ノンキ節　添田唖蝉坊

(がっこうのせんせいはえらいもんじゃそうなえらいからなんでもおしえるそうな)

学校の先生は偉いもんじゃそうな　偉いから何でも教えるそうな

(おしえりゃせいとはむじゃきなものでそれもそうかとおもうげな)

教えりゃ生徒は無邪気なもので　それもそうかと思うげな

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(なりきんというかじどろのげんとうなどみせてひんみんがっこうのせんせいが)

成金という火事ドロの幻燈など見せて　貧民学校の先生が

(しょうじきにはたらきゃみなこのとおりせいこうするんだとおしえてる)

正直に働きゃみなこの通り　成功するんだと教えてる

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(びんぼうでこそあれにほんじんはえらいそれにだいいちしんぼうづよい)

貧乏でこそあれ日本人は偉い　それに第一辛抱強い

(てんじょうしらずにぶっかがあがってもゆなりかゆなりすすっていきている)

天井知らずに物価があがっても　湯なり粥なりすすって生きている

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(ようふくをきようがくつをはこうががくもんがあろうが)

洋服を着ようが靴をはこうが学問があろうが

(かねがなきゃやっぱりびんぼうだ)

金がなきゃやっぱり貧乏だ

(びんぼうだびんぼうだそのびんぼうがびんぼうでもないよなかおをする)

貧乏だ貧乏だその貧乏が貧乏でもないよな顔をする

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(おはなうるきふじんはおなさけぶこうてびんぼうにんをすくうのもおすきなら)

お花売る貴婦人はお情け深うて貧乏人を救うのもお好きなら

(かわらこじきもおすきぢゃそうなほんにけっこうなおどうらく)

川原乞食もお好きぢゃそうな　ほんに結構なお道楽

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(ばんぶつのれいちょうがまっちばこみたよなけちなすにすんでるいばってる)

万物の霊長がマッチ箱見たよなケチな巣に住んでる威張ってる

(あらしぶっとばされてもつなみをくらっても)

暴風雨ぶっ飛ばされても津波をくらっても

(てんさいじゃしかたがないさですましてる)

天災じゃ仕方が無いさですましてる

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(うんとしぼりとってなかせておいてめぐすりほどだすのをじぜんともうすげな)

うんと搾り取って泣かせておいて　目薬ほど出すのを慈善ともうすげな

(なるほどじぜんかはじぜんをするがあとはみぬふりしらぬふり)

なるほど慈善家は慈善をするが　あとは見ぬふり知らぬふり

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(にほんあるうではいっぽんしかないがきんしくんしょうがむねにある)

二本ある腕は一本しか無いが金鵄勲章が胸にある

(めいよだめいよだにほんいちだももからうまれたももたろうだ)

名誉だ名誉だ日本一だ　桃から生まれた桃太郎だ

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(ぼうちょうするぼうちょうするこくりょくがぼうちょうするしほんかのおうぼうがぼうちょうする)

膨張する膨張する国力が膨張する資本家の横暴が膨張する

(おれやかかあのおなかがぼうちょうするいよいよびんぼうがぼうちょうする)

俺や嬶アのお腹が膨張するいよいよ貧乏が膨張する

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(せいぞんきょうそうのやちまたはしるでんしゃのすみっこによっぱらいひとり)

生存競争の八街走る電車の隅っこに生酔い一人

(ゆらりゆらりとさけのむゆめがさめりゃしゅうてんでぎゃくもどり)

ゆらりゆらりと酒飲む夢がさめりゃ終点で逆戻り

(あっのんきだね)

あっノンキだね

(げっきゅうをにばいにしてあげましょうぜいきんもにばいしてあげましょう)

月給を二倍にしてあげましょう税金も二倍してあげましょう

(ぶっかはさんばいよんばいにしてあげましょうわたしのさんじゅつなかなかうまいでしょ )

物価は三倍四倍にしてあげましょう　わたしの算術なかなかうまいでしょ

(あっのんきだね)

あっノンキだね