ロスタイムメモリー

(すうねんたってもかげはきえない)

数年たっても影は消えない

(かんじょうばかりがつのっていく)

感情ばかりが募って行く

(うずくまってひとりえがいていた)

蹲って一人描いていた

(えんてんちょっかさかみちのうえ)

炎天直下坂道の上

(にじんだぼくらがあるいていた)

滲んだ僕らが歩いていた

(なつのおんどがめにのこっていた)

夏の温度が目に残っていた

(かまわないでよどこかへいってくれ)

「構わないでよ」「何処かへ行ってくれ」

(きみのてをはらった)

君の手を払った

(いかないよなんていってきみはぼくのてをつかんだ)

「行かないよ」なんて言って君は僕の手をつかんだ

(うるさいなぼくはちょっとのさきをふりかえずにあるいた)

「五月蝿いな」僕はちょっとの先を振り返ずに歩いた

(ほんとのこころは)

「本当の心は？」

(そうめいなんかじゃまえはむけない)

「聡明」なんかじゃ前は向けない

(りゆうがないからくさっていく)

理由が無いから腐って行く

(まきもどってくれればいいのにな)

巻き戻ってくれれば良いのにな

(なんねんたってもぼくはしなない)

何年たっても僕は死なない

(きぼうろんばかりをとなえている)

希望論ばかりを唱えている

(とうぜんきょうもきみはいないのにさ)

当然今日も君はいないのにさ

(かまわない、しねよ、しねよ)

「構わない、死ねよ、死ねよ」

(っててくびをにぎって、ただのろって)

って手首を握って、ただ呪って

(なにもできないでただのうのうとじんせいをむさぼった)

何も出来ないでただ、のうのうと人生を貪った

(なつがゆめをみせるのならきみをつれさるまえへなんて)

「夏が夢を見せるのなら、君を連れ去る前へ」なんて

(てれかくししたひびがくうきをてらしてのうりをこがしていく)

照れ隠しした日々が空気を照らして脳裏を焦がしていく

(１８さいになったしょうねんまたどこかでまっていたんだ)

18歳になった少年また何処かで待っていたんだ

(かげぼうしにじむすがたをおもいだして)

カゲボウシ滲む姿を思い出して

(えんてんかにすんだこうてい)

炎天下に澄んだ校庭

(わらっていたきみがきょうもあそぼうよっていって)

笑っていた君が今日も「遊ぼうよ」って言って

(ゆらゆらゆれた)

ユラユラ揺れた

(しんぱいですとぶきようなかお)

「心配です」と不器用な顔

(りんじんなんかにはわかんないさ)

隣人なんかには解んないさ

(かなしそうなふりをしないでくれ)

悲しそうなフリをしないでくれ

(もうろうきょうもふしぜんでいよう)

朦朧、今日も不自然でいよう

(きのうのぺーすをまもっていよう)

昨日のペースを守っていよう

(きみのおんどをわすれないように)

君の温度を忘れないように

(かなわないゆめをねがうのならいっそ)

叶わない夢を願うのならいっそ

(わすれたかこをだいて)

忘れた過去を抱いて

(さめないゆめをみようとうぜんのようにとじこもって)

覚めない夢を見よう当然のように閉じ篭もって

(それじゃああすもみえないままですよ)

「それじゃあ、明日も見えないままですよ？」

(それならそれでよいさつまらないひびをころすようにてをそめ)

それならそれで良いさ　つまらない日々を殺す様に手を染め

(ひとりをえらぶから)

「一人」を選ぶから

(１８さいくさったしょうねんまたきょうもいのってたんだ)

18歳、腐った少年また今日も祈ってたんだ

(いろめいたきみのえがおにしがみついて)

色めいた君の笑顔にしがみついて

(えんてんかにどうかいっそつれっててくれよなんて)

炎天下に「どうかいっそつれっててくれよ」なんて

(つぶやいていきをしずかにとめた)

呟いて息を静かに止めた