第四解剖室 スティーヴン・キング 9

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(こいつらは、わたしをきりきざむじゅんびをととのえている。こいつらは)

こいつらは、私を切り刻む準備を整えている。こいつらは

(はわーどこっとれるのしんぞうをとりだし、はたしてぽんぷが)

ハワード・コットレルの心臓を取り出し、はたしてポンプが

(こわれたのか、それともしんぼうがふきとんだのかをたしかめようというのだ。)

壊れたのか、それとも心棒が吹き飛んだのかを確かめようというのだ。

(<あしだ!>わたしはあたまのなかでけんめいにさけぶ。<ひだりあしをみてくれ!)

<足だ!>私は頭の中で懸命に叫ぶ。<左足を見てくれ!

(もんだいがあるのはひだりあしだ、しんぞうなんかじゃない!>)

問題があるのは左足だ、心臓なんかじゃない!>

(もしかしたら、ようやくめがあかるさになれてきたのかもしれない。)

もしかしたら、ようやく目が明るさに慣れてきたのかもしれない。

(しかいのいちばんうえのあたりに、すてんれすすちーるせいのほねぐみめいた)

視界の一番上のあたりに、ステンレススチール製の骨組みめいた

(ものがみえている。はいしゃがつかうどうぐのきょだいばんといったすがたを)

ものが見えている。歯医者が使う道具の巨大版といった姿を

(しているが、せんたんにあるのはどりるではない。のこぎりだ。あたまのおくふかいところ、)

しているが、先端にあるのはドリルではない。鋸だ。頭の奥深いところ、

(たまたまてれびのくいずばんぐみにしゅつえんしないかぎり、)

たまたまテレビのクイズ番組に出演しないかぎり、

(いっしょうむようのちょうぶつにおわるとりびあをせっせとのうがためこんでいる)

一生無用の長物に終わるトリビアをせっせと脳がため込んでいる

(あたりから、そのどうぐのなまえまでもがとびだしてくる。)

あたりから、その道具の名前までもが飛び出してくる。

(じーりのこぎり。ずがいこつのてっぺんを、そっくりきりとるのにつかうどうぐ。)

ジーリ鋸。頭蓋骨のてっぺんを、そっくり切り取るのに使う道具。

(もちろんそのまえには、こどもがはろうぃんにかぶるますくよろしく)

もちろんその前には、子供がハロウィンにかぶるマスクよろしく

(かおをひきはがし、かみのけからなにからぜんぶひっくるめてじょきょするのだ。)

顔を引きはがし、髪の毛から何から全部ひっくるめて除去するのだ。

(そしてずがいこつをきりとったあとで、のうみそをとりだす。)

そして頭蓋骨を切り取った後で、脳みそを取り出す。

(かちゃん、かちゃん。それから、がちゃん。あまりにもおおきなおとに)

かちゃん、かちゃん。それから、がちゃん。あまりにも大きな音に

(とびあがりそうになるーーといってもとびあがれればのはなし。)

飛び上がりそうになるーーといっても飛び上がれればの話。

(「しんぞうしゅうへんのせっかいをしたくない?」じょいがたずねる。)

「心臓周辺の切開をしたくない?」女医が尋ねる。

(ぴーとがおそるおそるといったくちょうでこたえる。「ぼくにやらせたいと?」)

ピートが恐る恐るといった口調で答える。「僕にやらせたいと?」

など

(どくたーしすこのこえはあくまでもたのしげだ。)

ドクター・シスコの声はあくまでも楽しげだ。

(こういとせきにんをせっとでたにんにしんていするにんげんならではのくちょう。)

好意と責任をセットで他人に進呈する人間ならではの口調。

(「そんなところ」「わかった」ぴーとはこたえる。「じょしゅを)

「そんなところ」「わかった」ピートは答える。「助手を

(つとめてくれるね?」「ええーーあなたのふくしんのふくそうじゅうしだもの」)

務めてくれるね?」「ええーーあなたの腹心の副操縦士だもの」

(じょいはそういってわらう。そのわらいごえが、”しゃきっ、しゃきっ”)

女医はそう言って笑う。その笑い声が、”しゃきっ、しゃきっ”

(というおとですんだんされる。はさみでくうきをきりさくおとだ。)

という音で寸断される。ハサミで空気を切り裂く音だ。

(あたまのなかでは、やねうらべやにとじこめられたむくどりのたいぐんさながらに、)

頭の中では、屋根裏部屋に閉じ込められたムクドリの大群さながらに、

(ぱにっくがそうぞうしくはばたきとびまわっている。)

パニックが騒々しく羽ばたき飛び回っている。

(ヴぇとなむはすでにとおいかこのできごとだが、やせんびょういんでのかいぼうには)

ヴェトナムはすでに遠い過去の出来事だが、野戦病院での解剖には

(ご、ろっかいはたちあった。ぐんいたちが”てんとごやのけんししょー”)

五、六回は立ち会った。軍医たちが”テント小屋の検死ショー”

(とよんでいたかいぼうだ。だから、しすことぱんちょがなにをするこころづもり)

と呼んでいた解剖だ。だから、シスコとパンチョが何をする心づもり

(なのかはわかる。はさみのははとんでもなくながく、)

なのかはわかる。ハサミの刃はとんでもなく長く、

(とんでもなくするどいきれあじだ。ゆびをいれるあなはおおきい。)

とんでもなく鋭い切れ味だ。指を入れる穴は大きい。

(それでも、つかうためにはかなりのちからをひつようとする。)

それでも、使うためにはかなりの力を必要とする。

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