面白い話 ~20年後の彼ら~ 第6話-1
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問題文
(いっぽうそのころできすぎはというと、しずかとのあいだにびみょうなくうきをかんじつつあった。)
一方その頃出木杉はというと、しずかとの間に微妙な空気を感じつつあった。
(しょうがっこうのころからしずかとはよくあそんだし、)
小学校の頃からしずかとはよく遊んだし、
(かのじょからのこういもすくなからずかんじる。まちがいなくいける、)
彼女からの好意も少なからず感じる。間違いなくいける、
(そうおもうのになぜのびたにえんりょしてしまうのだろう。)
そう思うのに何故のび太に遠慮してしまうのだろう。
(べつにのびたとしずかはつきあってるわけではないはずだ。なのに、どうして?)
別にのび太としずかは付き合ってるわけではないはずだ。なのに、どうして?
(できすぎ(これがただしいみらいではないからか?)
出木杉(これが正しい未来ではないからか?
(やはりしずかちゃんはのびたとむすばれるはずだからか・・・・・・?)
やはりしずかちゃんはのび太と結ばれるはずだからか……?
(いや、そんなのぼくらしくない。)
いや、そんなの僕らしくない。
(それじゃまるでうんめいをみとめるようなものじゃないか・・・・・・))
それじゃまるで運命を認めるようなものじゃないか……)
(じぶんじしんがなにをねがっているのかわからない。)
自分自身が何を願っているのかわからない。
(しずかのきもちがわからない。)
しずかの気持ちがわからない。
(なんとなく、にげだしたいようなきもちにかられた。)
何となく、逃げ出したいような気持ちに駆られた。
(しずか「あら?」)
しずか「あら?」
(できすぎ「どうしたんだい、しずかちゃん」)
出木杉「どうしたんだい、しずかちゃん」
(しずか「あれ・・・・・・すねおさんじゃない?」)
しずか「あれ……スネ夫さんじゃない?」
(できすぎ「え?すねおくんはたくしーでかえったはずじゃ・・・・・・」)
出木杉「え? スネ夫くんはタクシーで帰ったはずじゃ……」
(しずか「でも、ほら・・・・・・」)
しずか「でも、ほら……」
(しずかのいうとおり、すこしさきのろじにくろのとよたしゃがとめられていて、)
しずかの言うとおり、少し先の路地に黒のトヨタ車が停められていて、
(そのよこにこーとをきたすねおがたっていた。)
その横にコートを着たスネ夫が立っていた。
(できすぎ「すねおくん!どうしたんだい?かえったんじゃあ・・・・・・」)
出木杉「スネ夫くん!どうしたんだい? 帰ったんじゃあ……」
(すねお「いや、ちょっとようじをおもいだしてね。)
スネ夫「いや、ちょっと用事を思い出してね。
(いえからすぐにひきかえしてここできみたちをまってたんだ」)
家からすぐに引き返してここで君たちを待ってたんだ」
(しずか「すねおさん、でもいんしゅうんてんじゃないの?」)
しずか「スネ夫さん、でも飲酒運転じゃないの?」
(すねお「こまかいことはきにするなよ。)
スネ夫「細かいことは気にするなよ。
(ほら、ぜんぜんさけくさくないだろ?もうあるこーるはぬけたよ」)
ほら、全然酒臭くないだろ?もうアルコールは抜けたよ」
(できすぎ「で、ようじってなんなの?」)
出木杉「で、用事って何なの?」
(すねお「それはね・・・・・・」)
スネ夫「それはね……」
(そのとき、できすぎのうわぎのなかでけいたいがふるえた。)
そのとき、出木杉の上着の中で携帯が震えた。
(できすぎ「あ、ちょっとごめん。でんわが・・・・・・」)
出木杉「あ、ちょっとごめん。電話が……」
(でんわをとろうとしてできすぎはいぶかしむ。)
電話を取ろうとして出木杉はいぶかしむ。
(すねおのけいたいからのちゃくしんひょうじがでていたからだ。)
スネ夫の携帯からの着信表示が出ていたからだ。
(ふしぎにおもいつつもでんわにでる。)
不思議に思いつつも電話に出る。
(できすぎ「もしもし・・・・・・」)
出木杉「もしもし……」
(すねお「・・・・・・できすぎくん?すぐに、しずかちゃんをつれてにげ・・・・・・るんだ」)
スネ夫『……出木杉くん? すぐに、しずかちゃんを連れて逃げ……るんだ』
(おどろいてできすぎはめのまえのすねおをみる。)
驚いて出木杉は目の前のスネ夫を見る。
(かれはでんわをもってないし、なにもしゃべっていない。)
彼は電話を持ってないし、何も喋っていない。
(しかし、でんわのむこうのこえもすねおにちがいなかった。)
しかし、電話の向こうの声もスネ夫に違いなかった。
(すねお「にげて・・・・・・ぼくはさされた。)
スネ夫『逃げて……僕は刺された。
(さっきまでいしきがなかったんだ・・・・・・あいては・・・・・・」)
さっきまで意識がなかったんだ……相手は……』
(そこですねおのこえがとぎれる。またいしきをうしなったのかもしれない。)
そこでスネ夫の声が途切れる。また意識を失ったのかもしれない。
(そのとき、めのまえのすねおがこーとのうちぽけっとから)
そのとき、目の前のスネ夫がコートの内ポケットから
(ほうちょうをとりだしとっしんしてきた。)
包丁を取り出し突進してきた。
(しずかのみじかいひめい。)
しずかの短い悲鳴。
(できすぎはほうちょうをかばんでうけとめると、しずかのてをひきにげる。)
出木杉は包丁を鞄で受け止めると、しずかの手を引き逃げる。
(くるまをはさんですねおとたいじした。)
車を挟んでスネ夫と対峙した。