フランツ・カフカ 家長の心配

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1 berry 8251 8.3 98.8% 366.1 3058 37 48 2024/04/27
2 HAKU 7447 7.7 96.1% 397.7 3084 122 48 2024/04/27
3 ヤス 7174 7.5 95.3% 408.8 3084 151 48 2024/04/27
4 なきり 4765 B 5.0 94.6% 611.0 3087 175 48 2024/04/26
5 おち 4192 C 4.3 96.5% 710.0 3088 111 48 2024/04/28

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問題文

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(あるひとびとは、「おどらでく」ということばはすらヴごからでている、といって、)

ある人びとは、「オドラデク」という言葉はスラヴ語から出ている、といって、

(それをこんきょにしてこのことばのせいりつをしょうめいしようとしている。ほかのひとびとは)

それを根拠にしてこの言葉の成立を証明しようとしている。ほかの人びとは

(また、このことばはどいつごからでているものであり、ただすらヴごのえいきょうを)

また、この言葉はドイツ語から出ているものであり、ただスラヴ語の影響を

(うけているだけだ、といっている。このふたつのかいしゃくがふたしかなことは、どちらも)

受けているだけだ、といっている。この二つの解釈が不確かなことは、どちらも

(あたってはいないというけつろんをくだしてもきっとただしいのだ、とおもわせる。)

あたってはいないという結論を下してもきっと正しいのだ、と思わせる。

(ことに、そのどちらのかいしゃくによってもことばのいみがみいだせられないのだから、)

ことに、そのどちらの解釈によっても言葉の意味が見出せられないのだから、

(なおさらのことだ。)

なおさらのことだ。

(もちろん、もしおどらでくというなまえのものがほんとうにあるのでなければ、)

もちろん、もしオドラデクという名前のものがほんとうにあるのでなければ、

(だれだってそんなごげんのけんきゅうにたずさわりはしないだろう。まずみたところ、)

だれだってそんな語源の研究にたずさわりはしないだろう。まず見たところ、

(それはひらたいほしがたのいとまきのようにみえるし、またじっさいにいとでまかれている)

それは平たい星形の糸巻のように見えるし、また実際に糸で巻かれている

(ようにもみえる。いとといっても、ひどくばらばらなひんしつといろとをもった)

ようにも見える。糸といっても、ひどくばらばらな品質と色とをもった

(きれぎれのふるいよりいとをむすびつけ、しかしやはりもつれあわしてあるだけのもの)

切れ切れの古いより糸を結びつけ、しかしやはりもつれ合わしてあるだけのもの

(ではあるのだろう。だが、それはたんにいとまきであるだけではなく、ほしがたのまんなか)

ではあるのだろう。だが、それは単に糸巻であるだけではなく、星形のまんなか

(からちいさないっぽんのぼうがつきだしていて、それからこのちいさなぼうとちょっかくにもういっぽん)

から小さな一本の棒が突き出していて、それからこの小さな棒と直角にもう一本

(のぼうがついている。このあとのほうのぼうをいっぽうのあし、ほしがたのとがりのひとつを)

の棒がついている。このあとのほうの棒を一方の足、星形のとがりの一つを

(もういっぽうのあしにして、ぜんたいはまるでりょうあしでたつようにちょくりつすることができる。)

もう一方の足にして、全体はまるで両足で立つように直立することができる。

(このくみたてひんはいぜんはなにかようとにかなったかたちをしていたのだが、いまではそれが)

この組立て品は以前は何か用途にかなった形をしていたのだが、今ではそれが

(こわれてこんなかたちになってしまっただけなのだ、とひとはおもいたくなること)

こわれてこんな形になってしまっただけなのだ、と人は思いたくなること

(だろう。だが、どうもそういうことではないようなのだ。すくなくともそれをしょうこ)

だろう。だが、どうもそういうことではないようなのだ。少なくともそれを証拠

(たてるようなちょうこうというものはない。つまり、なにかそういったことをあんじする)

立てるような徴候というものはない。つまり、何かそういったことを暗示する

など

(ような、ものがついていたあととか、おれたかしょとかはどこにもない。ぜんたいは)

ような、ものがついていた跡とか、折れた個所とかはどこにもない。全体は

(いみのないようにみえるのだが、それはそれなりにまとまっている。それに、)

