壊セ壊セ

(とおくではよるのにおいがするしめったかぜのおとにきみがあるいてはいってくる)

遠くでは夜の匂いがする　湿った風の音に君が歩いて入ってくる

(いまきみがおもってることぼくがぜんぶあてたげようか)

今君が思ってること　僕が全部当てたげようか

(つくりわらいのうらがわをつかんではいでみせてやるよそのめをぼくにむけたら)

作り笑いの裏側をつかんで剥いで見せてやるよ　その目を僕に向けたら

(はなしなどしなくていいからそのさめたえがおただちにすててしまえ)

話などしなくていいからその冷めた笑顔ただちに捨ててしまえ

(いみのないこえもぬくもりもおまえがもってるものぜんぶあきらめよう)

意味のない声もぬくもりもお前が持ってるもの全部　あきらめよう

(こわしてあげよう)

壊してあげよう

(かいだんのぼりきったときからなにものこらないきがしてたんだ)

階段のぼりきった時から何も残らない気がしてたんだ

(おおきなめななめそれてもむけられているのはしろいめはなすならこっちみろよ)

大きな目　斜めそれても向けられているのは白い目　話すならこっち見ろよ

(さけびだすかぜのおとひきずってまるできこえないうつくしくもないことば)

叫びだす風の音引きずってまるで聞こえない　美しくもない言葉

(こわせこわせこわせこわせいらないなにもいらないああなんてくだらない)

壊せ壊せ壊せ壊せ　いらない　なにもいらない　ああ　なんて下らない

(きみというひと)

君という人

(とおくではあめのおとがしてるおもいよぞらにふたりでただだまってすわってる)

遠くでは雨の音がしてる　重い夜空にふたりでただ黙って座ってる

(きみといるとすこしずつすこしずつすこしずつぼくがけずられて)

君といると少しずつ少しずつ少しずつ僕が削られて

(しずかになってさむくなってしろくなるかたくなるああつめたくなる)

静かになって寒くなって白くなる硬くなる　ああ　冷たくなる

(こわせこわせこわせこわせこわせこわせこわせいらないこわせ)

壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せいらない壊せ

(あかいあかいことばもぜんぶいらないなにもいらないああなんてくだらない)

赤い赤い言葉も全部いらない　何もいらない　ああ　なんて下らない

(あえないほうがいい)

会えない方がいい