唇をかみしめて／吉田拓郎

(ええかげんなやつじゃけ)

ええかげんなヤツじゃけ

(ほっといてくれんさい)

ほっといてくれんさい

(あんたといっしょになきとうはありません)

あんたと一緒に　泣きとうはありません

(どこへいくんね)

どこへ行くんね

(なにかええことあったんね)

なにかええこと　あったんね

(すむきになったらてがみでもだしんさいや)

住む気になったら　手紙でも出しんさいや

(きせつもいくつかたずねてきたろうが)

季節もいくつか　訪ねてきたろうが

(ときがゆくのもわからんくらいに)

時が行くのも分からんくらいに

(めまぐるしかったんじゃ)

目まぐるしかったんじゃ

(ひとがすきやけねひとがすきやけね)

人が好きやけね　人が好きやけね

(さばくもさばかんもそらにまかしたんよ)

さばくも　さばかんも　空に任したんよ

(ひとがおるんよねひとがそこにおるんよね)

人がおるんよね　人がそこにおるんよね

(なにかはわからんたりんものがあったけん)

何かは分からん　足りんものがあったけん

(いきてみたんもゆるされることじゃろう)

生きてみたんも　許されることじゃろう

(じぶんのあしたさえめにうつりもせんけれど)

自分の明日さえ　目に映りもせんけれど

(おせっかいなやつやとわらわんといてくれ)

お節介なヤツやと　笑わんといてくれ

(りくつであいなどてにできるもんならば)

理屈で愛など　手にできるもんならば

(このみをかけてもすべてをすてても)

この身を懸けても　全てを捨てても

(しあわせになってやる)

幸せになってやる

(ひとがなくんよねひとがなくんよね)

人が泣くんよね　人が泣くんよね

(えらぶもえらばれんもかぜにまかしたんよ)

選ぶも　選ばれんも　風に任したんよ

(ひとがおるんよねひとがそこにおるんよね)

人がおるんよね　人がそこにおるんよね

(こころがさむすぎてたびにもでれなんだ)

心が寒すぎて　旅にも出れなんだ

(あんたはいきんさいとおくへいきんさい)

あんたは行きんさい　遠くへ行きんさい

(なにもなかったんじゃけん)

何もなかったんじゃけん

(ひとがよびよるねひとがよびよるね)

人が呼びよるね　人が呼びよるね

(いくんもとどまるもそれぞれのみちなんよ)

行くんも留まるも　それぞれの道なんよ

(ひとがいきとるねひとがそこでいきとるね)

人が生きとるね　人がそこで生きとるね

(ひとがおるんよねひとがそこにおるんよね)

人がおるんよね　人がそこにおるんよね