意味のないように見えるのだが、それはそれなりにまとまっている。それに、

(このしなについてこれいじょうくわしいことをいうことはできない。なぜかというと、)

この品についてこれ以上くわしいことをいうことはできない。なぜかというと、

(おどらでくはひどくうごきやすくて、つかまえることができないものだからだ。)

オドラデクはひどく動きやすくて、つかまえることができないものだからだ。

(それは、やねうらべややたてもののかいだんぶやろうかやげんかんなどにてんてんとしてとどまる。)

それは、屋根裏部屋や建物の階段部や廊下や玄関などに転々としてとどまる。

(ときどき、なんかげつものあいだすがたがみられない。きっとべつないえいえへうつっていった)

ときどき、何カ月ものあいだ姿が見られない。きっと別な家々へ移っていった

(ためなのだ。けれども、やがてかならずわたしたちのいえへもどってくる。)

ためなのだ。けれども、やがてかならず私たちの家へもどってくる。

(ときどき、わたしたちがどあからでるとき、これがしたのかいだんのてすりにもたれ)

ときどき、私たちがドアから出るとき、これが下の階段の手すりにもたれ

(かかっていると、わたしたちはこれにことばをかけたくなる。むろん、むずかしいとい)

かかっていると、私たちはこれに言葉をかけたくなる。むろん、むずかしい問い

(などするのではなくて、わたしたちはそれを--なにせそれがあんまりちいさいので)

などするのではなくて、私たちはそれを--なにせそれがあんまり小さいので

(そうするきになるのだが--こどものようにあつかうのだ。)

そうする気になるのだが--子供のように扱うのだ。

(「きみのなまえはなんていうの?」と、わたしたちはたずねる。)

「君の名前はなんていうの?」と、私たちはたずねる。

(「おどらでくだよ」と、それはいう。)

「オドラデクだよ」と、それはいう。

(「どこにとまっているんだい?」)

「どこに泊っているんだい?」

(「とまるところなんかきまっていないや」と、それはいって、わらう。ところが、)

「泊まるところなんかきまっていないや」と、それはいって、笑う。ところが、

(そのわらいは、はいなしでだせるようなわらいなのだ。たとえば、おちばのかさかさいう)

その笑いは、肺なしで出せるような笑いなのだ。たとえば、落葉のかさかさいう

(おとのようにひびくのだ。これでたいわはたいていおわってしまう。それに、こうした)

音のように響くのだ。これで対話はたいてい終ってしまう。それに、こうした

(へんじでさえ、いつでももらえるときまってはいない。しばしばそれはながいこと)

返事でさえ、いつでももらえるときまってはいない。しばしばそれは長いこと

(だまりこくっている。きのようなだんまりだが、どうもそれじたいがきで)

黙りこくっている。木のようなだんまりだが、どうもそれ自体が木で

(できているらしい。)

できているらしい。

(それがこれからどうなることだろう、とわたしはじぶんにたずねてみるのだが、なんの)

それがこれからどうなることだろう、と私は自分にたずねてみるのだが、なんの

(かいとうもでてはこない。いったい、しぬことがあるのだろうか。しぬものはみな、)

回答も出てはこない。いったい、死ぬことがあるのだろうか。死ぬものはみな、

(あらかじめいっしゅのもくてき、いっしゅのかつどうというものをもっていたからこそ、それで)

あらかじめ一種の目的、一種の活動というものをもっていたからこそ、それで

(みをすりへらしてしんでいくのだ。このことはおどらでくにはあてはまらない。)

身をすりへらして死んでいくのだ。このことはオドラデクにはあてはまらない。

(それならいつか、たとえばわたしのこどもたちやしそんたちのまえに、よりいとをうしろに)

それならいつか、たとえば私の子供たちや子孫たちの前に、より糸をうしろに

(ひきずりながらかいだんからころげおちていくようなことになるのだろうか。それは)

ひきずりながら階段からころげ落ちていくようなことになるのだろうか。それは

(だれにだってがいはおよぼさないようだ。だが、わたしがしんでもそれがいきのこるだろう)

だれにだって害は及ぼさないようだ。だが、私が死んでもそれが生き残るだろう

(とかんがえただけで、わたしのむねはほとんどいたむくらいだ。)

と考えただけで、私の胸はほとんど痛むくらいだ。

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