青いルビー 3

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投稿者投稿者大樹野いいね6お気に入り登録
プレイ回数4940難易度(5.0) 4035打 長文
【シャーロック・ホームズの冒険】より
長文なので、読書感覚でお楽しみください

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問題文

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(「なににでもこたえられるんだな。しかし、かれのいえに)

「何にでも答えられるんだな。しかし、彼の家に

(がすがひかれていないというのはいったいどうやってすいりしたのだ?」)

ガスが引かれていないというのは一体どうやって推理したのだ?」

(「じゅうしのしみがひとつ、ふたつくらいなら、ぐうぜんつくこともあるかもしれない。)

「獣脂の染みが一つ、二つくらいなら、偶然付くこともあるかもしれない。

(しかしいつつもみつければ、このぼうしがもえているじゅうしろうそくと)

しかし五つも見つければ、この帽子が燃えている獣脂ロウソクと

(ひんぱんにせっしょくしていたのは、ほぼまちがいない。おそらくぼうしをかたてに、)

頻繁に接触していたのは、ほぼ間違いない。おそらく帽子を片手に、

(もういっぽうのてにろうがこぼれるろうそくをもって、)

もう一方の手に蝋がこぼれるロウソクを持って、

(うえのかいまでよるあるいてあがるのだ。そうでないにしても、)

上の階まで夜歩いて上がるのだ。そうでないにしても、

(がすのほのおからじゅうしのしみがつくことはない。これでなっとくしたかね?」)

ガスの炎から獣脂の染みがつく事はない。これで納得したかね?」

(「たしかにてんさいてきなすいりだ」わたしはわらいながらいった。)

「確かに天才的な推理だ」私は笑いながら言った。

(「しかしきみがさっきいったように、はんざいはおこなわれていないし、)

「しかし君がさっき言ったように、犯罪は行われていないし、

(がちょうのふんしついがいにじつがいはない。)

ガチョウの紛失以外に実害はない。

(このすいりは、ちょっとえねるぎーのむだづかいだったようだな」)

この推理は、ちょっとエネルギーの無駄遣いだったようだな」

(しゃーろっくほーむずがへんとうのためにくちをあけたとき、どあがぱっと)

シャーロックホームズが返答のために口を開けた時、ドアがパッと

(ひらいてぽーたーのぴーたーそんが、おどろきにぼうぜんとなったようなひょうじょうで、)

開いてポーターのピーターソンが、驚きに呆然となったような表情で、

(かおをまっかにしてへやにとびこんできた。)

顔を真っ赤にして部屋に飛び込んで来た。

(「がちょうが、ほーむずさん!がちょうが!」ぴーたーそんはあえいだ。)

「ガチョウが、ホームズさん!ガチョウが!」ピーターソンはあえいだ。

(「は?がちょうがどうしたんだ?いきかえってだいどころのまどから)

「は?ガチョウがどうしたんだ?生き返って台所の窓から

(はばたいてでていったのか?」)

羽ばたいて出て行ったのか?」

(ほーむずはおとこのこうふんしたかおをよくみようと、そふぁのうえでからだをひねった。)

ホームズは男の興奮した顔をよく見ようと、ソファの上で体をひねった。

(「みてください、うちのにょうぼうがえさぶくろでみつけたものを!」)

「見てください、うちの女房が餌袋で見つけたものを!」

など

(ぴーたーそんはてをさしだして、てのひらのまんなかにまばゆいばかりにかがやく、)

ピーターソンは手を差し出して、手の平の真中にまばゆいばかりに輝く、

(まめよりすこしこつぶのあおいいしをみせた。それはきわめてとうめいでつよいかがやきをはなち、)

豆より少し小粒の青い石を見せた。それは極めて透明で強い輝きを放ち、

(てのくらいくぼみのなかででんこうのてんのようにまたたいていた。)

