さよなら僕のタピオカ/96猫
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問題文
(むかしむかし、あるところに、)
「昔むかし、あるところに、
(ちいさなおひめさまがいました。)
ちいさなお姫さまがいました。
(おひめさまはたぴおかがだいこうぶつで、)
お姫さまはタピオカが大好物で、
(それはもうまいにちまいにちおなかいっぱいたべて)
それはもう毎日毎日おなかいっぱい食べて
(くらしましたとさ。)
暮らしましたとさ。
(めでたしめでたし。)
めでたしめでたし。
(なわけねーだろ!)
……なわけねーだろ!
(さっそくだがこのものがたりは)
さっそくだがこの物語は
(ここからひげきのてんかいにとつにゅうする!)
ここから悲劇の展開に突入する!
(べつにひめさまがちびだとかがさつだとか)
別に姫様がチビだとかがさつだとか
(んなこたぁどーだっていいんだ!)
んなこたぁどーだっていいんだ!
(あるひ、ひめさまがたぴおかとやらを)
ある日、姫様がタピオカとやらを
(くっているあいだに)
食っている間に
(とつぜんぶったおれちまったもんだから)
突然ぶっ倒れちまったもんだから
(くにじゅうがおおさわぎ!あぁ?げんいん?)
国中が大騒ぎ!あぁ?原因?
(しらねーよそんなの、それをさぐるのが)
知らねーよそんなの、それを探るのが
(いしゃのやくめってもんだろぉ!)
医者の役目ってもんだろぉ!
(さぁ、ものがたりのはじまりだ!)
さぁ、物語のはじまりだ!
(さよならぼくのたぴおか!)
さよなら僕のタピオカ!」
(ずつうがやまない)
頭痛がやまない
(めまいもするふしぎなやまいさ)
眩暈もする不思議な病さ
(からだがだるい)
体がだるい
(しょくよくだけはのこってんのに)
食欲だけは残ってんのに
(おうこくいちばんの)
王国一番の
(めいいがぼくをしんだんしていく)
名医が僕を診断していく
(はやくなおせよ)
早く治せよ
(おやつにたぴおかたべたい)
おやつにタピオカ食べたい
(せんせい、ぼくは?)
「先生、僕は……?」
(めずらしいびょうきです)
珍しい病気です
(あの、なまえは?)
「あの、名前は……?」
(きゅうせいたぴおかしょうこうぐん)
急性タピオカ症候群
(どんなびょうきなんです?)
「どんな病気なんです……?」
(たぴおかをたべると)
タピオカを食べると
(どうなるんです?)
「どうなるんです……?」
(たぴおかになっちゃいます)
タピオカになっちゃいます
(はぁ?)
「はぁ?」
(さよならぼくのたぴおか)
さよなら僕のタピオカ
(にどとくろいつぶをたべてはいけない)
二度と黒い粒を食べてはいけない
(さよならぼくのたぴおか)
さよなら僕のタピオカ
(きみがこいしすぎてたぴたぴたぴたぴ!)
君が恋しすぎてタピタピタピタピ!
(ふじのやまいらしいけど)
不治の病らしいけど
(それをたべなければけんこうそのもの)
それを食べなければ健康そのもの
(いしゃはそれだけつげると)
医者はそれだけ告げると
(そそくさとおしろをあとにした)
そそくさとお城をあとにした
(たぴおかきんして3じかん)
タピオカ禁して3時間
(はやくもがまんができない)
早くも我慢ができない
(たぴおかきんしてはんにちかん)
タピオカ禁して半日間
(なんだかおはだがかゆいよ)
なんだかお肌が痒いよ
(たぴおかきんして1にちめ)
タピオカ禁して1日目
(てあしのふるえがやまない)
手足の震えがやまない
(たぴおかきんして3にちめ)
タピオカ禁して3日目
(みんなのかおがたぴおかに)
みんなの顔がタピオカに
(げっそりとやせた)
げっそりと痩せた
(ひめさまはすでにみるかげなく)
姫様は既に見る影なく
(じじょうをしらない)
事情を知らない
(しんみんたちがおしよせた)
臣民たちが押し寄せた
(ひめさま)
「姫様…
(あぁこれでもたべて、げんきを)
あぁ…これでも食べて、元気を…」
(じいさんそれたぴおかちゃう。)
「じいさん…それタピオカちゃう。
(ぼーりんぐのたまや)
ボーリングの玉や…。」
(すこしくらいならいいかな)
「少しくらいならいいかな……」
(たぴおかになるぞ)
タピオカになるぞ
(それでもべつにいいかな)
「それでも別にいいかな……」
(いいわけないでしょう)
いいわけないでしょう
(あぁ、しゃぶりつきたい!)
「あぁ、しゃぶりつきたい!」
(こうかいしますよ)
後悔しますよ
(たぴおかとしていきる!)
「タピオカとして生きる……!」
(すきなものになるのはいいことか?)
好きなものになるのは良い事か?
(はぁ)
「はぁ……」
(ぼくがたぴおかになれば)
僕がタピオカになれば
(きっとだれかにたべられちゃうでしょうね)
きっと誰かに食べられちゃうでしょうね
(たぴおかのないじんせい)
タピオカのない人生
(そんなじんせいむりですぜったいむりです)
そんな人生ムリです絶対ムリです
(しんじゃいます!)
死んじゃいます!
(さよならぼくのたぴおか)
さよなら僕のタピオカ
(これはきっとぼくのじんせいそのものさ)
これはきっと僕の人生そのものさ
(さよならぼくのたぴおか)
さよなら僕のタピオカ
(きみがこいしすぎてたぴたぴたぴたぴ!)
君が恋しすぎてタピタピタピタピ!
(うしなうことできづいた)
失うことで気付いた
(ほんとうにたいせつなものはなにかと)
本当に大切なものはなにかと
(なにをおそれているのさ)
なにを恐れているのさ
(よくぼうにまかせてたぴおかたべるよ!)
欲望に任せてタピオカ食べるよ!
(もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ)
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
(あぁ!このもちもち、ぷにぷに)
「あぁ!このモチモチ、プニプニ
(やっぱりやめられない!)
やっぱりやめられない!
(くちのなかでひろがる)
口の中で広がる
(たぴおかのやわらかさが、)
タピオカの柔らかさが、
(まるでからだをつつみこんで)
まるで体を包み込んで
(くれているような)
くれているような、
(このなんともいえないしょっかん!)
この何とも言えない食感~!
(もうきゅうせいあるぱかしょうこうぐんだか、)
もう、急性アルパカ症候群だか、
(きゅうせいかぴばらしょうこうぐんだかしらんが)
急性カピバラ症候群だか知らんが
(そんなびょうきなんてもうどうだっていい!)
そんな病気なんてもうどうだっていい!
(さいこう!さいこう!たぴおかさいこう!)
最高!最高!タピオカ最高!
(たぴおかふぉーえばああああ!)
タピオカふぉーえばああああ!」
(わがじんせいにいっぺんのくいなし)
「我が人生に一片の悔いなし。」
(あるところに)
あるところに
(ちいさなおひめさまがいました)
ちいさなお姫様がいました
(かのじょのじんせいは)
彼女の人生は
(とてもたのしいものだったとさ)
とても楽しいものだったとさ