怪人二十面相38 江戸川乱歩

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投稿者投稿者chiroいいね0お気に入り登録
プレイ回数2498難易度(5.0) 2822打 長文
少年探偵団シリーズ1作目
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ポンタ 3185 E++ 3.5 90.0% 789.8 2830 314 41 2024/05/05

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問題文

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(あなたはあんしんしておやすみなすったほうがよいでしょう。ここにおいでになっても、)

貴方は安心してお休みなすった方が良いでしょう。ここにおいでになっても、

(おなじことですからね」 あけちがすすめても、ろうじんはなかなかしょうちしません。)

同じ事ですからね」  明智が勧めても、老人はなかなか承知しません。

(ねどこへはいったって、ねむられるものではありませんからね」 そういって、)

寝床へ入ったって、眠られるものではありませんからね」  そう言って、

(たんていのかたわらへすわりこんでしまいました。 「なるほど、では、そうなさるほうが)

探偵の傍らへ座り込んでしまいました。 「成程、では、そうなさる方が

(よいでしょう。ぼくもはなしあいてができてこうつごうです。かいがろんでも)

良いでしょう。僕も話し相手が出来て好都合です。絵画論でも

(たたかわしましょうかね」 さすがにひゃくせんれんまのめいたんてい、にくらしいほどおちつき)

戦わしましょうかね」  流石に百戦錬磨の名探偵、憎らしい程落ちつき

(はらっています。 それからふたりはらくなしせいになって、ぽつぽつこめいがのはなしを)

はらっています。  それから二人は楽な姿勢になって、ポツポツ古名画の話を

(はじめたものですが、しゃべるのはあけちばかりで、ろうじんはそわそわとおちつきがなく、)

始めたものですが、喋るのは明智ばかりで、老人はソワソワと落ち付きがなく、

(ろくろくうけこたえもできないありさまです。 さもんろうじんには、1ねんもたったかと)

ろくろく受け答えも出来ない有様です。  左門老人には、一年も経ったかと

(おもわれるほどながいながいじかんのあとで、やっと、12じがうちました。まよなかです。)

思われる程長い長い時間の後で、やっと、十二時がうちました。真夜中です。

(あけちはときどきいたどごしに、しつないのけいじにこえをかけていましたが、そのつど、)

明智は時々板戸越しに、室内の刑事に声を掛けていましたが、その都度、

(なかからはっきりしたくちょうで、いじょうはないというへんじがきこえてきました。)

中からハッキリした口調で、異状はないという返事が聞こえてきました。

(「あーあ、ぼくはすこしねむくなってきた」 あけちはあくびをして、)

「アーア、僕は少し眠くなってきた」  明智は欠伸をして、

(「にじゅうめんそうのやつ、こんやはやってこないかもしれませんよ。こんなげんじゅうななかへ)

「二十面相の奴、今夜はやって来ないかもしれませんよ。こんな厳重な中へ

(とびこんでくるばかでもないでしょうからね・・・・・・。ごろうじん、いかがです。)

飛び込んで来る馬鹿でもないでしょうからね……。ご老人、如何です。

(ねむけざましに1ぽん。がいこくではこんなぜいたくなやつを、すぱすぱやっているんですよ」)

眠気覚ましに一本。外国ではこんな贅沢な奴を、スパスパやっているんですよ」

(と、しがれっとけーすをぱちんとひらいて、じぶんも1ぽんつまんで、ろうじんのまえに)

と、シガレット・ケースをパチンと開いて、自分も一本摘まんで、老人の前に

(さしだすのでした。 「そうでしょうかね。こんやはこないでしょうかね」)

差し出すのでした。 「そうでしょうかね。今夜は来ないでしょうかね」

(さもんろうじんは、さしだされたえじぷとたばこをとりながら、まだふあんらしく)

左門老人は、差し出されたエジプト煙草を取りながら、まだ不安らしく

(いうのです。 「いや、ごあんしんなさい。あいつは、けっしてばかじゃありません。)

