さとるくん

(ちいさいころあたしにはよくあそんだともだちがいた)

小さいころあたしにはよく　遊んだともだちがいた

(ゆうぐれせまるころのこうえんにかならずひとりできてた)

夕暮れ迫るころの公園に　必ずひとりで来てた

(なんどもあそんだはずなのになぜかかおもおぼえてないの)

何度も遊んだはずなのになぜか　顔も覚えてないの

(なんどもきいてたはずなのになぜかいえもわからないの)

何度も聞いてたはずなのになぜか　家もわからないの

(ふしぎなふしぎなこなのさとるくん)

不思議な　不思議なコなの　さとるくん

(みんながあのこにいじわるするのみえないふりをしてるの)

みんながあのコにいじわるするの　見えないふりをしてるの

(だからあたしはあのことよくすなばであそんだげたの)

だからあたしはあのコとよく　砂場で遊んだげたの

(でもとってもはずかしがりやだからおかあさんがくるといないの)

でもとっても恥ずかしがり屋だから　お母さんが来るといないの

(とってもはずかしがりやだったからがらすどにもうつらないの)

とっても恥ずかしがり屋だったから　ガラス戸にも映らないの

(ふしぎなふしぎなこだねさとるくん)

不思議な　不思議なコだね　さとるくん

(あたしにだけきかせてくれたおかしなおかしなはなし)

あたしにだけ聞かせてくれた　おかしなおかしな話

(あるときとなりのじいちゃんのさよならのはなししたら)

あるときとなりのじいちゃんの　さよならの話したら

(つぎのひじいちゃんちにはたくさんのくろいくつがならんだ)

次の日じいちゃん家にはたくさんの　黒い靴が並んだ

(みんながうつむいてじいちゃんとのさよならをしていた)

みんながうつむいてじいちゃんとの　さよならをしていた

(ふしぎなふしぎなこだったさとるくん)

不思議な　不思議なコだった　さとるくん

(あたしがおおきくなってふとかれにあいたいとおもったから)

あたしが大きくなってふと彼に　会いたいと思ったから

(ともだちみんなにきいてみたけれどこたえはひとつだけ)

ともだちみんなに聞いてみたけれど　答えはひとつだけ

(いつかまたあえたらいいねさとるくん)

いつかまた　会えたらいいね　さとるくん