少女人形の見た夢

(とざされたはこにわのそのでひとりのしょうじょが)

閉ざされた箱庭の園で　ひとりの少女が

(いだいなるかみそのひとにしんじつのあいをもとめる)

【偉大なる神】その人に　真実の愛を求める

(ひとのよくにつかれたかみのおもいははくあい)

人の欲に疲れた【神】の　想いは博愛

(あなただけとくべつにあいせはしないわかってくれ)

貴女だけ「特別」に愛せはしない　分かってくれ

(それでもわたしは、あなただけただ、せつにあいしましょう)

それでも私は、貴方だけ　ただ、切に愛しましょう

(あいをすてたかみをもとめ、すがり　いじらしくあわれなしょうじょはねがう)

愛を捨てた神を求め、縋り　いじらしく哀れな少女は願う

(むくわれぬそのあいをとわにとざし　さだめられしときをいきてゆけ)

報われぬその愛を永遠に閉ざし　運命られし時を生きてゆけ

(はくあいというなの、はくじょう？ひとのよのものさしでわたしをはかれはしまい・・・・・・)

博愛という名の、薄情？　人の世の物差しで神を量れはしまい……

(かみのあいにうまれおちたひとはやがてよくにおぼれ)

神の愛に生まれ堕ちた人はやがて欲に溺れ

(かみをわすれさげすむそのふじょうり・・・・・・)

神を忘れ蔑むその不条理……

(とじたそのでひとりおもうなんのためにつくられた、と)

閉じた園で一人想う何の為に作られた、と

(いみをもとめ、あいをこうがあたえられるこたえはなく)

意味を求め、愛を乞うが与えられる答えはなく

(かみのあいにうまれおちたひとのよくがかれをおとし)

神の愛に生まれ堕ちた人の欲が【彼】を堕とし

(あいをつまれあいをさかすひにくなさだめ)

愛を摘まれ　哀を咲かす　皮肉な運命

(はくあいしゅぎしゃのまことのあいはあわれなしょうじょのあいをけちらす)

博愛主義者の真の愛は　哀れな少女の愛を蹴散らす

(このぜんまいがとまるひまでただ、せつにあいしましょう・・・・・・)

このゼンマイが止まる日まで　ただ、切に愛しましょう……

(あいにうえたかみをもとめ、すがりさびしげにたたずむにんぎょうはねがう)

愛に飢えた神を求め、縋り　寂しげに佇む人形は願う

(うごかぬそのからだをだきあげてはありもしないねつをさがしている)

動かぬその体を抱き上げては　ありもしない熱を探している

(あなたがつくったせかいであなたのおにんぎょうはよごとにうたいおどる)

貴男が作った世界で貴男のお人形は夜毎に歌い踊る

(かみにこわれうまれおちるほまれ、うたいえつにいりて)

神に乞われ生まれ堕ちる誉れ、謳い悦に入りて

(あなただけをあいするそんざいいぎ)

「あなただけを愛する＝存在意義」

(とじたそのでわたしだけがしんのあいをのぞんでいる)

閉じた園で私だけが真の愛を望んでいる

(それが、こたえあなたが、そうつくった)

其れが、答え【貴男】が、【そう】作った

(かみのみなにすがりおちたぼくののうはひとりめぐる)

神の御名に縋り堕ちた僕の脳は独り廻る

(あいをつまれあいをさかすあなたをだいて)

愛を摘まれ哀を咲かす貴女を抱いて

(あわれなおとこがつくりししょうじょはいきてるみたいにやさしくわらう)

哀れな男が作りし少女は生きてるみたいに優しく笑う