藤乃タイピング【後編】

(でも、あんたのすきと、うちのすきとはちがうんどす・・・。)

でも、あんたの好きと、うちの好きとは違うんどす…。

(なつき、おひぃさんしずまはったさかい、そろそろひえますえ？)

なつき、お日ぃさん沈まはったさかい、そろそろ冷えますえ？

(ぁっ・・・なつき・・・。)

ぁっ…なつき…。

(・・・あちらでおはなししましょうか。)

…あちらでお話しましょうか。

(なつき・・・。)

なつき…。

(あんじょうたのみますわ、すずしろさん。)

あんじょう頼みますわ、珠洲城さん。

(きばってすずしろさんをたすけたげてな？きくかわさん。)

気張って珠洲城さんを助けたげてな？　菊川さん。

(ん？)

ん？

(よぉいわはりますなぁ、きくかわさん。 あんたかておなじあなのむじなちゃいますん？)

よぉ言わはりますなぁ、菊川さん。 あんたかて同じ穴の貉ちゃいますん？

(そしたら、のぞきのほうがおこのみなんどすか？ ええしゅみしたはりますな。)

そしたら、覗きの方がお好みなんどすか？ ええ趣味したはりますな。

(あれは、うちがかってにしたこと。 なつきをぶじょくするのはゆるしませんえ。)

あれは、うちが勝手にした事。 なつきを侮辱するのは赦しませんえ。

(・・・あんた、たいせつなひとのためやったら、なにをやってもゆるされる。)

…あんた、大切な人の為やったら、何をやっても許される。

(そうおもうたはります？ ええ・・・うちもそうおもいますわ。)

そう思うたはります？ ええ…うちもそう思いますわ。

(なつき！？あんた、いまのきいて・・・？ なつ、き・・・。)

なつき！？　あんた、今の聞いて…？ なつ、き…。

(あんたにだけはしられたなかった・・・)

あんたにだけは知られたなかった…

(こんなよこしまなこい、うけいれられるこぉやない、わかってたのに・・・。)

こんな邪な恋、受け入れられる子ぉやない、わかってたのに…。

(きくかわさん？もう・・・こくげんもちこぅおすな？)

菊川さん？　もう…刻限も近ぅおすな？

(けっちゃく、つけなあかんよね？)

決着、つけなあかんよね？

(さがりよし、あんたのでるまくやありません。)

下がりよし、あんたの出る幕やありません。

(ぎゃあぎゃあやかましいわ・・・きよひめ。)

ぎゃあぎゃあやかましいわ…清姫。

(なつき・・・うちがまもったるさかいに。)

なつき…うちが護ったるさかいに。

(きよひめ。)

清姫。

(うっ！？)

うっ！？

(ふっふふ・・・あぁおかし・・・みじめやねぇ？)

ふっふふ…あぁおかし…惨めやねぇ？

(あれでうちにいっしむくいたつもりなんかなぁ？)

あれでうちに一矢報いたつもりなんかなぁ？

(もうかくすこともない・・・なつき、うちは、あんたをあいしてます。)

もう隠す事もない…なつき、うちは、あんたを愛してます。

(そうや・・・うちがほかのｈｉｍｅもなんも、)

そうや…うちが他のHiMEもなんも、

(なつきのいやなもん、ぜんぶたおしたるさかいな。)

なつきの嫌なもん、全部倒したるさかいな。

(まっといてなぁ・・・。)

待っといてなぁ…。

(だいじょうぶ・・・うちがなつきのいやなもん、ぜぇんぶたおしたるさかい・・・。)

大丈夫…うちがなつきの嫌なもん、ぜぇんぶ倒したるさかい…。

(なつき・・・こんなとこにおったん？)

なつき…こんなとこにおったん？

(うちは、なつきをあいしてますから。)

うちは、なつきを愛してますから。

(ばかはあんたや。)

馬鹿はあんたや。

(きよひめ。)

清姫。

(なつきをあんなめぇにあわせて、これですむおもてますん？)

なつきをあんな目ぇに遭わせて、これで済む思てますん？

(そんなことしたらあきませんえ？ きれいなはなはめでるもんどす、)

そんな事したらあきませんえ？ 綺麗な花は愛でるもんどす、

(みじかいいのちで、せいいっぱいさいたはるんやからね。)

短い命で、精一杯咲いたはるんやからね。

(・・・よかった、ちから、もどったんやね。)

…よかった、力、戻ったんやね。

(さっきな？いちばんちのほんぶいうの？)

さっきな？　一番地の本部言うの？

(つぶしてきたんやけど・・・まだあちこちに、いろいろのこっててな。)

潰して来たんやけど…まだあちこちに、色々残っててな。

(せやからすこしまっといてくれる？ あんたは、うちのもんやから。)

せやから少し待っといてくれる？ あんたは、うちのもんやから。

(なつき・・・まっといてな・・・うちはもうじき、あんたを・・・。)

なつき…待っといてな…うちはもうじき、あんたを…。

(あいかわらずいきなりどすなぁ。)

相変わらずいきなりどすなぁ。

(やっぱり、うちのおもいはうけいれてもらえへんのやね・・・なら。)

やっぱり、うちの想いは受け入れて貰えへんのやね…なら。

(きよひめ！)

清姫！

(ごめんなぁ・・・あんたをくるしめるつもりなんか、ほんまになかったんよ。)

ごめんなぁ…あんたを苦しめるつもりなんか、ほんまになかったんよ。

(なつき・・・でもうち、やっぱりなつきがすきなんどす。)

なつき…でもうち、やっぱりなつきが好きなんどす。

(せやから、たとえうらまれても、うちのもんにしてみせますっ・・・。)

せやから、例え恨まれても、うちのもんにしてみせますっ…。

(そんなにうちがきらいっ！？)

そんなにうちが嫌いっ！？

(はっ)

はっ

(もうはなしません、あんたはうちのもんや・・・。)

もう離しません、あんたはうちのもんや…。

(かんにんっ、かんにんな、なつきっ・・・うちっ・・・。)

堪忍っ、堪忍な、なつきっ…うちっ…。

(ん？)

ん？

(かんにんなぁ)

堪忍なぁ♪

(あらりゅうねん、ええやないの。)

あら留年、ええやないの。

(うちもそつぎょうすんの、やめとこかしら～)

うちも卒業すんの、やめとこかしら～♪