『兎と亀』ダンセイニ1【完】

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プレイ回数471難易度(4.5) 4706打 長文
童話『うさぎとかめ』の結末が怖いバージョン
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

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問題文

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(うさぎとかめ、どっちがはやいかということは、ながいあいだ、)

兎と亀、どっちが早いかということは、長い間、

(どうぶつたちでもんだいになっていました。)

動物たちで問題になっていました。

(あるものは、「もちろんうさぎのほうがはやいさ」といいます。)

ある者は、「もちろん兎の方が早いさ」と言います。

(「うさぎはあんなにながいみみをもっている。)

「兎はあんなに長い耳を持っている。

(あのみみでかぜをきってはしったら、ずいぶんはやくはしれるにちがいない」と。)

あの耳で風を切って走ったら、ずいぶん早く走れるに違いない」と。

(しかしまた、あるものは、「いいや、かめのほうがはやいさ」といいます。)

しかしまた、ある者は、「いいや、亀の方が早いさ」と言います。

(「なぜって、かめのこうらはおそろしいほど、しっかりしているじゃないか。)

「なぜって、亀の甲羅は恐ろしいほど、しっかりしているじゃないか。

(あのこうらのようにしっかりと、どこまでもはしっていくことができるよ」と。)

あの甲羅のようにしっかりと、どこまでも走って行くことが出来るよ」と。

(そのようなぎろんばかりで、このもんだいはいつまでたっても、)

そのような議論ばかりで、この問題はいつまでたっても、

(けりがつきそうもありませんでした。)

けりがつきそうもありませんでした。

(そして、とうとうどうぶつたちのなかには、そのぎろんからせんそうがはじまりそうな)

そして、とうとう動物たちの中には、その議論から戦争が始まりそうな

(さわぎになったので、いよいよふたりはしょうぶをすることになりました。)

騒ぎになったので、いよいよ二人は勝負をすることになりました。

(うさぎとかめは、やくよんひゃくごじゅうめーとるのきょうそうをやって、どっちがはやいかを、)

兎と亀は、約四百五十メートルの競走をやって、どっちが早いかを、

(どうぶつたちにみせるということになりました。)

動物たちに見せるということになりました。

(「そんなばかばかしいことは、いやですよ」と、うさぎはいいました。)

「そんな馬鹿馬鹿しいことは、嫌ですよ」と、兎は言いました。

(が、うさぎのみかたたちがいっしょうけんめいせっとくして、きょうそうにでることをやくそくさせました。)

が、兎の味方たちが一生懸命説得して、競走に出ることを約束させました。

(いっぽう、かめは「このきょうそうはだいじょうぶ、わたしのかちですよ。)

一方、亀は「この競走は大丈夫、私の勝ちですよ。

(わたしは、うさぎみたいにしりごみなどは、しませんよ」と、いいました。)

私は、兎みたいに尻込みなどは、しませんよ」と、言いました。

(かめのみかたは、どんなにそれをしょうさんしたことでしょう。)

亀の味方は、どんなにそれを称賛したことでしょう。

(きょうそうのひは、まもなくやってきました。)

競走の日は、まもなくやって来ました。

など

(てきもみかたも、いよいよしょうはいのけっするときがちかづいたので、)

敵も味方も、いよいよ勝敗の決する時が近づいたので、

(くちぐちにおおごえでどなりたてました。)

口々に大声でどなり立てました。

(「わたしはだいじょうぶ、かってみせますよ」と、かめはまたいいました。)

「私は大丈夫、勝ってみせますよ」と、亀はまた言いました。

(うさぎは、なにもいいませんでした。うんざりして、ふきげんだったのです。)

兎は、なにも言いませんでした。うんざりして、不機嫌だったのです。

(そのため、うさぎのみかたのなんにんかはうさぎをみすてて、かめのほうにつきました。)

そのため、兎の味方の何人かは兎を見捨てて、亀の方につきました。

(そして、かめのえらそうなことばを、おおごえでしょうさんしました。)

そして、亀の偉そうな言葉を、大声で称賛しました。

(それでも、うさぎのみかたは、まだだいぶたくさんおりました。)

それでも、兎の味方は、まだだいぶたくさんおりました。

(「おれたちは、うさぎがまけるようなことは、どうしたってないとおもう。)

