「こころ」1-37 夏目漱石

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(上)先生と私
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7734 7.8 98.0% 267.0 2107 42 34 2024/04/09
2 りく 6156 A++ 6.4 96.2% 339.0 2172 85 34 2024/03/21
3 レイコ 4533 C++ 4.6 97.6% 458.8 2131 51 34 2024/04/13
4 kkk 3614 D+ 3.8 94.7% 569.9 2182 122 34 2024/04/06

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問題文

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(せんせいのへんじがきたとき、わたくしはちょっとおどろかされた。)

先生の返事が来た時、私はちょっと驚かされた。

(ことにそのないようがとくべつのようけんをふくんでいなかったとき、おどろかされた。)

ことにその内容が特別の用件を含んでいなかった時、驚かされた。

(せんせいはただしんせつずくで、へんじをかいてくれたんだとわたくしはおもった。)

先生はただ親切ずくで、返事を書いてくれたんだと私は思った。

(そうおもうと、そのかんたんないっぽんのてがみがわたくしにはたいそうなよろこびになった。)

そう思うと、その簡単な一本の手紙が私には大層な喜びになった。

(もっともこれはわたくしがせんせいからうけとっただいいちのてがみにはそういなかったが。)

もっともこれは私が先生から受け取った第一の手紙には相違なかったが。

(だいいちというとわたくしとせんせいのあいだにしょしんのおうらいがたびたびあったようにおもわれるが、)

第一というと私と先生の間に書信の往来がたびたびあったように思われるが、

(じじつはけっしてそうでないことをちょっとことわっておきたい。)

事実は決してそうでない事をちょっと断っておきたい。

(わたくしはせんせいのせいぜんにたったにつうのてがみしかもらっていない。)

私は先生の生前にたった二通の手紙しか貰っていない。

(そのいっつうはいまいうこのかんたんなへんしょで、あとのいっつうはせんせいのしぬまえ)

その一通は今いうこの簡単な返書で、あとの一通は先生の死ぬ前

(とくにわたくしあてでかいたたいへんながいものである。)

とくに私宛で書いた大変長いものである。

(ちちはびょうきのせいしつとして、うんどうをつつしまなければならないので、)

父は病気の性質として、運動を慎まなければならないので、

(とこをあげてからも、ほとんどそとへはでなかった。)

床を上げてからも、ほとんど戸外へは出なかった。

(いちどてんきのごくおだやかなひのごごにわへおりたことがあるが、)

一度天気のごく穏やかな日の午後庭へ下りた事があるが、

(そのときはまんいちをきづかって、わたくしがひきそうようにそばについていた。)

その時は万一を気遣って、私が引き添うように傍に付いていた。

(わたくしがしんぱいしてじぶんのかたへてをかけさせようとしても、ちちはわらっておうじなかった。)

私が心配して自分の肩へ手を掛けさせようとしても、父は笑って応じなかった。

(わたくしはたいくつなちちのあいてとしてよくしょうぎばんにむかった。)

私は退屈な父の相手としてよく将棋盤に向かった。

(ふたりともむせいなたちなので、こたつにあたったまま、ばんをやぐらのうえへのせて、)

二人とも夢精な性質なので、炬燵にあたったまま、盤を櫓の上へ載せて、

(こまをうごかすたびに、わざわざてをかけぶとんのしたからだすようなことをした。)

駒を動かすたびに、わざわざ手を掛布団の下から出すような事をした。

(ときどきもちごまをなくして、つぎのしょうぶのくるまでそうほうともしらずにいたりした。)

時々持駒を失くして、次の勝負の来るまで双方とも知らずにいたりした。

(それをははがはいのなかからみつけだして、ひばしではさみあげるというこっけいもあった。)

それを母が灰の中から見付け出して、火箸で挟み上げるという滑稽もあった。

など

(「ごだとばんがたかすぎるうえに、あしがついているから、こたつのうえではうてないが、)

「碁だと盤が高過ぎる上に、足が着いているから、炬燵の上では打てないが、

(そこへくるとしょうぎばんはいいね、こうしてらくにさせるから。)

そこへ来ると将棋盤は好いね、こうして楽に差せるから。

(むせいものにはもってこいだ。もうひとばんやろう」)

夢精者には持って来いだ。もう一番やろう」

(ちちはかったときはかならずもうひとばんやろうといった。)

父は勝った時は必ずもう一番やろうといった。

(そのくせまけたときにも、もうひとばんやろうといった。)

そのくせ負けた時にも、もう一番やろうといった。

(ようするに、かってもまけても、こたつにあたって、しょうぎをさしたがるおとこであった。)

要するに、勝っても負けても、炬燵にあたって、将棋を差したがる男であった。

(はじめのうちはめずらしいので、このいんきょじみたごらくがわたくしにもそうとうのきょうみを)

始めのうちは珍しいので、この隠居じみた娯楽が私にも相当の興味を

(あたえたが、すこしじじつがたつにつれて、わかいわたくしのきりょくはそのくらいなしげきで)

与えたが、少し時日が経つに伴れて、若い私の気力はそのくらいな刺戟で

(まんぞくできなくなった。)

満足できなくなった。

(わたくしはきんやきょうしゃをにぎったこぶしをあたまのうえへのばして、ときどきおもいきったあくびをした。)

私は金や香車を握った拳を頭の上へ伸ばして、時々思い切ったあくびをした。

(わたくしはとうきょうのことをかんがえた。そうしてみなぎるしんぞうのちしおのおくに、)

私は東京の事を考えた。そうして漲る心臓の血潮の奥に、

(かつどうかつどうとうちつづけるこどうをきいた。)

活動活動と打ちつづける鼓動を聞いた。

(ふしぎにもそのこどうのおとが、あるびみょうないしきじょうたいから、)

不思議にもその鼓動の音が、ある微妙な意識状態から、

(せんせいのちからでつよめられているようにかんじた。)

先生の力で強められているように感じた。

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