グラウンドゼロ

(たちどまるなんてむりだよ)

立ち止まるなんて無理だよ

(このほしのうえにいきてるかぎり)

この星の上に生きてる限り

(だってもうすぴーどでこのほしはぼくのからだをはこんでるんだよ)

だって猛スピードでこの星は僕の体を運んでるんだよ

(たちどまってみたければ)

立ち止まってみたければ

(じそく１４００きろのはやさで)

時速1400キロの速さで

(せいいっぱいちきゅうぎゃくまわりにはしらないとね)

精一杯 地球逆廻りに走らないとね

(がんばんないためにもがんばんないといけないなんて)

頑張んないためにも頑張んないといけないなんて

(わけがわかんない)

わけが分かんない

(しかたないからがんばるけど)

仕方ないから頑張るけど

(もういいどうにでもなれ)

もういい どうにでもなれ

(どれだけうしろむきにあるいてみても)

どれだけ後ろ向きに歩いてみても

(みらいにむかってってしまうんだ)

未来に向かってってしまうんだ

(きぼうをもたされてしまうんだ)

希望を持たされてしまうんだ

(てわたされたそいつをただなげすててみたところで)

手渡されたそいつをただ投げ捨ててみたところで

(またからになったそのてに)

また空になったその手に

(つぎのみらいわたされてしまうんだから)

次の未来渡されてしまうんだから

(やりばにこまったそのみらい)

やり場に困ったその未来

(しかたないからとっておいたけど)

仕方ないから取っておいたけど

(ふとしたときにめをむけると)

ふとした時に目を向けると

(ちばしっためでぼくをみるんだよ)

血走った眼で僕を見るんだよ

(にげこんだへやのすみっこも)

逃げ込んだ部屋の隅っこも

(くるまったふとんのなかでさえも)

くるまった布団の中でさえも

(めいっぱいぼくのすぐそばにへばりついてる)

目一杯 僕のすぐそばにへばりついてる

(ねぇもういいかい)

「ねぇもういいかい？」

(いやまだだよ)

「いやまだだよ」

(じゃあもういいかい)

「じゃあもういいかい？」

(もうしつこいよ)

「もうしつこいよ」

(あきらめることとかしらないの)

諦めることとか知らないの？

(もうどういうつもりなの)

もうどういうつもりなの？

(どれだけこうべをたれあるいてみても)

どれだけ頭を垂れ歩いてみても

(みらいにすぐにみつかってしまうんだ)

未来にすぐに見つかってしまうんだ

(ぼくをつれてってしまうんだ)

僕を連れてってしまうんだ

(いっそのことおいぬいてやろう)

いっそのこと追い抜いてやろう

(なんていきまいたところでまた)

なんて息巻いたところでまた

(けっしておいこせやしないんだ)

決して追い越せやしないんだ

(よるにうかぶつきのようなもんなんだ)

夜に浮かぶ月のようなもんなんだ

(あとにもさきにもいかしてはくれないんだ)

後にも先にも行かしてはくれないんだ

(ちっちゃなはこにつめこまれ)

ちっちゃな箱に詰め込まれ

(はこばれるしかないんだ)

運ばれるしかないんだ

(あとにもさきにもそれいがいはないんだから)

後にも先にも それ以外はないんだから

(こんりんざいかかわんない)

「金輪際 関わんない」

(ついにあきらめたもうばんばんざい)

「ついに諦めた、もう万々歳」

(だけどさいごにおねがいよみみすましてみて)

「だけど最後に、お願いよ 耳澄ましてみて」

(どこかできこえるこえ)

どこかで聴こえる声

(すててしまうようなみらいなら)

「捨ててしまうような未来なら

(どうかぼくにゆずってくれよ)

どうか僕に譲ってくれよ

(だいじにつかってみせるから)

大事に使ってみせるから」

(そしてやっときづいたよ)

そしてやっと気付いたよ

(そっとつよくだきしめたよ)

そっと強く抱きしめたよ

(うまれたときそうたしかに)

生まれた時 そう確かに

(ぼくがうけとったものだから)

僕が受け取ったものだから

(はるかさきのきみにさけぶ)

遥か先の君に叫ぶ

(いまからいくからまっててよ)

「今から行くから待っててよ」

(そのめになみだうかべたきみは)

その瞳に涙浮かべた君は

(ぼくのみらいそのものだったんだ)

僕の未来そのものだったんだ