有病率

(がっぺいしょうぎみのこどくとぶんこと)

合併症気味の 孤独と文庫と

(でんしひょうじのしょほうえんどぽいんと)

電子表示の処方 エンドポイント

(うらびょうしにじげんはんの)

裏表紙 二次元半の

(ａｒこーどよみとってへんきゃくのふぉるだに)

ARコード読み取って 返却のフォルダに

(はなればなれになったひとたちと)

離れ離れになった人たちと

(ゆうせんのもにたでわだいをつないだ)

有線のモニタで話題を繋いだ

(かねつされたすいそうじょうき)

加熱された水槽蒸気

(とだえていくめっせーじのいみ)

途絶えていくメッセージの意味

(ひさしぶりのへんしんはまたあおうだったっけ)

久しぶりの返信は また会おうだったっけ

(こたえられることばもないから)

答えられる言葉もないから

(さんてんりーだーをくりかえす)

三点リーダーを繰り返す

(そふとうぇああっぷでーとさいきどう)

ソフトウェアアップデート 再起動

(ちゅうだんしたつうわさいごのじゅうでんはきのう)

中断した通話最後の 充電は昨日

(きまずさがきょりをとおざけるじじょう)

気まずさが距離を 遠ざける事情

(しょざいないかぜのせいでしゅうじつあめはよこなぐりのもよう)

所在ない風のせいで終日 雨は横殴りの模様

(じどうかいわにきりかえますか)

自動会話に切り替えますか？

(じどうかいわにきりかえますか)

自動会話に切り替えますか？

(じゅうすうねんながいながいせいかつのろぐは)

十数年 長い長い生活のログは

(ゆうびょうりつへいきんちなみのありふれたくのうをかかえ)

有病率 平均値並みのありふれた苦悩を抱え

(えんせいかんはびこるむいしきてきわんるーむのすきまで)

厭世観 蔓延る無意識的ワンルームの隙間で

(ゆいぶつろんをうたがうでばいすにしんこうはうばわれた)

唯物論を疑うデバイスに 信仰は奪われた

(きゅうこうをひとつずつとだえさせてとしとじつづきのことうのうえ)

旧交を一つずつ途絶えさせて 都市と地続きの孤島の上

(じゅうしょうかしたこころからじゅんにさいんあうとでさよなら)

重症化した心から順に サインアウトでさよなら

(ｌａｎけーぶるちゅうていそくでいききするしぐなるのはてに)

LANケーブル中低速で行き来するシグナルの果てに

(そんざいしないはずのせかいをうつしだしてわらっていた)

存在しないはずの世界を映し出して笑っていた

(かしだしをくりかえしてすぐにほうわしたちりょうやくはもうきかず)

貸出を繰り返してすぐに 飽和した治療薬はもう効かず

(たったひとりでいきることについてまわるけんたいはまるでふじのやまいだ)

たった一人で生きることに付いて回る 倦怠はまるで不治の病だ

(にゅうりょくをせかすようにめいめつするかーそるまどをたたくおと)

入力を 急かすように 明滅するカーソル 窓を叩く音

(よるをぬらすあめねむりにつくまえつたえたいおもいになみだあふれた)

夜を濡らす雨眠りにつく前 伝えたい思いに涙溢れた

(ここからはぼくのことばでかたらせてもらえれば)

ここからは ぼくの言葉で語らせてもらえれば