アイディー

(あいでぃーごめんね)

「アイディー、ごめんね」

(ひとりへんじはない)

一人、返事は無い

(ひきがねひいたのはだれ)

引鉄　引いたのは誰？

(もっとかじょうなくらい)

もっと過剰なくらい

(おとめのようにかれんに)

人形のように可憐に

(いきたかったのに)

生きたかったのに

(かみきれとひきかえにうりわたした)

紙切れと引き換えに売り渡した

(きげんつきうぉーあいにー)

期限付きウォーアイニー

(ねふだのないわたしのかちを)

値札の無い”私”の価値を

(みしらぬひとにゆだねた)

見知らぬ他人に委ねた

(やすうりしたみわくは)

安売りした魅惑は

(ばけるかぐわしいびやく)

化ける芳しい媚薬

(げすなほんしょうずるむけてる)

下衆な本性　ズル剥けてる

(ってそりゃあたしもそうか)

ってそりゃアタシもそうか

(がめんはしょうじき)

画面は正直

(ぎぶみーいんすたんときゅうさい)

ギブミー、インスタント救済

(らせんへとぬるりぬるり)

螺旋へと　ぬるりぬるり

(なかないであいでぃー)

泣かないでアイディー

(しあわせなのにつたうしずく)

幸せなのに？伝う雫

(のうみそただれおちてく)

脳味噌　爛れ落ちてく

(びょうかさむすうじを)

秒　嵩む数字を

(はいとくのはなによる)

背徳の華に縒る

(もうもどれない)

もう戻れない

(はいをかくしたわたしをまつりあげる)

灰を隠した”私”を祭り上げる

(がらすのくつのようにおもえたの)

ガラスの靴のように思えたの

(ほんとうのあたしは)

本当のアタシは

(だれもみちゃいなかった)

誰も見ちゃいなかった

(どこにもうつっちゃいなかった)

どこにも映っちゃいなかった

(きたいのねだんはたかくつく)

期待の値段は高く付く

(ごめんあいでぃー)

ごめんアイディー

(てにとったのはどくりんごで)

手に取ったのは毒林檎で

(ゆびからくさりおちてく)

指から　腐り落ちてく

(ねえみちにおとした)

ねえ、道に落とした

(ぱんのかけらはどこに)

パンの欠片はどこに？

(かえれないよ)

カエレナイよ

(あいでぃーこたえてよあいでぃー)

アイディー、答えてよアイディー

(しあわせだけてのひらこぼれおちていく)

幸せだけ　手のひら零れ落ちていく

(あいでぃー)

『アイディー？』

(ぐしゃぐしゃになった)

ぐしゃぐしゃになった

(わたしのなまえさえも)

私の名前さえも

(もうわからない)

もうわからない