渦巻ハナビ - 稲葉曇

(めぐるめぐるかなしみでまちがいをたたえて)

巡る巡る悲しみで 間違いを称えて

(ゆうやけぞらのなみだをせかいがみつけるの)

夕焼け空の涙を 世界が見つけるの

(おわるきょうのにおいはすんだそらのせいだ)

終わる今日の匂いは 澄んだ空の所為だ

(ゆうやけぞらをまつまちのねがいはにがおもいな)

夕焼け空を待つ街の願いは 荷が重いな

(じょうしょうきりゅうにのっかってった)

上昇気流に乗っかってった

(ことばをあじわっている)

言葉を味わっている

(ふあんていなんかこころもようでふさぎこんでいた)

不安定なんか心模様で塞ぎ込んでいた

(よるとてをつないで)

夜と手を繋いで

(わすれられないよるは)

忘れられない夜は

(ぐにゃりぐにゃりと)

ぐにゃりぐにゃりと

(かたちかえてしまえばいいわ)

形変えてしまえばいいわ

(くずれてきれいなそらに)

くずれて綺麗な空に

(ひとりじめをきめてらくになってしまおう)

独り占めを決めて楽になってしまおう

(わすれられないよるにひとりさらう)

忘れられない夜にひとりさらう

(かなしみなんてすてればいいよ)

悲しみなんて 捨てればいいよ

(よぞらにただようほしのためにきえる)

夜空に漂う星のために消える

(じゃまものになってしまおう)

邪魔者になってしまおう

(まわるまわるかなしみでまちがいをこうていして)

廻る廻る悲しみで 間違いを肯定して

(ゆうやけぞらをまつまちは)

夕焼け空を待つ街は

(あたしのせいにしたがってる)

あたしの所為にしたがってる

(いつもとくらべてまぶしいほうかご)

いつもと比べて眩しい放課後

(あかるいうちにかえっておいで)

明るいうちに帰っておいで

(だれにもおもにをわたさぬように)

誰にも重荷を渡さぬように

(かりたことばはもちこみきんし)

借りた言葉は持ち込み禁止

(いっしょうじっとがまんくらべして)

一生じっと我慢くらべして

(のみこんだなみだでいきをすう)

のみこんだ涙で息を吸う

(てんきよほうをうらぎってよるをむかえていけ)

天気予報を裏切って 夜を迎えていけ

(わすれられないよるは)

忘れられない夜は

(ぐにゃりぐにゃりと)

ぐにゃりぐにゃりと

(うずをまいてしまえばいいわ)

渦を巻いてしまえばいいわ

(ぐずついてきれいなそらですべてこえにして)

ぐずついて綺麗な空で 全て声にして

(まちをゆらしてしまって)

街を揺らしてしまって

(わすれられないよるにひとりさらう)

忘れられない夜に ひとりさらう

(かなしみなんてすてればいいよ)

悲しみなんて 捨てればいいよ

(よぞらにただようほしのために)

夜空に漂う星のために

(きえるじゃまものになってしまおうよ)

消える邪魔者に なってしまおうよ

(わすれられないよるにしずくをたらしている)

忘れられない夜にしずくを垂らしている

(よぞらにただようほしにならい)

夜空に漂う星に倣い

(こんやおわかれになってしまおう)

今夜お別れになってしまおう