「おれたちは、兎が負けるようなことは、どうしたってないと思う。

(あんなにながいみみをもっているんだから、かつにちがいないよ」)

あんなに長い耳を持っているんだから、勝つに違いないよ」

(かれらは、くちぐちにそういっていました。)

彼らは、口々にそう言っていました。

(「しっかりはしってくれよ」と、かめのみかたはいいました。)

「しっかり走ってくれよ」と、亀の味方は言いました。

(そして「しっかりはしれ」ということばを、きまりもんくのように、)

そして「しっかり走れ」という言葉を、決まり文句のように、

(みなはくちぐちにくりかえしました。)

みなは口々に繰り返しました。

(「しっかりしたこうらをもって、しっかりいきている。)

「しっかりした甲羅を持って、しっかり生きている。

(それはくにのためにもなることだ。しっかりはしれ」と、かれらはさけびました。)

それは国のためにもなることだ。しっかり走れ」と、彼らは叫びました。

(こんなことばは、どうぶつたちがこころからかめをおうえんしていなければ、でてきません。)

こんな言葉は、動物たちが心から亀を応援していなければ、出てきません。

(いよいよ、ふたりはしゅっぱつしました。てきもみかたも、いちじてきにしずかになりました。)

いよいよ、二人は出発しました。敵も味方も、一時的に静かになりました。

(うさぎは、いっきにやくきゅうじゅうめーとるはしりました。)

兎は、一気に約九十メートル走りました。

(そして、うさぎはじぶんのまわりをみまわしてみると、)

そして、兎は自分の周りを見回してみると、

(そこにはかめのすがたもかたちもみえないではありませんか。)

そこには亀の姿も形も見えないではありませんか。

(「なんてばかばかしいことだ。かめときょうそうをするなんて」)

「なんて馬鹿馬鹿しいことだ。亀と競走をするなんて」

(うさぎはそういって、そこへすわりこんで、きょうそうをやめてしまいました。)

兎はそう言って、そこへ座りこんで、競走をやめてしまいました。

(「しっかりはしれ」と、だれかがさけんでいるのがきこえます。)

「しっかり走れ」と、誰かが叫んでいるのが聞こえます。

(「やめてしまえ」と、だれかがいっています。)

「やめてしまえ」と、誰かが言っています。

(この「やめてしまえ」も、どうやらきまりもんくになってしまいました。)

この「やめてしまえ」も、どうやら決まり文句になってしまいました。

(が、しばらくすると、かめはうさぎのそばへちかづいてきました。)

が、しばらくすると、亀は兎のそばへ近づいて来ました。

(「やってきたな。このかめのやろう」と、うさぎはいいました。)

「やって来たな。この亀の野郎」と、兎は言いました。

(そして、うさぎはおきあがって、かめがどんなにがんばっても)

そして、兎は起き上って、亀がどんなに頑張っても

(おいつけないようなはやさで、はしりだしました。)

追いつけないような早さで、走り出しました。

(「みみのながいほうがやっぱりかつだろう。おれたちのいったことは、)

「耳の長い方がやっぱり勝つだろう。おれたちの言ったことは、

(いよいよもんくなしにただしいということになるぞ」と、うさぎのみかたはいいました。)

いよいよ文句なしに正しいということになるぞ」と、兎の味方は言いました。

(そして、あるものは、かめのみかたのほうをふりかえって、いいました。)

そして、ある者は、亀の味方の方を振り返って、言いました。

(「どうした。おまえのほうのたいしょうは」)

「どうした。お前の方の大将は」

(「しっかりはしれ」と、かめのみかたはいいました。)

「しっかり走れ」と、亀の味方は言いました。

(うさぎは、やくにひゃくななじゅうめーとるはしりつづけて、)

兎は、約二百七十メートル走り続けて、

(もうすこしでごーるというところまできました。)

もう少しでゴールという所まで来ました。

(が、そのときうさぎは、うしろのほうにすがたさえみえないかめと、)

が、その時兎は、うしろの方に姿さえ見えない亀と、

(いっしょうけんめいきょうそうしているじぶんは、なんとばかげてみえるだろうと、かんがえました。)

一生懸命競走している自分は、なんと馬鹿げて見えるだろうと、考えました。

(そうおもうと、もうきょうそうするのが、すっかりいやになって、)