手の暗い窪みの中で電光の点のように瞬いていた。

(しゃーろっくほーむずはくちぶえをふいてすわりなおした。)

シャーロックホームズは口笛を吹いて座りなおした。

(「これはすごい、ぴーたーそん!」ほーむずはいった、)

「これはすごい、ピーターソン!」ホームズは言った、

(「たからをほりあてたな。そいつのしょうたいはわかっているだろう?」)

「宝を掘り当てたな。そいつの正体は分かっているだろう?」

(「だいやですか?ほうせきですよね。ぱてのようにがらすにくいこみます」)

「ダイヤですか?宝石ですよね。パテのようにガラスに食い込みます」

(「それはただのほうせきではない。もんだいのほうせきだ」)

「それはただの宝石ではない。問題の宝石だ」

(「もーかーはくしゃくふじんのぶるーかーばんくるではないだろうな!」わたしはさけんだ。)

「モーカー伯爵夫人のブルーカーバンクルではないだろうな!」私は叫んだ。

(「そのとおりだ。このおおきさ、かたち、まずまちがいない。このところまいにち)

「その通りだ。この大きさ、形、まず間違いない。このところ毎日

(ざ・たいむずにこのほうせきのこうこくがけいさいされていて、それをよんでいるからな。)

ザ・タイムズにこの宝石の広告が掲載されていて、それを読んでいるからな。

(これはまったくひるいなきほうせきだ。ねだんはそうぞうするしかないが、このほうせきに)

これはまったく比類なき宝石だ。値段は想像するしかないが、この宝石に

(かけられたほうしょうきん1000ぽんどというのは、まちがいなくしじょうかかくの)

掛けられた報奨金1000ポンドというのは、間違いなく市場価格の

(20ぶんの1にもみたないだろうな」「1000ぽんど!なんとすごい!」)

20分の1にも満たないだろうな」「1000ポンド!なんとすごい!」

(ぴーたーそんはいすにへたりこんで、われわれをひとりずつみた。)

ピーターソンは椅子にへたり込んで、我々を一人ずつ見た。

(「それはほうしょうきんだ。そしてこのほうせきにはおもいいれがあるので、)

「それは報奨金だ。そしてこの宝石には思い入れがあるので、

(もしとりもどせるなら、はくしゃくふじんはまちがいなく)

もし取り戻せるなら、伯爵夫人は間違いなく

(ざいさんのはんぶんでもだすきになっているとぼくはにらんでいる」)

財産の半分でも出す気になっていると僕はにらんでいる」

(「わたしのきおくがただしければ、そのほうせきはこすもぽりたんほてるで)

「私の記憶が正しければ、その宝石はコスモポリタンホテルで

(なくなったらしいな」わたしはいった。)

無くなったらしいな」私は言った。

(「そのとおり、12がつ22にち、ちょうど5にちまえだ。はいかんこうのじょん・ほーなーが)

「その通り、12月22日、ちょうど5日前だ。配管工のジョン・ホーナーが

(ふじんのほうせきばこからぬすんだようぎできそされた。しょうこはひじょうにかくじつで、)

婦人の宝石箱から盗んだ容疑で起訴された。証拠は非常に確実で、

(このじけんはじゅんかいさいばんにおくられた。たしか、ここにきじがのっていたとおもう」)

この事件は巡回裁判に送られた。確か、ここに記事が載っていたと思う」

(ほーむずはひづけにめをとおしながら、しんぶんをひっかきまわした。)

ホームズは日付に目を通しながら、新聞を引っ掻き回した。

(ついにいちまいのしんぶんのしわをのばし、ふたつにおり、つぎのきじをよみあげた。)

ついに一枚の新聞の皺を伸ばし、二つに折り、次の記事を読み上げた。

(「こすもぽりたんほてるのほうせきとうなんじけん。26さいのはいかんこうじょんほーなーは)

「コスモポリタンホテルの宝石盗難事件。26歳の配管工ジョンホーナーは

(こんげつ22にち、ぶるーかーばんくるとしてしられるきちょうなほうせきを)

