桜の詩

(はさんだしおりをぬきとった)

挟んだ栞を抜き取った

(わすれないことおぼえてるから)

忘れないこと覚えてるから

(はださむさとこもれびのなか)

肌寒さと木漏れ日の中、

(くちずさんでるわたしがいる)

口ずさんでる私がいる

(たいせつなのはかたちではなくきおくにのこるいろどりなのだ)

「大切なのは形ではなく　記憶に残る彩なのだ」

(しょうせつでみたあのせりふが)

小説で見たあのセリフが

(いまさらあたまをしはいするんだ)

今更頭を支配するんだ

(からまわりからまわりしてからまわりしてるみたいだ)

空回り、空回りして　空回りしてるみたいだ

(なぜかおなじぺーじばっかりひらいてしまうの)

何故か同じページばっかり　開いてしまうの

(あれからどれほどつきひがたったろう)

あれからどれほど月日が経ったろう

(すこしだけせものびた)

少しだけ背も伸びた

(あれからどれほどじかんがたったろう)

あれからどれほど時間が経ったろう

(なでるようなかぜに)

撫でるような風に

(さくらのはながまってあなたのことをおもいだしてしまうそんなはるよ)

桜の花が舞って　あなたのことを思い出してしまう　そんな春よ

(さくらのはながまってよびとめられたきがして)

桜の花が舞って　呼び止められた気がして

(ふりかえってしまったの)

振りかえってしまったの

(うわぎぬぐにはまだはやくて)

上着脱ぐにはまだ早くて

(まふらーをわたすにはおそすぎて)

マフラーを渡すには遅すぎて

(なんていじわるなきせつだろう)

なんて意地悪な季節だろう

(あなたにみせたいものばかり)

あなたに見せたいものばかり

(かなわないかなわないけどかまわない)

叶わない、叶わない　けど構わない

(そういえるそんなただつよがったおとなになりたいんだけど)

そう言える、そんなただ強がった大人になりたいんだけど

(さくらのはながまってあなたのこえをおもいだしてしまうあわいはるよ)

桜の花が舞って　あなたの声を思い出してしまう　淡い春よ

(さくらいろにそまってこのはなよりもきれいなはなになれたらいいな)

桜色に染まって、この花よりも綺麗な花になれたらいいな

(かなわないかなわないけどかまわない)

叶わない、叶わない　けど構わない

(くちにだせばしかいがぼやけて)

口に出せば　視界がぼやけて

(まるでないてしまってるみたいだ)

まるで泣いてしまってるみたいだ

(あれからどれほどつきひがたったろう)

あれからどれほど月日が経ったろう

(ふたりならんでみた)

二人並んで見た

(さくらのはながまってとおくとおくとんでゆく)

桜の花が舞って　遠く遠く飛んでゆく

(おもわずおいかけてしまう)

思わず追いかけてしまう

(こくどうぞいをはしってあなたのこえをおもいだしてしまう)

国道沿いを走って　あなたの声を思い出してしまう

(さくらのうた)

桜の詩