青いルビー 4

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投稿者投稿者大樹野いいね8お気に入り登録
プレイ回数4447難易度(5.0) 4884打 長文
【シャーロック・ホームズの冒険】より
長文なので、読書感覚でお楽しみください

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問題文

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(「われわれがとかなければならないもんだいは、ぬすまれたほうせきばこというはしから、)

「我々が解かなければならない問題は、盗まれた宝石箱という端から、

(とてなむこーとろーどのがちょうのえさぶくろというもういっぽうのはしまでつづく)

トテナムコートロードのガチョウの餌袋というもう一方の端まで続く

(できごとのれんさだ。わとそん、われわれのちいさなすいりが、)

出来事の連鎖だ。ワトソン、我々の小さな推理が、

(とつぜんもっとじゅうようではんざいてきなようそうをおびたとわかっただろう。ほうせきはここにある。)

突然もっと重要で犯罪的な様相を帯びたと分っただろう。宝石はここにある。

(ほうせきはがちょうからでてきた。そしてがちょうはへんりー・べーかーしから)

宝石はガチョウから出てきた。そしてガチョウはヘンリー・ベーカー氏から

(やってきた。そのしんしはこのきたないぼうしと、きみがさきほどうんざりしながら)

やって来た。その紳士はこの汚い帽子と、君が先ほどうんざりしながら

(きいていたとくちょうをすべてもっている。そこで、このしんしがちいさななぞに)

聞いていた特徴をすべて持っている。そこで、この紳士が小さな謎に

(どんなやくわりをはたしたかをかくにんするため、かれのそうさくにしんけんに)

どんな役割を果たしたかを確認するため、彼の捜索に真剣に

(とりくまなければならないことになった。そのためにはまず、)

取り組まなければならないことになった。そのためにはまず、

(いちばんかんたんなしゅだんからためしてみるべきだが、それはいうまでもなく)

一番簡単な手段から試してみるべきだが、それは言うまでもなく

(ぜんゆうかんしにこうこくをうつことだ。これがしっぱいしたら、ほかのしゅだんにうったえよう」)

全夕刊紙に広告を打つことだ。これが失敗したら、他の手段に訴えよう」

(「どんなぶんめんだ?」「えんぴつとかみをいちまいとってくれ。さて、」)

「どんな文面だ?」「鉛筆と紙を一枚とってくれ。さて、」

(「ぐっじどおりのまちかどではっけん。がちょうとくろいふぇるとのぼうし。)

「グッジ通りの街角で発見。ガチョウと黒いフェルトの帽子。

(へんりー・べーかーしはこんや6:30にべーかーがい221bまで)

ヘンリー・ベーカー氏は今夜6:30にベーカー街221Bまで

(これをうけとりにこられたし」「これはわかりやすくてかんけつだろう」)

これを受け取りに来られたし」「これは分かりやすくて簡潔だろう」

(「まったくだ。しかしほんにんがよむかな?」)

「まったくだ。しかし本人が読むかな?」

(「そうだな、ほんにんはまちがいなくしんぶんにちゅういしているだろう。)

「そうだな、本人は間違いなく新聞に注意しているだろう。

(かねのないおとこにとって、このそんしつはいたでだ。きっとかれは、)

金のない男にとって、この損失は痛手だ。きっと彼は、

(ふうんにもまどをわったところにぴーたーそんがちかづいてきたのでひじょうにこわくなり、)

不運にも窓を割ったところにピーターソンが近づいてきたので非常に怖くなり、

(にげることしかかんがえられなかったんだろう。)

逃げる事しか考えられなかったんだろう。

など

(しかしどうようしてとりをおとしたことを、あとでひどくくやんだにちがいない。)

しかし動揺して鳥を落したことを、後でひどく悔やんだに違いない。

(さらに、こうこくになまえをあげたので、かれのめにとまりやすいだろうし、)

さらに、広告に名前を挙げたので、彼の目にとまりやすいだろうし、

(ちじんがきづいておしえてあげるかもしれない。ぴーたーそん、これをこうこくがいしゃに)

知人が気づいて教えてあげるかもしれない。ピーターソン、これを広告会社に

(もっていってくれ。そしてゆうかんしにけいさいさせてくれ」)

持って行ってくれ。そして夕刊紙に掲載させてくれ」

(「どのゆうかんしですか?」「そうだな、ぐろーぶ、すたー、ぽーる・もーる、)

「どの夕刊紙ですか?」「そうだな、グローブ、スター、ポール・モール、

(せんと・じぇいむす、いぶにんぐ・にーす・すたんだーど、えこー、)

