春告の贄
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問題文
(ゆきのしとねにふたりふれるゆびさきふるえる)
雪の褥に二人 触れるゆびさき震える
(ぬれたこそでかくすせなかをいだくこともかなわぬままに)
濡れた小袖隠す背中を 抱くことも叶わぬままに
(はらはらまうひとひらはちることもさくこともない)
はらはら 舞うひとひらは 散ることも咲くこともない
(ゆうへいといつわりのきせつのなかくりかえすさだめ)
幽閉と偽りの季節の中 繰り返す運命
(つきぬおもいとどかぬねがい)
尽きぬ思い 届かぬ願い
(なもなききみははるつげのにえ)
名もなき君は春告の贄
(いとしいものよまようことなく)
愛しい者よ 迷うことなく
(はばたいてゆけのぞむせかいのはてへ)
羽ばたいてゆけ 望む世界の果てへ
(こおるつきよにひとりかわくくちびるふるえる)
凍る月夜に一人 乾く唇震える
(ひえたこそでりょうてにかかえきみのかおりもとめるままに)
冷えた小袖両手に抱え 君の薫り求めるままに
(はらはらくずれゆくのはひとのよのよくぼうのなれ)
はらはら崩れゆくのは 人の世の欲望の成れ
(うらぎりうばわれるひそかなときゆるされぬきおく)
裏切り奪われる密かな時 許されぬ記憶
(くちるわれらほころぶいのり)
朽ちる我ら 綻ぶ祈り
(なもなききみをみちづれにして)
名もなき君を道連れにして
(しろきかげのちしおささげる)
白き影の血潮捧げる
(かさなるつみをとわにきざみつづけて)
重なる罪を永久に刻み続けて
(leutepreisendochaltelieben)
(過ぎた想いを称賛する者共)
(traumebringennichtsinseinemleben)
(だが憧憬はなにももたらさない)
(wieoderwerderwurfelistjetztgefallen)
(如何に、だれが?賽は今投げられた)
(あまくとけるふたりのねつがあらたなひびをえがきだすなら)
甘く溶ける二人の熱が 新たな日々を描き出すなら
(たとえきみがきづかなくともこのてをけしてはなさないのに)
たとえ君が気付かなくとも この手を決して離さないのに
(つきぬおもいとどかぬねがい)
尽きぬ思い 届かぬ願い
(なもなききみははるつげのにえ)
名もなききみは 春告の贄
(いとしいものよまようことなく)
愛しい者よ迷うことなく
(いにしえうたうすべてをすてて)
古謳うすべてを捨てて
(はばたいてゆけのぞむせかいのはてへ)
羽ばたいてゆけ望む世界の果てへ