ヴィーナスとネコ
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問題文
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(あるねこがにんげんのわかものにこいをし、わかもののあいをてにいれたいあまりに、)
あるネコが人間の若者に恋をし、若者の愛を手にいれたいあまりに、
(ヴぃーなすのめがみに、じぶんをにんげんのおんなにかえてほしいとねがいでた。)
ヴィーナスの女神に、自分を人間の女に変えて欲しいと願い出た。
(めがみは、そんなにわかものがすきならばと、あわれにおもい、ねこをうつくしいおとめに)
女神は、そんなに若者が好きならばと、哀れに思い、ネコを美しい乙女に
(かえてやった。わかものは、おとめをひとめみるなりすきになり、それからまもなく)
変えてやった。若者は、乙女を一目見るなり好きになり、それからまもなく
(ふたりはけっこんした。あるひ、めがみは、ねこがすがたかたちだけでなく、)
二人は結婚した。ある日、女神は、ネコが姿形だけでなく、
(こころねもかえられたかどうか、みてみたくなった。)
心根も変えられたかどうか、見てみたくなった。
(そこで、ふたりがすんでいるへやに、ねずみをはなしてはしらせた。)
そこで、二人が住んでいる部屋に、ネズミを放して走らせた。
(すると、おとめは、われをわすれてとびおきると、そのばでねずみをとって)
すると、乙女は、我を忘れて飛び起きると、その場でネズミを捕って
(くおうとばかりに、おそいかかっていった。)
食おうとばかりに、襲いかかっていった。
(そのありさまに、めがみはすっかりしつぼうし、おとめをねこにもどしてしまった。)
その有様に、女神はすっかり失望し、乙女をネコに戻してしまった。
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