歌舞伎町レイニー

(なにかにとりつかれたように)

何かに取り憑かれたように

(うつろなめをしたひとなみのなか)

虚ろな目をした人波の中

(いしころみたいなゆめをもとめて)

石ころみたいな夢を求めて

(だれもがみなおかしくなっちゃってるんだ)

誰もが皆おかしくなっちゃってるんだ

(さっきまたおんながとびおりたんだってさ)

さっきまた女が飛び降りたんだってさ

(すれちがったちゃらそうなおとこがわらってた)

すれ違ったチャラそうな男が笑ってた

(しんじゅく、だいきらいなまち)

新宿、大嫌いな街

(あああんたにあいたいんよ)

嗚呼　アンタに会いたいんよ

(はじめてあったやすくにどおりは)

初めて逢った　靖国通りは

(きょうもねおんがめざわり)

今日もネオンが目障り

(やまのてせんからみえるよごれたけしきも)

山手線から見える　汚れた景色も

(なにもかもがまぶしすぎた)

何もかもが　眩し過ぎた

(ああ１８のはる)

嗚呼　18の春

(そこはだいとかいかぶきちょう)

其処は大都会　歌舞伎町

(うわべやうらぎりもほんのにちじょう)

上部や裏切りもほんの日常

(しょせんあかのたにんそんなものでしょう)

所詮　赤の他人　そんなものでしょう

(でもあたしばかだからきたいしたのよ)

でもアタシ　馬鹿だから期待したのよ

(あんたのまっすぐなひとみのおくを)

アンタの真っ直ぐな瞳の奥を

(はじめてをそまつにすませたあたしには)

初めてを粗末に済ませたアタシには

(よごれたかみきれだけがすべてだった)

汚れた紙切れだけが全てだった

(しんじゅく、だいきらいなまち)

新宿、大嫌いな街

(あああんたしかいないんよ)

嗚呼　アンタしかいないんよ

(まちあわせたくやくしょどおりの)

待ち合わせた　区役所通りの

(ふうりんのろじうら)

風林の路地裏

(ぐらすごしときおりみせたかなしいえがおも)

グラス越し時折見せた悲しい笑顔も

(よわいとこもあまえたこえもあたしだけのものなんてね)

弱いとこも甘えた声も　アタシだけの物なんてね

(ここはうそつきかぶきちょう)

此処は嘘吐き　歌舞伎町

(すこしよいにまかせておわかれしましょう)

少し酔いに任せてお別れしましょう

(はやりのこーるもいまはむなしくひびくだけ)

流行りのコールも今は虚しく響くだけ

(はなみちどおりのかんばんでほほえむあんたは)

花道通りの看板で微笑むアンタは

(ここでなにをえてなにをなくしながらいきてるの？)

此処で何を得て　何を失くしながら生きてるの？

(あんたがいないせかいをすきになってみたいよ)

アンタが居ない世界を好きになってみたいよ

(もうもどれないわ)

もう戻れないわ

(しんじゅく、だいきらいなまち)

新宿、大嫌いな街

(あんたのひみつになりたかった)

アンタの秘密になりたかった

(でもいいよしあわせだったから)

でもいいよ　幸せだったから

(つくづくおめでたいでしょ？)

つくづくおめでたいでしょ？

(なみだをきらうかのようにあめはつごうよくどしゃぶり)

涙を嫌うかのように　雨は都合よくドシャ降り

(ああさよならああさよなら)

嗚呼　サヨナラ　嗚呼　サヨナラ

(うらみっこはなしよ)

恨みっこは無しよ

(よりそいあうかさのむれ)

寄り添い合う　傘の群れ

(なきぬれたかぶきちょう)

泣き濡れた　歌舞伎町