「こころ」1-45 夏目漱石

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(上)先生と私
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7447 7.6 97.8% 248.4 1891 41 37 2024/04/09
2 ヤス 7384 7.6 96.5% 252.7 1936 70 37 2024/04/04
3 りく 6157 A++ 6.2 98.0% 310.2 1949 39 37 2024/03/26
4 4923 B 5.0 98.4% 378.4 1892 29 37 2024/04/04
5 レイコ 4478 C+ 4.5 97.6% 420.2 1928 46 37 2024/04/20

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問題文

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(「きみのうちにざいさんがあるなら、いまのうちによくしまつをつけてもらっておかないと)

「君のうちに財産があるなら、今のうちによく始末をつけてもらっておかないと

(いけないとおもうがね、よけいなおせわだけれども。)

いけないと思うがね、余計なお世話だけれども。

(きみのおとうさんがたっしゃなうちに、もらうものはちゃんともらっておくように)

君のお父さんが達者なうちに、貰うものはちゃんと貰っておくように

(したらどうですか。まんいちのことがあったあとで、いちばんめんどうのおこるのは)

したらどうですか。万一の事があったあとで、一番面倒の起るのは

(ざいさんのもんだいだから」)

財産の問題だから」

(「ええ」)

「ええ」

(わたくしはせんせいのことばにたいしたちゅういをはらわなかった。)

私は先生の言葉に大した注意を払わなかった。

(わたくしのかていでそんなしんぱいをしているものは、わたくしにかぎらず、)

私の家庭でそんな心配をしているものは、私に限らず、

(ちちにしろははにしろ、ひとりもないとわたくしはしんじていた。)

父にしろ母にしろ、一人もないと私は信じていた。

(そのうえせんせいのいうことの、せんせいとして、あまりにじっさいてきなのに)

その上先生のいう事の、先生として、あまりに実際的なのに

(わたくしはすこしおどろかされた。)

私は少し驚かされた。

(しかしそこはねんちょうしゃにたいするへいぜいのけいいがわたくしをむくちにした。)

しかしそこは年長者に対する平生の敬意が私を無口にした。

(「あなたのおとうさんがなくなられるのを、いまからよそうしてかかるような)

「あなたのお父さんが亡くなられるのを、今から予想してかかるような

(ことばづかいをするのがきにさわったらゆるしてくれたまえ。)

言葉遣いをするのが気に触ったら許してくれたまえ。

(しかしにんげんはしぬものだからね。どんなにたっしゃなものでも、)

しかし人間は死ぬものだからね。どんなに達者なものでも、

(いつしぬかわからないものだからね」)

いつ死ぬか分らないものだからね」

(せんせいのこうきはめずらしくにがにがしかった。)

先生の口気は珍しく苦々しかった。

(「そんなことをちっともきにかけちゃいません」とわたくしはべんかいした。)

「そんな事をちっとも気に掛けちゃいません」と私は弁解した。

(「きみのきょうだいはなんにんでしたかね」とせんせいがきいた。)

「君の兄弟は何人でしたかね」と先生が聞いた。

(せんせいはそのうえにわたくしのかぞくのにんずをきいたり、しんるいのうむをたずねたり、)

先生はその上に私の家族の人数を聞いたり、親類の有無を尋ねたり、

など

(おじやおばのようすをといなどした。そうしてさいごにこういった。)

叔父や叔母の様子を問いなどした。そうして最後にこういった。

(「みんないいひとですか」)

「みんな善い人ですか」

(「べつにわるいにんげんというほどのものもいないようです。たいていいなかものですから」)

「別に悪い人間というほどのものもいないようです。大抵田舎者ですから」

(「いなかものはなぜわるくないんですか」)

「田舎者はなぜ悪くないんですか」

(わたくしはこのついきゅうにくるしんだ。)

私はこの追窮に苦しんだ。

(しかしせんせいはわたくしにへんじをかんがえさせるよゆうさえあたえなった。)

しかし先生は私に返事を考えさせる余裕さえ与えなった。

(「いなかものはとかいのものより、かえってわるいくらいなものです。)

「田舎者は都会のものより、かえって悪いくらいなものです。

(それから、きみはいま、きみのしんせきなぞのうちに、これといって、わるいにんげんはいない)

それから、君は今、君の親戚なぞの中に、これといって、悪い人間はいない

(ようだといいましたね。しかしわるいにんげんといういっしゅのにんげんがよのなかにあると)

ようだといいましたね。しかし悪い人間という一種の人間が世の中にあると

(きみはおもっているんですか。そんないかたにいれたようなあくにんはよのなかにあるはずが)

君は思っているんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずが

(ありませんよ。へいぜいはみんなぜんにんなんです。すくなくともみんなふつうのにんげん)

ありませんよ。平生はみんな善人なんです。少なくともみんな普通の人間

(なんです。それが、いざというまぎわに、きゅうにあくにんにかわるんだからおそろしい)

なんです。それが、いざという間際に、急に悪人に変るんだから恐ろしい

(のです。だからゆだんができないんです」)

のです。だから油断ができないんです」

(せんせいのいうことは、ここできれるようすもなかった。)

先生のいう事は、ここで切れる様子もなかった。

(わたくしはまたここでなにかいおうとした。)

私はまたここで何かいおうとした。

(するとうしろのほうでいぬがきゅうにほえだした。)

すると後ろの方で犬が急に吠え出した。

(せんせいもわたくしもおどろいてうしろをふりかえった。)

先生も私も驚いて後ろを振り返った。

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