フライトスクール

(ずいぶんさきへととびぬけたがあいずはここで)

随分先へと飛び抜けたが　合図はここで

(やましいまねだとうとまれたがくんしょうがすべて)

疾しい真似だと疎まれたが　勲章が全て

(ごーぐるのしたはふるえるそうがん)

ゴーグルの下は　震える双眼

(そらはじごくだあいはなかった)

空は地獄だ　愛は無かった

(てぶくろのしたはあせばむはだ)

手袋の下は　汗ばむ肌

(りりくのまえはただおいかぜをねがった)

離陸の前はただ　追い風を願った

(そらをくらうとりのむれによってとんだ)

空を食らう　鳥の群れに酔って飛んだ

(かぜにまぎれるせんきょうしからみみをふさいだこっくぴっと)

風に紛れる宣教師から　耳を塞いだコックピット

(きんきゅうかいひおってをまいていった)

緊急回避　追手を撒いて言った

(ざー)

ザーーー

(こちらさっきのようにとべるのだ)

「こちらさっきのように飛べるのだ」

(こちら１きのみでもんだいなしだ)

「こちら一機のみで問題無しだ」

(やさしいひとだとなでられたがてんさいのあと)

優しい人だと撫でられたが　天才の後

(きょういくしゃたちはかずをとくがしんにほしいのは)

教育者達は数を説くが　真に欲しいのは

(いえすかのーりんりのはて)

イエスかノー　倫理の果て

(どうしていままでいきているのか)

どうして今まで　生きているのか

(せいぎのくつぞこあくのるいせん)

正義の靴底　悪の涙腺

(いつしかみをゆだねたひこうきのゆくえ)

いつしか身を委ねた　飛行機の行方

(ちずのしるしのくちぐるまにのってまた)

地図の印の　口車に乗って　また

(くものうなばらにとびこんでいしきがとぶのをまつ)

雲の海原に飛び込んで　意識が飛ぶのを待つ

(まちがいさがしかがみのまえにたってぴーす)

間違い探し　鏡の前に立ってピース

(それはりっぱなえみのなかにある)

それは立派な笑みの中にある

(およそしんだかおのぱすぽーと)

およそ死んだ顔の証明写真

(だれかののったひこうきはまだここまできてはいないが)

誰かの乗った飛行機はまだ　ここまで来てはいないが

(はいせんのいったぷろぺらはまだまわりつげる)

配線のイったプロペラはまだ　回り　告げる

(ここであいず)

「ここで合図」

(てんすうかせぎはこうをそうしたかいどうだい)

点数稼ぎは功を奏したかい　どうだい

(きみのつくえのうえにつまれたさんこうしょたちのぼひ)

君の机の上に積まれた　参考書達の墓碑

(かんせいとうはくちをそろえていった)

管制塔は口を揃えて言った

(ざー)

ザーーー

(きみのさっきのあれはよくないな)

「君のさっきのアレは良くないな」

(きみのずっとまえなんてどうでもいいな)

「君のずっと前なんてどうでも良いな」

(こうぶざせきでつなぎっぱなしのとらんしーばー)

後部座席で　繋ぎっぱなしのトランシーバー

(ここににげこんだあのひからかかさずおうとうをまったが)

ここに逃げ込んだあの日から　欠かさず応答を待ったが

(かんせいとうはくちをそろえていった)

管制塔は口を揃えて言った

(ざー)

ザーーー

(きみのさっきのあれはよくないな)

「君のさっきのアレは良くないな」

(きみのずっとまえなんてどうでもいいな)

「君のずっと前なんてどうでも良いな」

(きみがとんだいみなんてどうでもいいな)

「君が飛んだ意味なんてどうでも良いな」

(きみのことなんてどうでもいいな)

「君のことなんてどうでも良いな」