セント・ジェイムス、イブニング・ニース・スタンダード、エコー、

(これいがいでもおもいついたものすべてだ」「よくわかりました。そのほうせきは?」)

これ以外でも思いついたもの全てだ」「よく分かりました。その宝石は?」

(「そうだ、これはぼくがあずかろう。ありがとう。それから、ぴーたーそん、)

「そうだ、これは僕が預かろう。ありがとう。それから、ピーターソン、

(かえりにがちょうをいちわかって、ここにもってきてくれ。きみのかぞくが)

帰りにガチョウを一羽買って、ここに持って来てくれ。君の家族が

(いまかじりついているやつのかわりに、このしんしにわたすぶんがひつようだからな」)

今かじりついているやつのかわりに、この紳士に渡す分が必要だからな」

(ぴーたーそんがでていったあと、ほーむずはほうせきをとりあげ、ひかりにかざした。)

ピーターソンが出て行った後、ホームズは宝石を取り上げ、光にかざした。

(「これはみごとなものだ」ほーむずはいった。)

「これは見事なものだ」ホームズは言った。

(「このきらめきとかがやきをみてみろ。まちがいなくこれがはんざいのかくしんでありしょうてんだ。)

「このきらめきと輝きを見てみろ。間違いなくこれが犯罪の核心であり焦点だ。

(すばらしいほうせきはみんなおなじだがね。どれもあくまがおきにいりのおとりだ。)

素晴らしい宝石はみんな同じだがね。どれも悪魔がお気に入りのおとりだ。

(おおきなふるいほうせきのかっとめんはひとつのこらずちぬられたじけんをしょうちょうしている)

大きな古い宝石のカット面は一つ残らず血塗られた事件を象徴している

(のかもしれない。このほうせきはみつかってから20ねんもたっていない。)

のかもしれない。この宝石は見つかってから20年も経っていない。

(これはちゅうごくなんぶのあもいがわのかわぎしではっけんされたが、ひじょうにめずらしいほうせきだ。)

これは中国南部のアモイ川の川岸で発見されたが、非常に珍しい宝石だ。

(かーばんくるのとくちょうをすべてもっているのに、るびーのあかではなく)

カーバンクルの特徴を全て持っているのに、ルビーの赤ではなく

(あおいいろをしているのだ。こんなにはっけんからひがあさいのに、)

青い色をしているのだ。こんなに発見から日が浅いのに、

(すでにふきつなれきしをもっている。さつじんじけんがにけん、りゅうさんをかけるじけんがいっけん、)

すでに不吉な歴史を持っている。殺人事件が二件、硫酸をかける事件が一件、

(じさつがいっけん、かずかずのとうなんじけんがおきた。このおもさにして40ぐれいんの)

自殺が一件、数々の盗難事件が起きた。この重さにして40グレインの

(けっしょうかしたたんそのためにだ。こんなかわいらしいおもちゃが、)

結晶化した炭素のためにだ。こんな可愛らしいおもちゃが、

(こうしゅだいとかんごくのちょうたつにんになるとだれがかんがえただろう?いまはこれをぼくのがんじょうな)

絞首台と監獄の調達人になると誰が考えただろう?今はこれを僕の頑丈な

(きんこにほかんして、はくしゃくふじんにはわれわれがあずかっていることをてがみでしらせよう」)

金庫に保管して、伯爵夫人には我々が預かっていることを手紙で知らせよう」

(「このほーなーというおとこはむじつだとおもうのか?」「まだわからん」)

「このホーナーという男は無実だと思うのか?」「まだわからん」

(「それじゃ、きみはこのべつのおとこ、へんりー・べーかーが、)

「それじゃ、君はこの別の男、ヘンリー・ベーカーが、

(このけんになにかかかわっているとそうぞうしているのか?」)

この件に何か関っていると想像しているのか?」

(「ぼくのかんがえでは、へんりー・べーかーはむかんけいというかのうせいがひじょうにたかい。)

「僕の考えでは、ヘンリー・ベーカーは無関係という可能性が非常に高い。

(かれはじぶんがはこんでいるとりは、それがじゅんきんでできているよりもはるかに)

彼は自分が運んでいる鳥は、それが純金で出来ているよりもはるかに

(かちがたかいものだとおもっていなかった。しかしそれは、もしあのこうこくに)

価値が高いものだと思っていなかった。しかしそれは、もしあの広告に

(はんのうがあれば、ぼくがひじょうにかんたんなてすとをしてきめられるよ」)

反応があれば、僕が非常に簡単なテストをして決められるよ」

(「それまできみはなにもすることがないのか?」「なにもない」)