今月22日、ブルーカーバンクルとして知られる貴重な宝石を

(もーかーはくしゃくふじんのほうせきばこよりぬすんだようぎでそうけんされた。)

モーカー伯爵夫人の宝石箱より盗んだ容疑で送検された。

(ほてるのじょうきゅうせっきゃくいんのじぇーむず・らいだーは、)

ホテルの上級接客員のジェームズ・ライダーは、

(かきのようなしゅしのしょうげんをおこなった。とうなんのあったひ、)

下記のような趣旨の証言を行った。盗難のあった日、

(かれはゆるんでいたにばんめのひごうしをろうづけさせるために、)

彼は緩んでいた二番目の火格子をろう付けさせるために、

(ほーなーをもーかーはくしゃくふじんのけしょうしつにとおした。)

ホーナーをモーカー伯爵夫人の化粧室に通した。

(らいだーはしばらくほーなーといっしょにいたが、よびだしがあったため、)

ライダーはしばらくホーナーと一緒にいたが、呼び出しがあったため、

(そのばをはなれた。もどってみると、ほーなーはおらず、けしょうだんすが)

その場を離れた。戻ってみると、ホーナーはおらず、化粧だんすが

(こじあけられ、なかにあったちいさいもろっこのほうせきばこがからのじょうたいで)

こじ開けられ、中にあった小さいモロッコの宝石箱が空の状態で

(けしょうしつのてーぶるのうえにおかれていた。ごじつはんめいしたことだが、)

化粧室のテーブルの上に置かれていた。後日判明したことだが、

(それはふだんはくしゃくふじんがふだんからほうせきをいれておくはこだった。)

それは普段伯爵夫人が普段から宝石を入れておく箱だった。

(らいだーはすぐにけいさつにつうほうし、そのよるほーなーはたいほされた。)

ライダーはすぐに警察に通報し、その夜ホーナーは逮捕された。

(しかし、かれのからだからもへやからもほうせきははっけんされなかった。)

しかし、彼の体からも部屋からも宝石は発見されなかった。

(はくしゃくふじんのめいど、きゃさりん・きゅーさっくはらいだーが)

伯爵夫人のメイド、キャサリン・キューサックはライダーが

(とうなんをはっけんしたとき、おどろいてさけぶのをきいてへやにかけこみ、)

盗難を発見した時、驚いて叫ぶのを聞いて部屋に駆け込み、

(かれのきょうじゅつどおりのじょうきょうをもくげきしたとしょうげんした。)

彼の供述どおりの状況を目撃したと証言した。

(bちくのぶらっどすとりーとけいぶは、ほーなーをたいほするとき、)

B地区のブラッドストリート警部は、ホーナーを逮捕する時、

(はんきょうらんになってあばれ、じぶんはかんぜんにむじつだとうったえたとしょうげんした。)

半狂乱になって暴れ、自分は完全に無実だと訴えたと証言した。

(とうなんのぜんかがあるというじじつがひこくにんにとってふりとなり、)

盗難の前科があるという事実が被告人にとって不利となり、

(ちあんけんじはこのはんざいをりゃくしきしょぶんにせず、じゅんかいさいばんにそうちした。)

治安検事はこの犯罪を略式処分にせず、巡回裁判に送致した。

(しんりのあいだひじょうにどうようしたようすだったほーなーは、けっしんをきいてしっしんし、)

審理の間非常に動揺した様子だったホーナーは、結審を聞いて失神し、

(ほうていからはこびだされた」「ふん!ちあんはんじさいばんはこれくらいでいいだろう」)

法廷から運び出された」「フン!治安判事裁判はこれくらいでいいだろう」

(ほーむずはしんぶんをわきになげすてながらかんがえぶかげにいった。)

ホームズは新聞を脇に投げ捨てながら考え深げに言った。

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