仲村芽衣子　人形ノ涙

(きづいたのはとつぜんだった)

気づいたのは　突然だった

(きのうまでとすこしちがった)

昨日までと　少し違った

(あたりまえとおもったけしき)

当たり前と　思った景色

(わずかにそのいろをかえてた)

わずかに　その色を変えてた

(まぶたのうらにはみえてたのに)

瞼の裏には　見えてたのに

(いつからひとりでいたのだろう)

いつから　独りでいたのだろう

(あなたのえがおをさがしたけどみつけられなくて)

あなたの笑顔を探したけど　見つけられなくて

(さいしょのゆめをもういちどだけ)

最初の夢を　もう一度だけ

(かなえてくれたあのこどうを)

叶えてくれた　あの鼓動を

(ねがってみてもうごかないゆび)

願ってみても　動かない指

(あたしはそうだかなしいにんぎょう)

あたしはそうだ　悲しい人形

(はもんのようにひろがっていく)

波紋のように　広がっていく

(つめたささえかんじなくて)

冷たささえ　感じなくて

(いきることをわすれそうで)

生きることを　忘れそうで

(けしきにただとけていくのか)

景色に只　溶けていくのか

(おとしてくだけたおもいでのかぎ)

落として砕けた　思い出の鍵

(ゆくてをはばまれたちすくむ)

行く手を阻まれ　立ちすくむ

(まちがいだらけのせかいだけどあいせるようにと)

間違いだらけの世界だけど　愛せる様にと

(ながれてたのはなみだじゃない)

流れてたのは　涙じゃない

(このめはにどとかがやかない)

この瞳は二度と　輝かない

(それでもひとつなくせなくて)

それでも一つ　失くせなくて

(さいごのゆめをさがしつづける)

最後の夢を　探し続ける

(こえをあげないただれかにとどくように)

声を上げ泣いた　誰かに届くように

(それはかなわないゆめ)

それは叶わない　夢…

(うごかないこころそれでもまだ)

動かない心　それでもまだ

(わすれないようにさけぶけれど)

忘れないように　叫ぶけれど

(だれにもとどくことはなくて)

誰にも届く　ことはなくて

(おわりはみえないさだめなら)

終わりは見えない　運命なら

(さいしょのゆめをもういちどだけ)

最初の夢を　もう一度だけ

(むねにかかえてねむりたくて)

胸に抱えて　眠りたくて

(ひとのかなしみゆがみでさえもとめてしまう)

人の悲しみ　歪みでさえ　求めてしまう

(かなしいにんぎょう)

悲しい人形