「それまで君は何もすることがないのか?」「何もない」

(「それなら、わたしはおうしんをつづけるよ。しかしこのいりくんだじけんのかいけつを)

「それなら、私は往診を続けるよ。しかしこの入り組んだ事件の解決を

(みてみたいから、きみがこうこくにかいたじかんにはもどってくるつもりだ」)

見てみたいから、君が広告に書いた時間には戻ってくるつもりだ」

(「そうしてもらえればありがたい。7じにはゆうしょくをとる。)

「そうしてもらえればありがたい。7時には夕食をとる。

(やましぎがまるいちわでるとおもうよ。ところで、さいきんのじけんからかんがえて、)

ヤマシギが丸一羽出ると思うよ。ところで、最近の事件から考えて、

(たぶんはどそんふじんにえぶくろをしらべてもらうようにたのまないといけないな」)

多分ハドソン夫人に餌嚢を調べてもらうように頼まないといけないな」

(てまのかかるかんじゃがひとりいて、もういちどべーかーがいにもどったのは)

手間のかかる患者が一人いて、もう一度ベーカー街に戻ったのは

(6じはんすこしすぎだった。わたしがいえにちかづくと、すこっとらんどぼうを)

6時半少し過ぎだった。私が家に近づくと、スコットランド帽を

(かぶったせのたかいおとこがめにとまった。かれは、こーとのぼたんをあごまでしめ、)

被った背の高い男が目にとまった。彼は、コートのボタンを顎まで閉め、

(とびらのあかりとりまどからなげかけられるあかるいはんえんのひかりのなかでまっていた。)

扉の明かり取り窓から投げかけられる明るい半円の光の中で待っていた。

(わたしがとぐちについたとき、とびらがあいてわれわれはいっしょにほーむずのへやにすがたをあらわした。)

私が戸口に着いた時、扉が開いて我々は一緒にホームズの部屋に姿を現した。

(「へんりー・べーかーさんですね」ほーむずはひじかけいすからおきあがり、)

「ヘンリー・ベーカーさんですね」ホームズは肘掛け椅子から起き上がり、

(あいそよくきさくなふんいきでほうもんしゃにあいさつしていった。)

愛想よく気さくな雰囲気で訪問者に挨拶して言った。

(ほーむずはおどろくほどすばやく、こういうたいどをよそおえる。)

ホームズは驚くほど素早く、こういう態度を装える。

(「べーかーさん、だんろのちかくのこのいすにおすわりください。さむいですな。)

「ベーカーさん、暖炉の近くのこの椅子にお座り下さい。寒いですな。

(そのかおいろだと、ふゆよりなつのほうがいいでしょうね。ああ、わとそん、きみは)

その顔色だと、冬より夏のほうがいいでしょうね。ああ、ワトソン、君は

(ぴったりのじかんにきたね。べーかーさん、あれはあなたのぼうしでしょうか?」)

ピッタリの時間に来たね。ベーカーさん、あれはあなたの帽子でしょうか?」

(「そうです、まちがいなくわたしのぼうしです」かれはせのまがったおおがらのおとこだった。)

「そうです、間違いなく私の帽子です」彼は背の曲がった大柄の男だった。

(おおきなあたまとひろいかしこそうなかおで、しらがまじりのちゃいろいとがったあごひげを)

大きな頭と広い賢そうな顔で、白髪交じりの茶色い尖った顎鬚を

(はやしていた。はなとほおのあかいしきちょうと、のばされたてのわずかなふるえが、)

生やしていた。鼻と頬の赤い色調と、伸ばされた手の僅かな震えが、

(ほーむずがようやくしたかれのせいかつしゅうかんをおもいおこさせた。)

ホームズが要約した彼の生活習慣を思い起こさせた。

(かれのいろあせたくろのうわぎのまえぼたんはきちんととめられていた。)

彼の色あせた黒の上着の前ボタンはきちんと止められていた。

(からーはうえにまげられ、しゃつやかふすらしきものもなく、)

カラーは上に曲げられ、シャツやカフスらしきものもなく、

(やせたてくびがそでからとびだしていた。かれはことばをしんちょうにえらびながら、)

痩せた手首が袖から飛び出していた。彼は言葉を慎重に選びながら、

(ゆっくりとちんもくをまじえつつはなした。そのはなしかたは、)

ゆっくりと沈黙を交えつつ話した。その話し方は、

(こううんにはめぐまれていないがきょうようとがくしきのあるおとこといういんしょうをあたえた。)

幸運には恵まれていないが教養と学識のある男という印象を与えた。

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