そう思うと、もう競走するのが、すっかり嫌になって、

(またそこへすわりこんでしまいました。)

またそこへ座りこんでしまいました。

(「しっかりはしれ」「いや、やめてしまえ」と、おおぜいがさけんでいます。)

「しっかり走れ」「いや、やめてしまえ」と、大勢が叫んでいます。

(「どんなりゆうがあっても、もうはしりたくはないぜ」)

「どんな理由があっても、もう走りたくはないぜ」

(うさぎはそういって、こんどはゆっくりこしをすえてしまいました。)

兎はそう言って、今度はゆっくり腰をすえてしまいました。

(あるものは、「うさぎはねむってしまったのだ」といいます。)

ある者は、「兎は眠ってしまったのだ」と言います。

(それからいち、にじかんばかり、かめはしにものぐるいではしりつづけました。)

それから一、二時間ばかり、亀は死にものぐるいで走り続けました。

(そしてついに、きょうそうはかめがかってしまいました。)

そしてついに、競走は亀が勝ってしまいました。

(「しっかりはしること。しっかりしたこうらをもっていること。)

「しっかり走ること。しっかりした甲羅を持っていること。

(それが、かめのなによりのたからだよ」と、みかたがいいました。)

それが、亀のなによりの宝だよ」と、味方が言いました。

(そして、それからかれらはかめのところへいって、)

そして、それから彼らは亀の所へ行って、

(「きょうそうにかったときのきもちを、おきかせください」と、いいました。)

「競走に勝った時の気持ちを、お聞かせください」と、言いました。

(かめはじぶんでは、うまいへんとうができないので、うみがめのところへききにいきました。)

亀は自分では、うまい返答が出来ないので、海亀の所へ聞きにいきました。

(するとうみがめは、「やっぱり、おまえのあしがはやいから、)

すると海亀は、「やっぱり、お前の足が早いから、

(めいよのしょうりをえたのさ」といいました。)

名誉の勝利を得たのさ」と言いました。

(そこで、かれはかえってきて、ともだちにそのことばをくりかえしました。)

そこで、彼は帰ってきて、友達にその言葉を繰り返しました。

(どうぶつたちは、「なるほど、そうなんだ」と、おもってききました。)

動物たちは、「なるほど、そうなんだ」と、思って聞きました。

(なのでげんざいにいたるまで、「あしがはやいから、めいよのしょうりをえたのだ」)

なので現在に至るまで、「足が早いから、名誉の勝利を得たのだ」

(ということばを、かめや、かたつむりたちは、そのまましんじておりました。)

という言葉を、亀や、カタツムリたちは、そのまま信じておりました。

(ですがじっさいは、うさぎのほうがかめよりはやかったのです。)

ですが実際は、兎の方が亀より早かったのです。

(このじじつは、きょうそうをじっさいにみていたどうぶつたちが、そのあとおきた)

この事実は、競走を実際に見ていた動物たちが、そのあと起きた

(おおきなもりのかじで、すっかりしんでしまったため、だれもしりませんでした。)

大きな森の火事で、すっかり死んでしまったため、誰も知りませんでした。

(もりのかじは、たいふうのばんに、とつぜんおきました。)

森の火事は、台風の晩に、突然起きました。

(うさぎだの、かめだの、そのほかご、ろっぴきのどうぶつは、)

兎だの、亀だの、そのほか五、六匹の動物は、

(そのときちょうどもりのはずれのこだかくひらけたやまのうえにいたので、)

その時ちょうど森のはずれの小高くひらけた山の上にいたので、

(すぐかじをみつけることができました。)

すぐ火事を見つけることが出来ました。

(かれらはおおいそぎで、このかじをもりのなかのどうぶつにしらせにいくには、)

彼らは大急ぎで、この火事を森の中の動物に知らせに行くには、

(だれがいちばんいいだろうかと、そうだんしました。そのけっか、)

誰が一番いいだろうかと、相談しました。その結果、

(ついこのまえのきょうそうでかったかめが、そのやくめをひきうけることになったのです。)

ついこの前の競走で勝った亀が、その役目を引き受けることになったのです。

(もちろんかめは、しっかりはしりましたが、)

もちろん亀は、しっかり走りましたが、

(もりのなかのどうぶつたちは、のこらずかじにやかれてしまいました。)

森の中の動物たちは、残らず火事に焼かれてしまいました。

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