雑踏の片隅で

(たとえばこのまちをたむろするひとがぜんいんともだちなら)

例えばこの街を屯する人が全員友達なら

(かたがぶつかったくらいでいざこざがはじまるようなこともないんだろう)

肩がぶつかったくらいでイザコザが始まるようなこともないんだろう

(いせいよくけんかをふっかけてかえりうちをくらったおとこのとなりで)

威勢良く喧嘩をふっかけて返り討ちを喰らった男の隣で

(てをつなぎあるいていたおさないしょうじょがめにしたもの)

手を繋ぎ歩いていた幼い少女が目にしたもの

(ばったりけんかにそうぐうなうみぎてでもじをあやつりながら)

「バッタリ喧嘩に遭遇なう」右手で文字を操りながら

(じっさいのひょうじょうはさておいてかおもじにかんじょうをこめながら)

実際の表情はさて置いて顔文字に感情を込めながら

(とおりいくひとびとにそのこえはどれくらいとどいていたんだろう)

通り行く人々にその声はどれくらい届いていたんだろう？

(ぱぱだいじょうぶぱぱだいじょうぶとなみだするあどけないこえ)

「パパ大丈夫？」「パパ大丈夫？」と涙するあどけない声

(あいしあいながらにくしみあいたすけあえるてでおとしいれあって)

愛し合いながら憎しみ合い　助け合える手で陥れ合って

(しんじあえるひとみでうたがいつきあったりとおざけあってみたり)

信じ合える瞳で疑い　付き合ったり遠ざけ合ってみたり

(それいじょうでもそれいかでもないぼくらのみちはあすへとつづく)

それ以上でもそれ以下でもない　僕らの道は明日へと続く

(なけなしのあいじょうをふりしぼりそれぞれのごーるをめざして)

なけなしの愛情を振り絞り　それぞれのゴールを目指して

(たとえばこのくにをひっぱってるひとがぜんいんひーろーなら)

例えばこの国を引っ張ってる人が全員ヒーローなら

(ひとことのはつげんどうこうであしのひっぱりあいにはならないだろう)

一言の発言どうこうで足の引っ張り合いにはならないだろう

(いせいよくとびだしてくくいとそれをうつためのとんかちを)

威勢良く飛び出してく杭とそれを討つためのトンカチを

(ぼくらにみせるためのえきしょうばっかりうつくしくなるまいにち)

僕らに見せるための液晶ばっかり美しくなる毎日

(さっきのおっさんまじむかついたとこえをあらげるしょうねんたち)

「さっきのおっさんマジムカついた！」と声を荒げる少年達

(いろんなるーるにあらがうためのふるまいをていねいにやりながら)

色んなルールに抗うための振る舞いを丁寧にやりながら

(せんさいなこころかばうようにばらんすよくはみでせるように)

繊細な心かばうようにバランス良くはみ出せるように

(かんげいされぬこどくとたたかいきょうもてんにつばをはきかける)

歓迎されぬ孤独と戦い今日も天に唾を吐きかける

(あいしあいながらにくしみあいたすけあえるてでおとしいれあって)

愛し合いながら憎しみ合い　助け合える手で陥れ合って

(しんじあえるひとみでうたがいつきあったりとおざけあってみたり)

信じ合える瞳で疑い　付き合ったり遠ざけ合ってみたり

(だれいじょうでもだれいかでもないぼくらのみちはあすへとつづく)

誰以上でも誰以下でもない　僕らの道は明日へと続く

(なけなしのあいじょうをふりしぼりそれぞれのごーるをめざして)

なけなしの愛情を振り絞り　それぞれのゴールを目指して

(ざっとうのかたすみでないてるしょうじょになにをしてやれるだろう)

雑踏の片隅で泣いてる少女に何をしてやれるだろう

(そんなふうにいたんでるひとがあそこにはどれくらいいたんだろう)

そんな風に痛んでる人があそこにはどれくらいいたんだろう

(きみのしょうらいきぼうでみちてるとえきしょうのしんがーはうたう)

「君の将来希望で満ちてる」と液晶のシンガーは唄う

(それをまっすぐにうけとれないこころがぽっけをさまよってる)

それを真っ直ぐに受け取れない心がポッケを彷徨ってる

(しょうねんたちになにをほころうしょうじょにどんなうたをうたおう)

少年達に何を誇ろう？　少女にどんな歌を唄おう？

(たとえばこのよからたびだつときどんなけしきをみていたいんだろう)

例えばこの世から旅立つとき　どんな景色を見ていたいんだろう？

(なにもかもすてたもんじゃないさそんなふうにさとれたらいいのにな)

なにもかも捨てたもんじゃないさ　そんな風に悟れたらいいのにな

(いまもみらいもまちいくひともいやなとこもありゃいいとこもあるさと)

今も未来も街行く人も　嫌なとこもありゃ良いとこもあるさと

(あいしあいながらにくしみあいたすけあえるてでおとしいれあって)

愛し合いながら憎しみ合い　助け合える手で陥れ合って

(しんじあえるひとみでうたがいつきあったりとおざけあってみたり)

信じ合える瞳で疑い　付き合ったり遠ざけ合ってみたり

(だれいじょうでもだれいかでもないぼくらのみちはあすへとつづく)

誰以上でも誰以下でもない　僕らの道は明日へと続く

(なけなしのあいじょうをふりしぼりそれぞれのごーるをめざして)

なけなしの愛情を振り絞り　それぞれのゴールを目指して