グロールタイガー -海賊猫の最后-

(ぐろーるたいがーはすさまじいあばれもの)

グロールタイガーはすさまじい暴れ者

(ならぶものとてないならずもの)

並ぶ者とてない　ならずもの

(あくじのかぎりをやりつくした)

悪事の限りをやりつくした

(のさばりかえってる)

のさばりかえってる

(おとこだて)

男伊達

(よをはばからぬぶさほうもの)

世をはばからぬ無作法者

(けがわはぼろぼろにすりきれて)

毛皮はボロボロに擦り切れて

(すでにかたみみはかじられて)

すでに片耳はかじられて

(かためでうきよをにらんでる)

片目で浮き世をにらんでる

(あくみょうてんかにとどろいてる)

悪名　天下にとどろいてる

(なまえきくだけでふるえあがる)

名前聞くだけで震え上がる

(あらわれるとみなとじこもる)

現れると　みな閉じこもる

(いきひそめながら)

息ひそめながら

(ぐろーるたいがーさまだ)

グロールタイガー様だ！

(かなりあとびだしえじきになる)

カナリア飛び出し餌食になる

(おろかなちんもやつざきになる)

愚かなチンも八つ裂きになる

(はりねずみだってふみつぶす)

ハリネズミだって踏みつぶす

(ねらわれたものはみなあわれ)

狙われた者は　みな哀れ

(なかでもいちばんにくいやつは がいこくうまれのしゃむねこだ)

なかでも一番憎い奴は 外国生まれのシャム猫だ

(じつはかたみみをちぎったのは)

実は片耳をちぎったのは

(うらみかさなる)

恨み重なる

(しゃむねこなのさ)

シャム猫なのさ

(さてなやましきなつのよい)

さて　悩ましき夏の宵

(つきのひかりにさそわれながら)

月の光に誘われながら

(ふねはゆらゆらなみまにゆられ)

船はゆらゆら波間にゆられ

(ぐろーるたいがーふと こころがせんちめんたるに)

グロールタイガーふと 心がセンチメンタルに

(きぇーら)

キェーラ

(みあもーれ)

ミ・アモーレ

(そのーくぅい)

ソノークゥイ

(ぐろーるたいがー すっかりぐりどるぼーんにしびれ)

グロールタイガー すっかりグリドルボーンにしびれ

(ひたすらしたうはきみがおもかげ)

ひたすら慕うは君が面影

(あらくれぶかどもすがたをかくし)

荒くれ部下共姿を隠し

(ひそかにしのびよるはしゃむねこぐん)

密かに忍び寄るはシャム猫軍

(ぐろーるたいがーわたしにこころうばわれ)

グロールタイガー　私に心奪われ

(あいするひともこころゆるして)

愛する人も心許して

(うっとりしびれてゆだんしきった)

うっとりしびれて油断しきった

(つきのひかりにぎらぎらあおいめ)

月の光にギラギラ青い目

(じりじりせまるはしゃむねこぐん)

ジリジリ迫るはシャム猫軍

(ものおともたてずにしのびより)

物音もたてずに忍びより

(ふうぜんのともしびつゆしらず)

風前の灯火　露知らず

(あいのでゅえっといいきなものだ)

愛のデュエット　いい気なものだ

(たぐいまれなうるわしのこのよるに)

類まれな　麗しのこの夜に

(きみはうつくしくやさしくつややか)

君は美しく優しく　艶やか

(きみのかおりにわがこころしびれてゆれる)

君の香りに我が心　しびれてゆれる

(はかなきこのこいよ)

儚きこの恋よ

(つきよほしよああみていておくれ)

月よ星よ　ああ見ていておくれ

(このむねのときめきがわかるだろう)

この胸のときめきがわかるだろう

(ゆめのようなしあわせなひとときよ)

夢のような幸せなひとときよ

(ああかいぞくだって)

ああ海賊だって

(おもわずこよいはせんちめんたるじゃーにー)

思わず今宵はセンチメンタルジャーニー

(このむねのときめきがわかるだろう)

この胸のときめきが分かるだろう

(ゆめのようなしあわせなひとときよ)

夢のような幸せなひとときよ

(ああこのときめきはふたりだけのもの)

ああこのときめきは二人だけのもの

(ふたりだけのもの)

二人だけのもの

(うらみつらみはらすぞいまこそ)

恨みつらみ　晴らすぞ今こそ

(ぐろーるたいがーいのちはもらった)

グロールタイガー命はもらった

(しゃむねこぐんだんそうこうげきそれー)

シャム猫軍団総攻撃　それー！

(そのときぐりどるぼーんはひややかに)

その時グリドルボーンは冷ややかに

(そしらぬふりですぐにげだした)

そしらぬふりですぐ逃げ出した

(おそらくぶじににげのびただろう)

恐らく無事に逃げ延びただろう

(ぐろーるたいがーやいばのうずに かこまれた)

グロールタイガー刃の渦に かこまれた

(あちょー)

アチョー！

(おいつめられてあとずさり)

追い詰められて後ずさり

(じりじりせまられてへさきまで)

ジリジリ迫られて舳先まで

(いよいよねんぐのおさめどき)

いよいよ年貢の納め時

(やむなくついにみずからみをなげた)

やむなくついに自ら身を投げた

(そのしらせがとどくとだいかんせい)

その知らせが届くと大歓声

(きしべでおいわいだいぱーてぃー)

岸辺でお祝い大パーティー

(しゃむねこほんばのばんこっく)

シャム猫本場のバンコック

(はたをふってきねんびつくられた)

旗を振って記念日　創られた

(いまのしばいもいいけれど)

今の芝居もいいけれど

(くらべものにはならないね)

比べ物にはならないね

(おれのじだいはかたりぐさ)

俺の時代は語りぐさ