意味が分かると怖い話271 概要欄に説明あり
解説
自分では死ねないので、他人に殺してもらおうとした。
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問題文
(「しにたい。」)
「死にたい。」
(それが、ゆうじんのたなかのくちぐせだった。)
それが、友人の田中の口癖だった。
(じぎょうでしっぱいし、つまにはさられ、あとにのこるのはばくだいなしゃっきんのみ。)
事業で失敗し、妻には去られ、あとに残るのは莫大な借金のみ。
(かれはこのまえ、いざかやでおれにからんできた。)
彼はこの前、居酒屋で俺に絡んできた。
(「いいよなおまえは。しゅっせこーすまっしぐらだし。)
「いいよなお前は。出世コースまっしぐらだし。
(むすめさんはあいどるだったっけ?」)
娘さんはアイドルだったっけ?」
(おれはてきとうにあいづちをうった。)
俺は適当に相槌を打った。
(また、たなかのひがみがはじまった。)
また、田中の僻みが始まった。
(たしかにおれはじきぶちょうのざはやくそくされているし、)
確かに俺は次期部長の座は約束されているし、
(むすめはてれびにもひんぱんにしゅつえんするあいどるたれんとだ。)
娘はテレビにも頻繁に出演するアイドルタレントだ。
(おれは、たなかにきいてみた。)
俺は、田中に聞いてみた。
(「そんなにふこうなら、)
「そんなに不幸なら、
(いっそのことじさつしようってかんがえたことはあるのか?」)
いっそのこと自殺しようって考えたことはあるのか?」
(たなかはうつむいて、じちょうぎみにわらった。)
田中は俯いて、自嘲気味に笑った。
(「ざんねんながら、おれはこれでもねっしんなぶっきょうとなんだよ。)
「残念ながら、俺はこれでも熱心な仏教徒なんだよ。
(じさつしてじごくにおちるなんて、まっぴらだぜ。」)
自殺して地獄に落ちるなんて、まっぴらだぜ。」
(そういうものなのだろうか。むしゅうきょうなおれにはよくわからないな。)
そういうものなのだろうか。無宗教な俺にはよくわからないな。
(そんなたなかから、あるときめーるがおくられてきた。)
そんな田中から、ある時メールが送られてきた。
(そのめーるには、)
そのメールには、
(おれのさいあいのむすめの)
俺の最愛の娘の
(えげつないはだかのしゃしんがてんぷされていた。)
えげつない裸の写真が添付されていた。
(そして、たなかからひとこと。)
そして、田中からひと言。
(「じぼうじきになって、おまえのむすめさんとやっちゃいましたー!)
「自暴自棄になって、おまえの娘さんとやっちゃいましたー!
(ばーか!!ざまあみろ!!」)
ばーか!!ざまあみろ!!」
(おれはかんぜんにぶちぎれた。)
俺は完全にブチぎれた。
(あとになってそのめーるが、)
後になってそのメールが、
(ぐらびあのしゃしんをきりはりした、)
グラビアの写真を切り貼りした、
(ただのこらーじゅだとしったときにはすべてがおそすぎた。)
ただのコラージュだと知った時にはすべてが遅すぎた。