ごめんね、私。/南波志帆

(こおりはじいたらちいさなあおぞらに)

氷はじいたらちいさな青空に

(ふきげんなかおのぞきこんだの)

不機嫌な顔覗き込んだの

(われながらはっとしてしせんをそらした)

我ながらハッとして視線をそらした

(ねえきみはいまどうしてるの？)

ねえきみはいまどうしてるの？

(まだまにあう？それともおそい？)

まだ間に合う？それとも遅い？

(ほんとはただきまぐれなんかじゃない)

ホントはただ気まぐれなんかじゃない

(「ごめんね」っていつからこんなにむずかしいことばになっちゃったんだろう)

「ごめんね」っていつからこんなに難しい言葉になっちゃったんだろう

(ぐらすのまなつがとけてく)

グラスの真夏が溶けてく

(「ごめんね」いつからこんなにとまどうふたりになっちゃったんだろう)

「ごめんね」いつからこんなに戸惑う二人になっちゃったんだろう

(いいたいのにいえない)

言いたいのに言えない

(いつでもきみといたいのに)

いつでもきみといたいのに

(ごめんね、わたし。)

ごめんね、私。

(ちかづくほどにはなれていくみたい)

近づくほどに離れていくみたい

(ためいきがそっとそーだにきえてく)

ため息がそっとソーダに消えてく

(やくそくはいつもわたしをからかって)

約束はいつも私をからかって

(はーとのなかをぬりつぶすよ)

ハートの中を塗りつぶすよ

(まだまにあう？それともおそい？)

まだ間に合う？それとも遅い？

(ほんとはただつよきなふりをしてる)

ホントはただ強気なふりをしてる

(「ごめんね」っていつからこんなにむずかしいことばになっちゃったんだろう)

「ごめんね」っていつからこんなに難しい言葉になっちゃったんだろう

(ぐらすのまなつがよんでる)

グラスの真夏が呼んでる

(「ごめんね」いつからこんなにとまどうふたりになっちゃったんだろう)

「ごめんね」いつからこんなに戸惑う二人になっちゃったんだろう

(いいたいのにいえない)

言いたいのに言えない

(いつでもわらわせたいのに)

いつでも笑わせたいのに

(ごめんね、わたし。)

ごめんね、私。

(すなはまにのこる)

砂浜に残る

(あしあとたちたどってゆく)

足跡達たどってゆく

(きのうのわたしにもういちど)

昨日の私にもう一度

(あえたらきっとこういうわ)

逢えたらきっとこう言うわ

(「ばかね」)

「ばかね」

(「ごめんね」っていつからこんなにむずかしいことばになっちゃったんだろう)

「ごめんね」っていつからこんなに難しい言葉になっちゃったんだろう

(ぐらすのまなつとけないで)

グラスの真夏溶けないで…

(「ごめんね」きみがわらうたびせかいはうまれかわるんだろう)

「ごめんね」きみが笑うたび世界は生まれ変わるんだろう

(ぐらすのまなつのみほせば)

グラスの真夏飲み干せば

(「ごめんね」どうしてこんなにむずかしいことばになっちゃったんだろう)

「ごめんね」どうしてこんなに難しい言葉になっちゃったんだろう

(いいたいのにいえない)

言いたいのに言えない

(ねえきみをわらわせたいのに)

ねえきみを笑わせたいのに

(まっててわらわせてみせる)

待ってて笑わせてみせる

(ごめんね、わたし。)

ごめんね、私。

(ごめんね、わたし。)

ごめんね、私。