愚図／研ナオコ

(あのこがあんたをすきだって)

あの娘が　あんたを好きだって

(こっそりあたしにうちあけたとき)

こっそり　あたしに打ち明けたとき

(ともだちだものまかせときなよなんて)

友達だもの　任せときなよなんて

(こころにもないこといっちまった)

心にもないこと　言っちまった

(あのこはまつげがじまんのこで)

あの娘は　まつ毛が自慢の娘で

(まばたきしながらひとをみるのさ)

まばたきしながら　人を見るのさ

(くらべてみたってしかたがないよなんて)

比べてみたって　仕方がないよなんて

(ひとりでかってにきめていたっけ)

ひとりで勝手に　決めていたっけ

(あたしってほんとうにぐずなおひとよし)

あたしって本当に　愚図な　お人好し

(あのこにあんたをあわせたのは)

あの娘にあんたを　会わせたのは

(あんたといきたかったこーひーしょっぷ)

あんたと行きたかった　コーヒーショップ

(なかよくしてよいいこだからなんて)

仲良くしてよ　いい娘だから　なんて

(ふたりをわらわせてばかりいたっけ)

ふたりを　笑わせてばかりいたっけ

(あのこはせいいっぱいおめかしをして)

あの娘は精一杯　おめかしをして

(あたしはいろのあせたじーぱんすがた)

あたしは　色の褪せた　ジーパン姿

(ひとりでやたらしゃべってばかりいたから)

ひとりで　やたら喋ってばかりいたから

(めのまえのこーひーもさめてしまった)

目の前のコーヒーも　冷めてしまった

(あたしってほんとうにぐずなおせっかい)

あたしって本当に　愚図な　お節介

(はやくひとりになりたかったよ)

早くひとりに　なりたかったよ

(そしてどこかでなきたかった)

そして　どこかで泣きたかった

(きゅうにおもたいこころのなかに)

急に重たい　心のなかに

(ふたりのわらいごえとおくにきこえた)

二人の笑い声　遠くに聞こえた

(のどまででかかったことばだけれど)

喉まで出かかった　言葉だけれど

(いわずにさきにかえってきたのさ)

言わずに　先に帰ってきたのさ

(ほんとうはあんたがすきだなんて)

本当は　あんたが好きだなんて

(いまさらいえるわけないじゃないの)

今さら　言えるわけ無いじゃないの

(あたしってほんとうにぐずなおばかさん)

あたしって本当に　愚図な　お馬鹿さん

(ほんとうはあんたがすきだなんて)

本当は　あんたが好きだなんて

(いまさらいえるわけないじゃないの)

今さら　言えるわけ無いじゃないの

(あたしってほんとうにぐずなおばかさん)

あたしって本当に　愚図な　お馬鹿さん