言うのです。 「いや、ご安心なさい。あいつは、決して馬鹿じゃありません。

など

(ぼくがここにがんばっているとしったら、まさかのこのこやってくるはずは)

僕がここに頑張っていると知ったら、まさかノコノコやって来る筈は

(ありませんよ」 それからしばらくことばがとだえて、ふたりはてんでのかんがえごとを)

ありませんよ」  それから暫く言葉が途絶えて、二人はてんでの考え事を

(しながら、おいしそうにたばこをすっていましたが、それがすっかりはいになったころ)

しながら、美味しそうに煙草を吸っていましたが、それがすっかり灰になった頃

(あけちはまたあくびをして、 「ぼくはすこしねむりますよ。あなたもおやすみなさい。)

明智はまた欠伸をして、 「僕は少し眠りますよ。貴方もお休みなさい。

(なあに、だいじょうぶです。ぶしはくつわのおとにめをさますっていいますが、ぼくはしょくぎょうがら)

なあに、大丈夫です。武士は轡の音に目を覚ますって言いますが、僕は職業柄

(どんなしのびあしのおとにもめをさますのです。こころまでねむりはしないのですよ」)

どんな忍び足の音にも目を覚ますのです。心まで眠りはしないのですよ」

(そんなことをいったかとおもうと、いたどのまえにながながとよこになって、)

そんな事を言ったかと思うと、板戸の前に長々と横になって、

(めをふさいでいました。そして、まもなく、すやすやとおだやかなねいきがきこえ)

目を塞いでいました。そして、まもなく、スヤスヤとおだやかな寝息が聞こえ

(はじめたのです。 あまりなれきったたんていのしぐさにろうじんはきがきではありません。)

始めたのです。 あまり慣れきった探偵の仕草に老人は気が気ではありません。

(ねむるどころか、ますますみみをそばだてて、どんなかすかなものおともききもらすまいと、)

眠るどころか、益々耳を欹てて、どんな微かな物音も聞き漏らすまいと、

(いっしょうけんめいでした。 なにかみょうなおとがきこえてくるようなきがします。)

一生懸命でした。  何か妙な音が聞こえてくるような気がします。

(みみなりかしら、それともちかくのもりのこずえにあたるかぜのおとかしら。 そして、みみを)

耳鳴りかしら、それとも近くの森の梢に当たる風の音かしら。  そして、耳を

(すましていますと、しんしんとよるのふけていくのが、はっきりわかるようです。)

澄ましていますと、しんしんと夜の更けていくのが、ハッキリ分かるようです。

(あたまのなかがだんだんからっぽになって、めのまえがもやのようにかすんでいきます。)

頭の中が段々空っぽになって、目の前が靄のように霞んでいきます。

(はっときがつくと、そのうすしろいもやのなかに、めばかりひからしたくろしょうぞくのおとこが)

ハッと気が付くと、その薄白い靄の中に、目ばかり光らした黒装束の男が

(もうろうとたちはだかっているではありませんか。 「あっ、あけちせんせい、)

朦朧と立ちはだかっているではありませんか。 「アッ、明智先生、

(ぞくです、ぞくです」 おもわずおおごえをあげて、ねているあけちのかたをゆさぶりました)

賊です、賊です」  思わず大声を上げて、寝ている明智の肩を揺さぶりました

(「なんです。そうぞうしいじゃありませんか。どこにぞくがいるんです。)

「何です。騒々しいじゃありませんか。何処に賊がいるんです。

(ゆめでもごらんになったのでしょう」 たんていはみうごきもせず、しかりつけるように)

夢でもご覧になったのでしょう」  探偵は身動きもせず、叱り付けるように

(いうのでした。 なるほど、いまのはゆめか、それともまぼろしだったのかもしれません。)

言うのでした。  成程、今のは夢か、それとも幻だったのかもしれません。

(いくらみまわしても、くろしょうぞくのおとこなど、どこにもいやしないのです。)

いくら見回しても、黒装束の男など、何処にもいやしないのです。

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