鬼紅忍絵巻-おにくれないにんえまき-

(ときはせんごくのみだれけんにうつるあらそい)

時は戦国の乱れ　剣に映る争い

(うんめいをなげいたとてそれいきるみち)

運命を嘆いたとて　それ生きる道

(くさのねをかきわけてあらわるはぐれぎつね)

草の根を掻き分けて　現るはぐれ狐

(それはうそかまことかまたまぼろしか)

それは嘘か誠か　また幻か

(ちからをみせよ)

「力を見せよ」

(おみせしましょう)

「お見せしましょう」

(かげがくれいのちがけの)

「影隠れ　命懸けの」

(いのちがけのためしを)

「命懸けの試しを」

(かくごおもいいかほどかを)

覚悟　思いいかほどかを

(さらばじだいよいろはにほへと)

さらば時代よ　いろはにほへと

(たいりんのはなはさく)

大輪の華は咲く

(いのちはかなしわかれはかなし)

命はかなし　別れはかなし

(ふところにかくしたこのこころ)

懐に隠したこの心

(さくはしゅりけんあさきゆめみじ)

裂くは手裏剣　あさきゆめみじ

(かぜになりつちになり)

風になり土になり

(いつかしのばぬまことのおもいとどくならば)

いつか忍ばぬ誠の思い　届くならば

(たかのこえひびきわたるこれはふきつたそかれ)

鷹の声響き渡る　これは不吉　誰そ彼

(かわいいあのはぐれぎつねきばをみがくか)

可愛いあのはぐれ狐　牙を磨くか

(なまえをさずけしきみよひごとにつのるあくがれ)

名前を授けし君よ　日ごとに募るあくがれ

(やがてはきたるそのときそらはくれない)

やがては来るその時　空はくれない

(なびかぬこころ)

「なびかぬ心」

(なびかぬちかい)

「なびかぬ誓い」

(しゅくめいのわかれみちを)

「宿命の分かれ道を」

(わかれみちをむかえた)

「分かれ道を迎えた」

(ひかるやいばむきあうかげ)

光る刃　向き合う影

(さらばじだいよいろはにほへと)

さらば時代よ　いろはにほへと

(どちらのかげかきえる)

どちらの影か消える

(いのちはかなしわかれはかなし)

命はかなし　別れはかなし

(ただひとつまよいのなきように)

ただ一つ迷いのなきように

(さくはしゅりけんあさきゆめみじ)

裂くは手裏剣　あさきゆめみじ

(したたりおちるくれない)

滴り落ちる紅

(きつねにあめかおににいのちかそのふたつか)

狐に雨か　鬼の命か　その二つか

(このであいをくいたりはしない)

この出会いを悔いたりはしない

(しのびのみちののがれえぬさだめ)

忍びの道の逃れ得ぬ運命(さだめ)

(さらばじだいよいろはにほへと)

さらば時代よ　いろはにほへと

(たいりんのはなはさく)

大輪の華は咲く

(いのちはかなしわかれはかなし)

命はかなし　別れはかなし

(ふところにかくしたこのこころ)

懐に隠したこの心

(さくはしゅりけんあさきゆめみじ)

裂くは手裏剣　あさきゆめみじ

(かぜになりつちになり)

風になり土になり

(いつかしのばぬまことのおもいとどくならば)

いつか忍ばぬ誠の思い　届くならば