような夜空

(あれはさくらまうはるのまんなかで)

あれは桜舞う 春の真ん中で

(わらいながらたっているきみ)

笑いながら立っている君

(おなじえがおをつくれるでしょう)

同じ笑顔を作れるでしょう

(あのばしょはきみをまってる)

あの場所は君を待ってる

(こころにひとひらさくらのはなびら)

心にひとひら 桜の花びら

(こころにひとつぶうつくしいなみだ)

心に一粒 美しい涙

(あれはさくらまうはるのまんなかで)

あれは桜舞う 春の真ん中で

(あれはあきもせずききかえしためろでぃ)

あれは飽きもせず 聞き返したメロディ