毒吐く

(ここんとこずっとみたされない)

ここんとこずっと満たされない

(いぜん、そうさくもふるわない)

依然、創作も振るわない

(ここがいばしょなんてしんじない)

ここが居場所なんて信じない

(あさはまだこない)

朝はまだ来ない

(つづることばはどくになれどもくすりにはならない)

綴る言葉は毒になれども薬にはならない

(「つづけるいみがない」)

「続ける意味がない」

(よぎらなかったひはない)

過らなかった日はない

(はやりのおんがくがきけない)

流行りの音楽が聴けない

(くらべてひげしてがやまない)

比べて卑下してが止まない

(「たぶん、ぼくはもうおんがくがすきじゃない」)

「多分、僕はもう音楽が好きじゃない」

(それをはきだすすべはおんがくしかしらない)

それを吐き出す術は音楽しか知らない

(だから)

だから

(またこうしてうたにすがっておろかな”どく”をはいた)

またこうして歌に縋って愚かな”毒”を吐いた

(つきよのした、なおさらぶざまだ)

月夜の下、尚更無様だ

(どんなことばをうたったらこんなぼくとさよならできんだ)

どんな言葉を歌ったらこんな僕とさよならできんだ

(こたえがでるまでやまぬどくはく)

答えが出るまで止まぬ独白

(なやみにぜいたくもくそもない)

悩みに贅沢もクソもない

(とうじしゃいがいしりえないきずのいたみにゆうれつはない)

当事者以外知り得ない傷の痛みに優劣はない

(あんじはたえまない)

暗示は絶え間ない

(ひかげじゃなみだはかわかない)

日陰じゃ涙は乾かない

(なみだじゃはななんてめぶかない)

涙じゃ花なんて芽吹かない

(「あかりのささないじんせいにかちはない」)

「明かりの射さない人生に価値はない」

(そんなのはしんじない)

そんなのは信じない

(しんじていいわけない)

信じていいわけない

(だけど)

だけど

(ぼくがうたったうたでくらいはしゅやくでありたかった)

僕が歌った歌でくらいは主役で在りたかった

(すぽっとらいとはゆうがとうでいいから)

スポットライトは誘蛾灯でいいから

(かつてじゅんすいをきわめたぼくはしょうそうのえさになった)

かつて純粋を極めた僕は焦燥の餌になった

(きれいなことばもいまやとしゃぶつ)

綺麗な言葉も今や吐瀉物

(ときにそうさくはじしょうこうい)

時に創作は自傷行為

(とどうじにじぶんをていぎするただひとつのぶき)

と同時に自分を定義するただ一つの武器

(もろはのつるぎでこれをかいてる)

諸刃の剣でこれを書いてる

(「まだだ、まだだ」っていきもたえだえ)

「まだだ、まだだ」って息も絶え絶え

(なのに)

なのに

(またこうしてきずをえぐってはずべきじぶんをはいた)

またこうして傷を抉って恥ずべき自分を吐いた

(それがぼくのかちになるのなら)

それが僕の価値になるのなら

(どんなしゅうたいさらしてもうたいつづけるほかないんだろうな)

どんな醜態晒しても歌い続けるほかないんだろうな

(これはしぬまでつづくそくばく)

これは死ぬまで続く束縛

(こたえがでるまでやまぬどくはく)

答えが出るまで止まぬ独白

(これをきいてくれたあなたが)

これを聴いてくれたあなたが

(まだじゅんすいなあなたが)

まだ純粋なあなたが

(ぼくみたいにならぬようにとねがってやまない)

僕みたいにならぬようにと願って止まない